心理学にはさまざまな種類があることをご存じでしょうか?
心理学は大きく分けると、すべての人間が持つ心の仕組みを理論的に解明する「基礎心理学」と、基礎心理学を実際の人間社会でのさまざまな場面に生かす「応用心理学」があります。そして、基礎心理学と応用心理学それぞれに、さらに多くの種類の心理学があるのです。
今回は、心理学の種類を基礎心理学と応用心理学に分けて、全32種類を解説します。記事の後半では、心理学を学ぶメリットや、心理学の二大資格「公認心理師」「臨床心理士」の違い、さらに一般企業での心理学の活用法を紹介します。
まず、心理学は大きく「基礎心理学」と「応用心理学」に分けられます。
基礎心理学とは、すべての人間が持つ心の仕組みを理論的に解明していく心理学です。
一方で応用心理学は、基礎心理学を実際の人間社会のさまざまな場面に生かす心理学です。
例えば基礎心理学には、心の動きが脳や体に与える影響を研究する生理心理学(生物心理学)や、体の発達とともに変化する心を分析する発達心理学があります。
一方で応用心理学には、心の病気を治療・予防することを目指す臨床心理学や、職場での人間心理を研究する産業心理学があります。
簡潔にまとめると、基礎心理学は人間に共通する心のメカニズムを研究・解明する心理学で、応用心理学は具体的な状況・環境に人間心理のメカニズムを当てはめて考える心理学といえるでしょう。
基礎心理学の主な種類を、12種類紹介します。
心の動きが、脳や体の状態にどのように影響するかを研究する心理学です。
ウソをつくと心拍数が上昇したり、汗をかいたりするといったことが代表的で、心電図や脳波を活用しながら研究します。
体の成長とともに変化する心を分析する心理学です。
発達心理学の中でも、乳幼児期・児童期・青年期・老年期と発達時期によって研究対象が分かれます。また、児童期や青年期に見られる「反抗期」も発達心理学の大きなテーマです。
学習した内容、すなわち経験が行動にどのように影響するかを研究する心理学です。
代表的なものに「パブロフの犬」があります。エサを与える前に必ずベルの音を聞かされていた犬が、次第にベルの音を聞くだけで唾液を出すようになった、という実験です。
社会での集団生活や集団心理など、社会的要素が人間の心に与える影響について研究する心理学です。また、集団内の人間関係についても研究します。
SNSの影響や人間関係も対象で、人間の社会性をテーマとしているため研究分野が非常に幅広いです。
社会心理学については以下のコラムで詳しく解説しておりますので、興味のある方はぜひ読んでみてください。
人間の記憶や思考などのメカニズムを分析して研究する心理学です。
例えば、思い込みや物忘れがどのようにして起こるのかを研究します。
知覚とは、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚などの感覚を通して、対象について把握することです。知覚心理学では、この知覚のメカニズムを研究します。
対象を本来とは違うものとして知覚する「錯覚」も、知覚心理学の大きなテーマです。
脳の神経系と心の関係性や、神経系が心に与える影響について研究する心理学です。
医療分野での活躍が大きく、例えば脳が損傷を負うと認知や記憶、行動に影響が出ることがありますが、このメカニズムを研究します。
人間は一人ひとり、性格や人格と、それに伴う行動が異なります。
性格や人格は、心理学においては「パーソナリティ」と呼ばれます。このパーソナリティと行動の関係性について研究するのが性格心理学(人格心理学)です。
人間が何らかの行動を起こした際に、「なぜその行動を起こしたのか?」を探る心理学です。
例えば、「恥ずかしいと思ったときに目をそらす」「ウソをつくと鼻を触る」といったように、心が行動に与える影響について研究します。
人間が言語を覚えていったり、新たな言語を作り出していったりする心理的メカニズムを研究する心理学です。方言も言語心理学の大きなテーマです。
言語学の一種としても扱われることがあります。
数学的な手法を用いて研究を行う心理学です。
例えば、微分方程式などの数理モデルや、ゲーム理論、コンピュータでのシミュレーションなどが用いられます。
心や行動に本来とは違う「異常」が現れた際に、「なぜ異常が起こっているのか?」「どうすれば正常に戻るのか?」などを研究する心理学です。
何をもって「異常」とするかの判断基準は多岐にわたります。個人の普段の行動を基準として、普段と異なる行動をとってしまうことを「異常」とすることもあれば、統計上のデータと照らし合わせて異なることを「異常」とすることもあります。
応用心理学の種類を、20種類紹介します。
