立正大学における教員および社会教育職員養成の基本理念は、第16代学長石橋湛山が立正精神を具体化した建学の精神、すなわち「真実を求め至誠を捧げよう」、「正義を尊び邪悪を除こう」、「和平を願い人類に尽そう」に求められる。
2005 年から立正大学の教育目的として掲げている『「モラリスト×エキスパート」を育む。』は、このような建学の精神をさらに具体化したものである。すなわち、本学は、確かなモラルに裏づけられた専門性を備えた人材の育成を目指す大学であることをうたっているのである。
本学における教員および社会教育職員の養成は、この目的の実現に向け、全学的な理解と協力の下に、教育職員免許法及び同法施行規則に基づき、次の3点を基本方針にしてカリキュラム編成を行っている。
上記基本方針に基づいたカリキュラム編成の具体的特質は、次の通りである。
立正大学における教員および社会教育職員養成の長きにわたる伝統は、こうした理念と基本方針に基づき、充実したカリキュラムの下で、教育的課題に積極的に取り組むことのできる優れた教員および社会教育職員を養成することによって育まれている。
初等教育の教員養成の理念は、①確かな子ども観・教育観に裏づけられた教育者として高い使命感をもち、子ども・児童に教育的愛情を注ぐこと②教科教育に関する専門知識をもち、児童理解に基づいた実践的指導力をもつこと③現代社会の要請に応え、困難な状況を乗り越えられる力量をもつことである。
現代社会は、少子高齢化、情報化、国際化がさらに進展し、児童虐待・いじめ・不登校・育児不安など、さまざまな難聞が出現してきている。このような問題に対応するには、今までにも増して、「福祉」「教育」双方の立場から、子どもを深く理解し、指導できる人材が求められているといえよう。そのため、福祉やソーシャルワークを理解した教員の養成は緊急課題である。また、子ども家庭福祉の問題に対して適切に対応でき、保護者や地域との連絡調整やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーとの連携を密にとれる教員を養成することが、社会のニーズに応えるものといえる。この社会的要請に対応するため、本学科は、福祉と教育の視点をもった幼稚園教諭養成および小学校教諭養成を行っていく。
特別支援学校の教育現場では、様々な問題に対処するために社会福祉やソーシャルワークを理解した教員が求められており、この学校現場のニーズ・要請に応えるために、本学では社会福祉学科に特別支援学校の教員養成課程を設置している。そのため、この教員養成課程の基本コンセプトを「社会福祉やソーシャルワークを理解した特別支援学校の教員を養成する」とし、また、めざす教師像を①教職に対する使命感や誇りを持ち、障害のある子どもたちに限りない教育的愛情を注ぐことができる教師 ②障害児指導に関する理論と実践力を兼ね備えた専門性を身につけた教師 ③社会福祉やソーシャルワークを理解し問題解決を図っていくことができる教師 ④保護者対応や教育現場でのティーム・ティーチングに必要なコミュニケーション能力を身につけた教師とし、学生の指導にあたっている。
立正大学では、教職課程および教員養成、ならびに社会教育主事養成課程にかかわる業務全般を全学的に円滑に運営することを目的として、下記の組織を置き、教職・社会教育課程運営への対応を行っています。
分掌業務 | (1) センター運営の基本方針に関する事項 (2) センターの予算・決算に関する事項 (3) センター所管業務に関する事項 (4) センターに関するその他の必要事項 |
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構成員 | (1) センター長 (2) 各学部から選出された教員各1名。(ただし、社会福祉学部からは、特別支援学校教員養成 課程、幼稚園教員養成課程、小学校教員養成課程を担当する教員から各1名) (3) 各大学院研究科から選出された教員各1名 (4) センター担当教員 (5) 社会教育主事・社会教育士養成課程を担当する専任教員 (6) 博物館長 (7) 図書館長 (8) 教学部長 (9) 学事課長 (10) その他運営委員会が必要と認めたもの |
教職員数 | 24名 ※2024(令和6)年4月1日現在 |
事務所管 | 学事課 |
