「将来公務員になるためには、今のうちから何か資格を取っておくべき?」と疑問に思う学生さんは少なくありません。
結論からいうと、地方公務員になるために資格が必須かどうかは、希望する「職種」によって分かれます。行政事務職は原則不要ですが、資格の所持が前提で採用が決まる職種もあります。
一方で、「必要ないけれど、取っておくと業務に役立つ資格」もあるのは事実です。
この記事では、地方公務員の職種別の資格の必要性やおすすめ資格、さらに地方公務員になるまでの道筋や試験概要まで、分かりやすく解説します。
初めに、地方公務員に資格が必要かどうか、職種別に見ていきましょう。
地方公務員の採用試験は、大きく分けて「行政事務職」「資格免許職」「技術職」の3区分で実施されることが一般的です。それぞれの職種において、資格がどのように扱われているのかを整理していきます。
| 職種区分 | 受験時の資格の必要性 | 主な職種の例 |
|---|---|---|
| 行政事務職 | 原則不要(年齢などの要件を満たせば可) | 一般事務、学校事務、警察事務など |
| 資格免許職 | 必須(卒業時の取得見込みを含む) | 保育士、管理栄養士、司書、保健師など |
| 技術職 | 原則不要(指定された専門課程の履修が必要な場合あり) | 土木、建築、電気、機械、農学など |
地方公務員の中でもっとも採用枠が多く、窓口業務から地域の企画立案、税務、福祉まで、幅広い行政サービスを担うのが行政事務職です。地域によって、「行政職」「事務職」「一般行政職」などと呼ばれることもあります。
行政事務職を受験するにあたって、簿記や語学スコア、法律関連などの特別な資格は原則として必要ありません。多くの自治体では、「年齢要件(例:22歳~35歳未満など)」を満たしていれば受験が可能です。
資格が求められない代わりに、試験では「教養試験(高校までに学んだ一般常識)」や「専門試験(法律や経済学、行政など)」、そして面接などの人物評価が課されます。
つまり、事前に特定の資格を取得しておくことよりも、公務員試験そのものを突破するための地道な学習と対策が求められる領域といえるのです。
一方で、その業務を行うために法律で定められた国家資格などが必要不可欠な職種があります。これが「資格免許職」と呼ばれる区分です。
代表的な職種としては、
などが挙げられます。
これらの職種を受験するためには、原則として「該当する資格・免許をすでに持っていること」、または「採用予定日(大学卒業時)までに資格を取得する見込みであること」が絶対条件です。
注意すべき点として、「取得見込み」で受験して自治体から内定をもらえたとしても、大学卒業時の国家試験などに不合格となり資格を取得できなかった場合は、原則として内定取り消しとなります。
地方公務員の資格免許職としてこれらの職種を目指す場合は、まずその国家資格の受験資格を得られる大学・学部に進学することが第一歩となるでしょう。
道路や河川などのインフラ整備に携わる「土木職」や、公共施設の設計や維持管理を行う「建築職」など、理系分野を中心とした区分が「技術職」です。
代表的な技術職を以下にまとめました。
「建築士や測量士といった国家資格が最初から必要なの?」と不安に思うかもしれませんが、大学新卒者向けの試験では、国家資格の取得を受験の必須条件としていない自治体がほとんど。これは、資格の有無ではなく、公務員試験の専門試験(大学で学んだ工学や農学の専門知識)の点数で評価されるためです。
一方で、資格自体は不要でも、「大学などで土木や建築などの専門課程を履修していること」を受験資格として定めている自治体もあります。そのため、地方公務員の技術職を目指すのであれば、自分の就きたい分野に直結する大学の学部(理工学部や農学部など)に進学し、専門知識を体系的に学んでおくことが重要です。
ここで、地方公務員を目指す方におすすめの資格をまとめます。
詳しくは後述しますが、資格が不要な行政事務職でも、資格を持っておくことで多くのメリットがあります。代表的なおすすめ資格は以下のとおりです。
資格免許職の分野別に必要な資格を一部紹介します。
技術職向けのおすすめ資格としては、大学で学んだ内容がそのまま試験に出題され、なおかつ入庁後の業務に役立つものが挙げられます。
特に一般行政職を目指す方なら、「公務員になるなら、筆記試験の勉強だけで十分なのでは?」と考える方もいるでしょう。
しかし、資格取得には実は多くのメリットがあります。