うつ病や統合失調症など、心の病気を治療・予防することを目的とした心理学です。
主に医療現場で活用され、カウンセリングや心理療法によって患者にアプローチしていきます。薬の投与ではなく、心の病気の要因を探り、解決していくことで改善を図るのが特徴です。
産業活動や組織など、主に職場での人間心理を研究する心理学です。
具体的には、職場での心の動きや業務に対するモチベーションなどが研究の対象です。職場環境の改善やストレスケア、労働災害の防止などに生かされます。
コミュニティにおける人間心理に焦点を当てた心理学です。
地域や団体、学校などのコミュニティでは、主に人間関係に問題が発生しがちです。個々人がコミュニティで良好な人間関係を築き合い、安心して生活していくことに役立てるために研究されます。
学校現場において、よりよい・より効率的な教育を施すために用いられる心理学です。
子どもの健全な学習や人格形成をサポートしたり、ほかの子どもや教師と良好な関係を築いたりするために役立てられます。
学校現場において、子どもが直面する問題や悩みを解決するための心理学です。
学習や人格形成、人間関係の構築など、子どもの発達に焦点を当てた教育心理学と異なり、子ども一人ひとりの問題や悩みに向き合い、安全・安心な学校生活を送れるようサポートします。
心の状態がスポーツのパフォーマンスや結果に与える影響について研究する心理学です。
選手がより高いパフォーマンスで、よりよい結果を残せるようになるために、選手への指導や実践に心理学を取り入れます。
健康の維持・増進や疾病の予防のために用いられる心理学です。
ストレスや生活習慣、深い悲しみなど、健康に悪影響を及ぼす心理的要因のメカニズムを解明し、健康に役立てます。
犯罪や犯罪者の心理について研究する心理学です。
起こった犯罪に対し、過去の同じような犯罪事例から犯人の心理・傾向を導き出し、解決に役立てます。犯罪者の更生や防犯対策にも活用されています。
災害時の人間心理と行動について研究する心理学です。
災害が起こった後、人的な二次被害を防ぐために用いられます。地震や洪水などの災害だけでなく、仕事中の事故や交通事故なども含まれます。
家族関係を対象とした心理学です。
離婚や家庭内暴力、子どもの非行や不登校など、家庭内問題の解決のために用いられます。核家族化が進み、地域との関係が希薄となっている現在、特に重要視されている心理学です。
芸術作品を創造・鑑賞の両面から、心理学の手法を用いて分析していく心理学です。
美術や音楽、文芸、演劇など、芸術の部門によってさらに分野が分かれます。
消費者が商品・サービスを購入する心理的要因を研究する心理学です。
消費者の欲求や感情、過去の経験といった内的要因と、他者からの評価や流行といった外的要因の両面から探っていきます。経済学でもよく活用されている分野です。
交通における人間の心理や行動を研究する心理学です。
交通法規や道路標識の影響なども考慮しつつ、ドライバーや歩行者の交通事故防止に生かされます。
物理的な環境が人間の心理や行動に与える影響について研究する心理学です。
例えば、森や山といった自然環境にいると落ち着く、といったものが挙げられます。
人間以外の動物を対象とした心理学です。
動物にも、発達段階による行動の違いや社会性が見られることから、心理学の対象とすることは有効だと考えられています。動物がなぜその行動を行うのか、その行動がどう発達してきたかを研究します。
性行動と脳や心理とのつながりを研究する心理学です。
脳の機能や心理、性ホルモンといった内的要因と、環境などの外的要因からメカニズムを探っていきます。特に、性被害防止に役立てられます。
人間の心理・行動特性が、進化の過程でどのように変化してきたかを研究する心理学です。
例えば、キリンの首が長いのは高い位置にあるエサを食べるためですが、進化心理学では人間の心理的な特徴に目を向けて、進化の背景を解明していきます。
ポジティブ心理学とは、心の「病気を治す」というマイナスからの回復を目指すのではなく、どうすれば人間が「よりよく生きる(ウェルビーイング)」ことができるのかを追求する前向きな心理学です。
日常生活の幸福感や、自分自身の強みの発見などをテーマとし、困難な状況を乗り越えるためのレジリエンス(心の回復力)を育てる研究として注目されています。
現代の高校生にも身近な、インターネットやSNSが人間の心に与える影響を研究する分野です。
SNSでの「いいね」を求める承認欲求や、スマホが手放せなくなるインターネット依存、オンラインを通じた人間関係の構築などについて研究します。デジタル社会を心身ともに健康に生き抜くためのヒントを探る、今の時代に欠かせない学問です。