教育職員免許状は、一種免許状、二種免許状、専修免許状、特別免許状に大別されますが、本学で取得可能な免許状は、学部生が大学卒業時に取得可能な一種免許状と、大学院生が大学院修士課程修了時に取得可能な専修免許状です。
免許状の種類はさらに校種・教科で細分化され、取得可能な中学校・高等学校教員免許状は、下表のとおり在籍する学部・学科や大学院の研究科・専攻ごとに定められています。(なお、幼稚園・小学校教員免許状については社会福祉学部子ども教育福祉学科のみ、特別支援学校教員免許については社会福祉学部社会福祉学科のみ、それぞれ取得可能です。詳細は 社会福祉学部ホームページを参照)
学部 | 学科 | 中学校教諭一種免許状【教科】 | 高等学校教諭一種免許状【教科】 | |
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仏教 | 宗 | 社会・宗教 | 公民・宗教 | |
仏教 | 社会・宗教 | 地理歴史・公民・宗教 | ||
文 | 哲 | 社会 | 地理歴史・公民 | |
史 | 社会 | 地理歴史・公民 | ||
社会 | 社会 | 地理歴史・公民 | ||
文 | 日本語日本文学 専攻コース | 国語 | 国語・書道 | |
英語英米文学 専攻コース | 英語 | 英語 | ||
経済 | 経済 | 社会 | 地理歴史・公民・商業 | |
経営 | 経営 | - | 商業 | |
法 | 法 | 社会 | 地理歴史・公民 | |
社会福祉 | 社会福祉 | 社会 | 公民 | |
特別支援学校教諭一種免許状 | ||||
子ども教育福祉 | 幼稚園教諭一種免許状 | |||
小学校教諭一種免許状 | ||||
地球環境科 | 環境システム | 理科 | 理科・情報 | |
地理 | 社会 | 地理歴史 | ||
心理 | 臨床心理 | 社会 | 公民 | |
対人・社会心理 | - | - | ||
データサイエンス | データサイエンス | - | 情報 |
研究科 | 専攻 | 中学校教諭専修免許状 【教科】 |
高等学校教諭専修免許状 【教科】 |
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文学 | 仏教学 | 社会・宗教 | 公民・宗教 |
英米文学 | 英語 | 英語 | |
社会学 | 社会 | 公民 | |
史学 | 社会 | 地理歴史 | |
国文学 | 国語 | 国語・書道 | |
哲学 | 社会 | 公民 | |
経済学 | 経済学 | 社会 | 公民 |
経営学 | 経営学 | - | 商業 |
法学 | 法学 | 社会 | 公民 |
社会福祉学 | 社会福祉学 | - | - |
地球環境科学 | 環境システム学 | 理科 | 理科・情報 |
地理空間システム学 | 社会 | 地理歴史 | |
心理学 | 臨床心理学 | - | 公民 |
応用心理学 | 社会 | 公民 | |
対人・社会心理学 | - | - |
立正大学では、全ての学部・学科および大学院研究科・専攻において、社会教育主事の任用資格並びに社会教育士の称号を得ることができます。
社会教育主事になるためには、必要単位を修得した上で、都道府県または市区町村が実施する公務員試験あるいは教育委員会の行う社会教育職員試験に合格し、社会教育主事補の職に1年以上勤務する必要があります。
氏名 | 担当科目 | 学位 | 主要業績 | |||
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岡田 愛 | 教職概論/教育職の研究 教育法学 教育行政学 教育実習(事前指導)/教育実践の研究 教職演習 教育実習Ⅰ 教育実習Ⅱ 教職実践演習[中・高] |
教員情報を参照 | ||||
鹿嶋 真弓 | 生徒理解と教育相談/生活指導の研究Ⅰ 教育実習(事前指導)/教育実践の研究 教職演習 学習心理学 青年心理学 教育実習Ⅰ 教育実習Ⅱ 教職実践演習[中・高] |
教員情報を参照 | ||||
所澤 潤 | 教職概論/教育職の研究 教育史 教育方法論Ⅱ 教育実習(事前指導)/教育実践の研究 教職演習 教育実習Ⅰ 教育実習Ⅱ 教職実践演習[中・高] |
教員情報を参照 | ||||
