代表的な心理専門職の資格である臨床心理士。
結論からいうと、臨床心理士は国家資格ではなく、民間資格です。また、心理専門職の国家資格には公認心理師があります。
ですが、民間資格だからといって臨床心理士の価値が低いかというと、そうではありません。むしろ、臨床心理士は心理学に関わる職業を目指すならぜひとも取得したい資格です。
今回は、臨床心理士の内容や国家資格である公認心理師との違い、臨床心理士の魅力などについて、詳しく解説します。
初めに、代表的な心理専門職の資格である臨床心理士と公認心理師について解説します。
臨床心理士は、内閣府が認可する公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会が認定している心理専門職の資格です。国の法律に基づく国家資格ではなく、民間資格となります。
臨床心理士は、臨床心理学に基づいた知識や技術を用いて、人の心にアプローチする専門職です。主にカウンセラーとして、医療現場や学校、福祉施設など、さまざまな場所で必要とされています。
公認心理師は、臨床心理士と同じ心理専門職で、取得することでなれる職業に違いはありません。しかし、公認心理師は国家資格という大きな違いがあります。
国家資格は国の法律に基づく資格で、民間資格は民間団体・企業が認定する資格です。そのため、一般的には国家資格のほうが信頼性や需要が高いとされています。
ただし、だからといって臨床心理士が公認心理師と比べて価値が低いということはまったくありません。なぜなら、公認心理師の資格が誕生したのは2017年ですが、臨床心理士の資格が誕生したのは1988年と、臨床心理士は心理専門職の資格として歴史が深く、長きにわたって信頼され続けているからです。
したがって、歴史の深い臨床心理士と国家資格の公認心理師は、どちらも取得しておくべきといえます。
ほかに、臨床心理士と公認心理師の違いとして挙げられるのは、受験資格・試験内容・更新制度の有無です。
臨床心理士は、後述の「臨床心理士の資格はどうやって取る?」で詳しく解説しますが、
受験資格:指定された大学院の修了
試験内容:筆記試験(多肢選択方式および論文記述)および面接試験
更新制度:あり(5年ごとの再認定が必要)
このような特徴があります。
一方で、公認心理師は、
受験資格:4年制大学および大学院での指定科目の履修・修了
試験内容:筆記試験(多肢選択方式)
更新制度:なし
このような特徴があります。
また、合格率についてですが、臨床心理士は例年60%台です。
一方で、公認心理師は年によって合格率に幅があり、2022年の第5回試験では48.3%、2023年の第6回試験では73.8%、2024年の第7回試験では76.2%でした。
臨床心理士の資格を取ることには、どんな魅力があるのでしょうか?
臨床心理士の資格を取ることで、心理専門職に求められる知識や技術が身に付くのは大きな魅力です。
臨床心理士の資格を取るには、指定された大学院を修了する必要があります。
指定された大学院とは、公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会が定めた、教員組織やカリキュラム、臨床心理実習施設など一定の要件を満たす大学院です。
第1種指定大学院に指定されている立正大学大学院心理学研究科臨床心理学専攻で学べる必須科目は以下のとおりです。
そのほかにも、多様な特論科目が開設されています。なりたい職業や興味がある分野によって、学びたい科目を学ぶことができます。
心理専門職、例えば心理カウンセラーは、なるのに必ずしも資格が必要なわけではありません。一定の知識や技術があれば、名乗ることができる職業です。
しかし、臨床心理士の資格を取ることで、心理学に関する詳しい知識や技術をしっかりと身に付けた上で、それを有資格者として証明できます。
特に、臨床心理士は試験に面接が含まれており、「生涯学習」として5年ごとの資格再認定も必要です。学習が不足していれば、資格取得も更新も難しいでしょう。
臨床心理士の資格を取ることで、確実に心理専門職としての知識や技術が身に付くのは大きな魅力といえます。
臨床心理士の資格を取ることで、心理専門職としてなれる職業の幅が広がります。
臨床心理士は、内閣府が認可した公益財団法人による事業で、かつ長い歴史があるため、信頼性の高い資格です。そのため、臨床心理士の資格があると、主にカウンセラーとしてさまざまな現場から求められます。
例えば、カウンセラーとしては以下の業界から求められやすいです。
医療:心のケアが必要な患者に対し心理的支援を行います。
学校:スクールカウンセラーとして、児童や生徒にカウンセリングを行います。
福祉:児童相談所や介護施設などで、利用者に対し心理的支援を行います。
ほかに、民間企業においても企業内カウンセラーとして、労働者の心理的支援のため幅広いニーズがあります。
公務員としても、心理系地方公務員や法務技官など、さまざまな選択肢があります。
このように、信頼性の高い心理専門職の資格である臨床心理士は、人の心に関わる幅広い現場や職業で必要とされている資格なのです。
臨床心理士の資格は、受験資格を満たした上で、公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会が実施する試験に合格することで取得できます。
まず受験資格は、指定大学院や専門職大学院を修了することです。指定大学院や専門職大学院については以下からご確認ください。
なお、指定されているのは大学院のみで、4年制大学についての規定はありません。
受験資格を満たしたら受験です。臨床心理士の試験は年1回で、毎年10~11月に実施されます。
受験するには、6~8月ごろの所定の期間内に、まず協会に申請書類を請求しなければなりません。申請書類が届いたら、提出および審査料の納付を行うことで、自宅に臨床心理士資格審査受験票が届きます。
試験は一次試験(筆記)と二次試験(面接)です。一次試験は、多肢選択方式と論文記述で構成されています。
試験に無事合格したら、資格認定証書の交付手続きを所定の期日までに完了させることで、晴れて臨床心理士の有資格者です。
試験の流れや内容について、詳しくは以下からご覧ください。
臨床心理士は国家資格ではなく民間資格ですが、国家資格の公認心理師と同様、心理学の非常に価値ある資格です。
臨床心理士の資格試験を受けるためには、指定された大学院などを修了していなければなりません。一方で、公認心理師は大学および大学院で心理学について学習する必要があります。
したがって、臨床心理士の資格取得を目指すのであれば、公認心理師の受験資格も得られるよう心理学科のある大学に進むのがおすすめです。
立正大学心理学部では、公認心理師カリキュラムを実施しています。また、立正大学大学院心理学研究科臨床心理学専攻は、臨床心理士の第1種指定大学院の認可を受けています。
立正大学心理学部で4年間学んだ後、立正大学大学院心理学研究科臨床心理学専攻で2年間の学習を修了することで、臨床心理士と公認心理師どちらの受験資格もゲットできます。
気になる方は、以下からぜひホームページをチェックしてみてください。