2025/05/26
近年、「データサイエンス」という言葉に注目が集まっています。
データサイエンスとは、蓄積された膨大なデータを分析することで、有益な情報を得たり、課題を解決したりする試みです。
しかし、数学や統計学、プログラミング、ビジネス力といったさまざまな技術を必要とするデータサイエンスは、簡単に行えるものではありません。
そこで、「データサイエンティスト」という職業にも注目が集まっています。
今回は、データサイエンスとデータサイエンティストについて解説します。データサイエンスに興味がある方、データサイエンティストを目指そうか考えている方は必見です。
はじめに、データサイエンスとは何か、なぜ近年データサイエンスが注目されているのかを解説します。
データサイエンスとは、蓄積された膨大なデータを分析することで、価値のある情報を引き出す試みのことです。
データサイエンスを活用することで、魅力的な新商品・サービスを開発したり、企業の課題を解決したりすることにつながります。
例えば、オンラインショップで買い物をするとき、氏名や性別、生年月日などの入力が必要な場合が多いでしょう。時には、買い物後にアンケートへの回答を求められることもあります。
購入する私たちにとっては少し手間になるこの作業は、実は企業にとっては非常に価値のあるデータです。
というのも、蓄積された購入者のデータは、「いつ」「誰が」「どのような人が」「どの商品を」「どれくらい」として記録され、そのデータ群を分析することで、「この商品はこういう人に好まれやすい」「この商品が売れたのは○○が理由だ」という答えにつながるからです。
導き出された答えをもとに、企業は新しい商品・サービスを開発したり、商品・サービスの問題を改善したりできます。
そのため、データを分析して価値のある情報を導き出すデータサイエンスは、企業にとってもお客さまにとっても大切なプロセスなのです。
実際のデータサイエンスは、数学や統計学、情報科学、情報倫理、プログラミング、AI、経済学などを用いて行われます。
データサイエンスが注目されるようになった背景には、インターネットの急激な普及があります。
特に、2020年に始まるコロナ禍によって、オンラインショッピングやリモート授業などが一気に普及したのは記憶に新しいのではないでしょうか。
クラウド環境やインターネットを通したサービスが整備され、それを利用する方も増加したことで、インターネット上には莫大なデータが蓄積されるようになりました。
同時に、IT技術も急激な成長を遂げ、蓄積されたデータを管理したり、分析したりする技術も進化します。
企業や組織にとっては、データサイエンスの活用が新商品・サービスの開発や問題解決につながるのはもちろん、競合他社との差別化や企業の成長・安定にも役立ち、活用しない手はありません。
また、政府もデータサイエンスを推進しており、内閣府が打ち出している「Society 5.0」ではデータサイエンスが各所で重要な位置にあるほか、2022年からは高等学校の情報科で「情報I」が必修科目に、2023年からは「情報Ⅱ」が選択科目になるなど、データ活用と情報教育がますます重要視されています。
データサイエンスは、実際の現場ではどのように活用されるのでしょうか?
データサイエンスは、実は身近な場面で活用されているのです。
スーパーやホームセンターといった小売店舗やメーカーの倉庫では、常に在庫管理が発生しています。
在庫があれば、欲しいお客さまの手元にすぐ届けられるものの、在庫数があまりに多いと管理に余計なコストがかかってしまいます。
そこで、データサイエンスを用いて商品が売れる見込みや規則性が分かれば、おおよそ必要になるであろう在庫数が分かり、膨大な在庫を抱えなくて済むようになるのです。
メーカーから企業へ、企業からお客さまへ商品を届ける物流ですが、配送車両やドライバーの手配、配送ルートの設定など、いくつかのステップを経て商品は発送されます。
そこでデータサイエンスを用いると、時期や季節による物流量の変化や、最適な配送ルートなどが分かり、効率的な配送につながります。
医療の世界は、まだ不明なことだらけです。
しかし、データサイエンスを用いて膨大な患者さまのデータを分析することで、病気の解明や新たな治療法の発見へとつなげる試みが行われています。
例えば、性別や年齢、身体状況などからかかりやすい病気を割り出したり、これまでの投薬の記録からすでにある薬剤の新たな効果を発見したりすることが可能とされています。
ここまで、データサイエンスについて見てきました。
データサイエンスを活用することで、社会をよりよくしたり、ビジネスに役立てたりする職業が「データサイエンティスト」です。
ここからは、データサイエンティストについて、具体的な仕事内容も併せて紹介します。
データサイエンティストは、蓄積された膨大なデータを分析することで、企業や組織にとって価値のある情報を提供する職業です。
データサイエンティストによって得られた情報は、商品・サービスの開発や改善に活用されたり、業務の効率化や改善に利用されたりと、企業や組織の成長に直接的に役立ちます。
データサイエンティストは、主に数学や統計学、情報科学、情報倫理、プログラミング、AI、経済学などを用いて、データを分析していきます。
あらゆる業界で活躍できる職業で、自社でデータサイエンティストとして業務に従事するパターンと、データサイエンスを担う企業やフリーランスとして、顧客にサービスを提供するパターンがあります。
データサイエンスの必要性の強まりに対し人材不足の状況が続いており、今ニーズが非常に高い職業です。
なお、似ている職業に「データアナリスト」「データエンジニア」「AIエンジニア」がありますが、データサイエンティストと異なる点は以下のとおりです。
データサイエンティストはビッグデータや機械学習を駆使するのに対し、データアナリストは既存のデータを主に統計学を用いて分析し、ビジネスに役立てます。
収集したデータを分析しやすいように整備したり、データ分析基盤を構築したりします。いわばデータサイエンスの前段階です。
AI活用に特化した研究開発やシステム構築が仕事内容です。
データサイエンティストの仕事は、まず目標を立てることから始まります。
例えば、「この商品はなぜ想定より売れなかったのか?」「次に作る〇〇という商品はどうしたら売れるだろうか?」などです。ある結果について、ほかの事柄との因果関係を考え、その仮説を証明することを目的とする場合もあります。
目標が定まったら、すでに蓄積されたビックデータを活用して、もしくはデータを収集して、データサイエンティストとしての作業に取りかかっていきます。といっても、すぐにデータ分析に着手するわけではありません。収集したデータは、そのままの状態では分析しやすい状態ではなく、加えて目標とはまったく関係のないデータも入っている可能性があるからです。
そこで、データサイエンティストはまずデータのモデリングを行います。データのモデリングとは、前処理のことで、不要なデータの削除やフォーマットの統一などによりデータ分析をしやすい形式に整えます。
モデリングが終わると、いよいよデータ分析です。分析して得られた結果は、新商品・サービスの開発や課題解決といった目標に合わせてまとめ、レポートとして納品します。
以上が、データサイエンティストの仕事内容の一例です。
データサイエンティストになるには、何をすればいいのでしょうか?