高橋 洋行 | 教育学の基礎 カリキュラム論 教育実習(事前指導)/教育実践の研究 教職演習 教育実習Ⅰ 教育実習Ⅱ 教職実践演習[中・高] |
教員情報を参照 | ||||
村上 美奈子 | 特別支援教育概論 教育方法論Ⅱ 教育実習(事前指導)/教育実践の研究 教職演習 教育実習Ⅰ 教育実習Ⅱ 教職実践演習[中・高] |
教員情報を参照 |
氏名 | 担当科目 | 学位 | 主要業績 | |||
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板野 晴子 | 音楽 領域[表現・音楽 保育内容の指導法[表現・音楽] 保育内容の理解と方法[音楽Ⅱ] |
教員情報を参照 | ||||
岡本 依子 | 教育保育心理学 子ども理解と支援演習 子ども家庭支援の心理学 |
教員情報を参照 | ||||
奥富 庸一 | 領域[健康] 保育内容の指導法[健康] 保育内容の理解と方法[身体表現] 初等体育 幼稚園実習1の指導 幼稚園実習1 初等教科教育法[体育] |
教員情報を参照 | ||||
志村 聡子 | 生活 | 教員情報を参照 | ||||
村尾 泰弘 | 教育相談 | 教員情報を参照 | ||||
新井 美津江 | 算数 初等教科教育法[算数] |
教員情報を参照 | ||||
藤高 直之 | 保育・教職実践演習[幼・小] | 教員情報を参照 | ||||
山田 修平 | 領域[表現・造形] 保育内容の指導法[表現・造形] 保育内容の理解と方法[造形] 初等図画工作 初等教科教育法[図画工作] 教育の方法と技術 [ICT活用を含む] |
教員情報を参照 | ||||
山田 知代 | 教育学の基礎 教育職概論 教育制度論 教育課程総論 幼稚園実習2の指導 幼稚園実習2 特別活動の指導法 |
教員情報を参照 | ||||
門脇 大輔 | 社会 初等教科教育法[社会] 初等教科教育法[生活] 総合的な学習の時間の指導法 道徳の理論と指導法 小学校教育実習の指導 小学校教育実習 |
教員情報を参照 | ||||
神林 哲平 | 領域[言葉] 保育内容の指導法[言葉] 国語 初等教科教育法[国語] 小学校教育実習の指導 小学校教育実習 |
教員情報を参照 | ||||
齋藤 正樹 | 幼稚園実習2の指導 幼稚園実習2 |
教員情報を参照 |
氏名 | 担当科目 | 学位 | 主要業績 | |||
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白井 健次 | 障害者教育総論 特別支援教育課程論 知的障害教育 視覚・聴覚障害教育総論 特別支援学校教育実習 |
教員情報を参照 | ||||
児嶋 芳郎 | 肢体不自由教育 重複障害教育総論 |
教員情報を参照 | ||||
打浪 文子 | 知的障害者の心理 | 教員情報を参照 |
前項の教員養成・社会教育職員養成理念の実現に向けて、学内では全学部・大学院研究科からなる立正大学教職教育センターを設置して全学的態勢をととのえるとともに、「教育の基礎的理解に関する科目等」、「教科の指導法に関する科目」、「教科に関する専門的事項」を開設している各学部の教育的充実を図っている。
また、対外的には、全国私立大学教職課程協会、関東地区私立大学教職課程研究連絡協議会、東京地区教職課程研究連絡協議会、全国社会教育職員養成研究連絡協議会等を通じ、各キャンパスの所在地である品川と熊谷はもとより近隣及び全国の大学ならびに東京都教育委員会、埼玉県教育委員会、熊谷市教育委員会等と緊密な連絡を取りながら連携・協力を進め、情報交換ならびに資料蒐集を通じて、教職教育の質的充実を図ることに努めている。
初等教育教員養成においては、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた指導法について、大学教員のFD研修などで具体的に学んでいる。
学生に対しては、単に教員採用試験の受験対策だけではなく、正規合格者、産育休代替教員、臨時任用教員など就職先の区別なく、教員としての資質向上のため学内で第4学年の10月~3月にかけて任用前研修を実施し、教員の服務、学級経営、教科指導、生活指導、保護者対応、児童心理等についての研修を行っている。また、このことを、社会福祉学部のパンフレットや、オープンキャンパスでも公表している。