震災などの自然災害だけでなく、世界的なパンデミックのような緊急事態における人間の特殊な心理状態と、心のケアについて研究する分野です。
先行きが見えない不安な状況下で起きるパニックや、デマの拡散といった集団心理のメカニズムを解明し、被災後の適切な支援や心のケアに役立てられます。
心理学を学ぶことで「自分や他者を深く理解するスキル」が身につきます。具体的にどのようなメリットがあるのか見ていきましょう。
最大のメリットは、自分自身の心と向き合えることです。
自分の思考パターンや感情の癖を客観視できるようになります。その結果、怒りや不安のセルフコントロールが上手になり、進路選びなどの自己分析にも大きく役立ちます。
相手の言動の裏にある背景を推測できるようになり、コミュニケーションが円滑になります。
相手のしぐさに合わせて親近感を持たせる「ミラーリング」や、相手の言葉に深く耳を傾ける「傾聴」などのテクニックを学ぶことで、無用な衝突を減らし、よりよい人間関係を築けます。
トラブルが起きた際も、感情的にならず状況を整理できるようになります。問題の原因や人の心理がどのように働いているのかというプロセスを冷静に分析する力が向上するでしょう。
これは、社会に出てからも役立つ実践的な思考力です。
ここでは、心理学の二大資格である「公認心理師」と「臨床心理士」について、それぞれの特徴と違いを分かりやすく解説します。
公認心理師は、2017年に誕生した日本初の心理職の国家資格です。
国が認める資格であるため社会的な信用度が高く、活躍の場は保健医療から教育、福祉、司法、産業など、多岐にわたります。
病院で医師や看護師と連携してチームで支援を行うなど、幅広い対応力が強みです。
古くから日本の心理職を第一線で支えてきた、歴史と実績のある民間資格です。
資格取得には指定の大学院を修了する必要があるなど、高度な専門性が求められます。
カウンセリングなどの心理療法に深い知識と実践力を持ち、スクールカウンセラーなどとしても広く活躍しています。
臨床心理士については以下のコラムで詳しく解説しておりますので、興味のある方はぜひ読んでみてください。
近年は、「公認心理師」と「臨床心理士」両方の資格を取得する「ダブルライセンス」を目指す人が増えています。
現場で求められる専門性は異なります。公認心理師の幅広い対応力と、臨床心理士の心理療法への強い専門性を掛け合わせることで、より多様な人々の悩みに応えられる質の高いプロフェッショナルになれるでしょう。
心理学は、カウンセラーのためだけの学問ではありません。一般企業でのビジネスシーンでも、心理学の知識は幅広く求められています。
商品が売れる仕組みづくりには、消費者心理学の応用が不可欠です。
消費者の欲求や感情を分析し、魅力的な商品開発や心に刺さるキャッチコピーの作成などに、心理学の知見が直接活かされます。
社員が働きやすい環境を整える人事・マネジメント部門では、産業心理学が活躍します。
社員のモチベーション管理や適性を見極める採用基準の策定、ストレスケアなどのメンタルヘルス対策といった組織づくりに役立つでしょう。
最先端のIT分野でも心理学は重要です。
人間が物事をどう認識するかという認知心理学に基づき、ユーザーが迷わず使いやすいアプリの画面設計(UI/UXデザイン)を行うなど、開発現場でも重宝されています。
心理学には大きく基礎心理学と応用心理学の2つがあり、研究対象や活用する場によって数多くの種類に分けられます。価値観が多様化している今、心理学を学ぶことで社会での活躍の場が広がることは間違いないでしょう。
心理学は独学で知識を得ることも可能ですが、大学で学ぶ意義は実践的なカリキュラムにあります。機材を用いた実験や、実習を通じたリアルな経験、客観的なデータを用いて科学的に人間の心理を分析し、正しく読み解くスキルは、独学では決して得られない大学ならではの強みです。
立正大学心理学部には、「臨床心理学科」「対人・社会心理学科」の2つの学科があります。
臨床心理学科では、心理支援を含む対人支援全般に生かせる実践的な知識とスキルを、対人・社会心理学科では、コミュニケーションやプレゼンテーションといった実践的な対人スキルを学ぶことができます。
立正大学の心理学部が気になった方は、ぜひ一度オープンキャンパスにお越しください。
実際の研究設備を自分の目で確かめ、専門分野を持つ教員と直接対話することで、パンフレットだけでは分からないリアルな学びの雰囲気を感じ取れます。
「こころを理解しつながる。」立正大学心理学部は首都圏初の心理学部として、多くの「こころの専門家」を送り出してきました。価値観や生き方が多様化する現代社会の課題に幅広く適用できる力を、2つの応用領域から学んでいきます。
立正大学心理学部Webサイトへ