データサイエンティストになるために、必ず取らなければいけない資格などはありません。しかし、特定の分野の勉強やスキルの獲得が求められます。
ここでは、データサイエンティストになるための道筋や、データサイエンティストに求められるスキルを紹介します。
データサイエンティストは、大学卒業以上の学歴であることがほとんどです。
また、数学や統計学、情報科学の知識・技術を求められるため、それらを専攻できる大学の学部を卒業していると、データサイエンティストとして就職できる可能性が高まるでしょう。
データサイエンティストとしての就職先については、IT企業やデータサイエンス専門会社のほかにも、製造業やサービス業などの企画・マーケティング部門、データ管理部門でデータサイエンティストとして採用されることもあります。
データサイエンティストには、数学や統計学、情報科学、情報倫理、プログラミング、AI、経済学のスキル・応用力が求められます。
また、クライアントの要望に的確に応えるため、コミュニケーション能力も欠かせません。
一方で、データサイエンティストになるのに特定の資格は必要ありません。無資格・未経験でも、新卒からデータサイエンティストとして採用されることもあります。
ですが、資格を持っていることで、データサイエンスに関する知識・技術が十分にあることを示せます。
データサイエンスに関する主な資格をいくつかピックアップしましたので、データサイエンティストを目指すのであれば取得を考えてみてください。
立正大学 データサイエンス学部は、2021年4月に開設された、新しい学部です。
データサイエンスへの深い理解や、データサイエンスを用いて社会貢献する力を培うことのできるデータサイエンス学部は、データサイエンスに興味がある人や将来データサイエンティストになりたい人にはおすすめの学部です。
ここでは、立正大学 データサイエンス学部のカリキュラムの特徴と、データサイエンティストへの道をサポートする特色を解説します。
立正大学 データサイエンス学部のカリキュラムは、文系・理系どちらの学生にも開かれているのが大きな特徴です。
1年次には、データサイエンティストとしての基礎知識を習得します。
具体的には、データサイエンスの基礎となる数学、統計学、情報科学、情報倫理、プログラミング、AI、マクロ経済学、ミクロ経済学、経営学などを、専門基礎科目群の必修科目として学ぶことが可能です。
2年次には、データサイエンスの基礎に加え、データサイエンスの応用を意識し、ビジネス、金融、観光、地理情報システム、環境、気象、スポーツなどの分野から履修する科目を選択できます。これにより、データサイエンスの知識や技術をどのように社会で生かせるかを理解できるでしょう。
3年次には演習科目の「ゼミナール」が始まります。
データサイエンスや応用分野をより深く理解しながら、データサイエンティストに必要な専門的知識・技能を修得していくことができる内容です。
4年次には、ゼミナールにて演習形式の授業でデータサイエンスに関する議論を深め、いよいよ卒業研究・卒業論文に取りかかっていきます。
4年間を通して、データサイエンティストとして、データサイエンスの成果を社会に還元できる力を獲得できるカリキュラムとなっています。
立正大学 データサイエンス学部では、さまざまな資格取得をバックアップしています。
特別講座やeラーニングシステムの導入により、認定資格である「GIS学術士」「社会調査士」のほか、「情報処理技術者試験」「ITパスポート試験」「統計検定」など、将来役に立つ多様な資格の取得をサポートしています。
また、教職課程を履修し、単位を取得すれば、高等学校で情報科目の教育が行える「高等学校教諭一種免許状(情報)」を所得できます。
資格を持っていると、就職活動や転職活動で有利になるのはもちろん、取得までの過程で、社会で活躍するデータサイエンティストとしての実践的な知識・技術を培えるでしょう。
また、学部独自のインターンシップも立正大学 データサイエンス学部の特徴です。インターンシップは、実際にデータサイエンスを用いたビジネスモデルを展開する企業や組織と連携して実施されています。
現場でデータサイエンスを用いながら、課題の発見や解決に取り組むことで、社会で即戦力となる応用力が身に付くはずです。
インターネットが普及し、データの蓄積や活用が容易になったことから、膨大なデータを分析して有益な情報を得たり課題を解決したりするデータサイエンスに注目が集まっています。
また、データサイエンスを活用して、新たな商品・サービスの開発や業務改善につなげるスペシャリストである、データサイエンティストという職業へのニーズも高まっている状況です。
立正大学 データサイエンス学部は、社会で即戦力となり活躍するデータサイエンティストを養成する学部です。
データサイエンスについて専門的に学びたい方や、将来データサイエンティストになりたい方は、ぜひ以下から立正大学 データサイエンス学部についても調べてみてくださいね。