地方公務員の仕事は、福祉から税務、都市開発、環境保護まで多岐にわたります。どの部署に配属されても、そこでは法律や専門用語に基づいた、正確な業務が求められます。
例えば、税務や会計の部署であれば「日商簿記」、窓口業務や多文化共生に関わる部署であれば「語学」に関する資格、ITによる業務改革(DX)を推進する部署であれば「ITパスポート」といった資格の知識が、そのまま実務の土台となるでしょう。
資格の学習を通じて得た体系的な知識があれば、配属直後から業務の全体像を把握しやすくなるのはもちろん、住民の方々に対しても根拠に基づいた丁寧な説明が可能になります。
このように、入庁前から業務に関する資格を取得しておくことで、早期からスムーズに実務をこなせるようになるのです。
地方公務員試験では近年、受験生の多様な能力を評価するために、特定の資格保有者を優遇する制度を設ける自治体が増えています。
代表的なのが資格加点制度です。受験者が、自治体が指定する資格を保有している場合、試験で一定の点数を上乗せする仕組みを取り入れている場合があります。例えば千葉県千葉市では、「上級・事務(行政B)」において、英検準1級以上やTOEIC730点以上といった要件に該当する場合、語学加算として二次試験の面接試験で加点する制度があります。
また、こちらは主にキャリア採用(新卒ではなく、民間企業などで経験を積んだ社会人を採用する)枠ですが、特定の資格を持っていることで試験が免除になるケースも。
志望する自治体がどのような資格を評価しているのか、早い段階から公式サイトの「受験案内」をチェックしておくことが大切です。
出典:試験概要:上級(大学卒業程度)・資格免許職(上級相当)千葉市ホームページ
公務員試験の面接では、受験生の主体性や継続して学ぶ力が重視されます。「私は努力家です」と言葉で伝えることは簡単ですが、それを客観的に証明するのは難しいものです。
そこで、大学時代に計画を立てて取得した資格が大きな役割を果たします。資格を取得したということは、当然ながら勉強や対策に打ち込み、目標を達成したという経験があるということ。
また、なぜその資格を選んだのか、学習の過程でどのような困難があり、それをどう乗り越えたかというエピソードは、面接官にとって非常に魅力的な自己PRになります。
資格は単なる知識の証明ではなく、受験者の「課題に向き合う姿勢」を証明する強力な根拠になるのです。
地方公務員を目指すための本格的な準備や資格取得は、大学入学時点から計画的に進めるのがおすすめです。ここでは、地方公務員を目指す学生さん向けに、大学選びのコツをお伝えします。
「行政事務職」を目指す場合、特別な資格は必要とされません。しかし公務員試験の筆記試験の出題範囲は、一般教養から憲法や民法、経済学などの専門分野まで非常に幅広く、長期間にわたる計画的な対策が求められます。
そこでおすすめなのが、学内で公務員試験対策や資格取得のサポートを実施している大学への進学です。普段の講義と並行して試験対策に取り組むことができ、分からないことがあってもすぐに質問できる環境が整っているため、安心して学習を進められるでしょう。
立正大学では、公務員を目指す生徒向けに「公務員採用試験対策講座」や「公務員等インターンシップ」を実施しています。公務員採用試験対策講座では講義はもちろん、個別相談・模擬面接も行い、充実したサポートを提供。公務員等インターンシップでは、実際に公務員の仕事を省庁や自治体で体験可能です。
そのほか、各学部にて資格取得講座を開講しています。国家資格や日商簿記、MOS、TOEICなどさまざまな講座を用意しているので、気になる方はぜひ以下をご覧ください。
保育士や薬剤師、保健師といった特定の国家資格が必須となる「資格免許職」を目指す場合は、大学・学部選びがさらに重要になります。なぜなら、これらの国家資格の多くは、「国から指定された大学・学部へ進学し、所定のカリキュラムを修めて卒業すること」が、国家試験を受験するための絶対条件となっているからです。
つまり、「どの大学のどの学部に進学するか」を選択した時点で、将来就くことができる資格免許職への道筋が大きく決まることになります。これは、大学で学んだ専門知識がそのまま試験に出題される「技術職」も同じです。
希望する職種がすでにある場合は、志望する大学が国家試験の受験資格が得られるカリキュラムを提供しているか、試験対策が充実しているかを、厚生労働省や文部科学省、大学の公式サイトなどで必ず確認しましょう。
地方公務員試験における資格の必要性は、職種によって異なります。
資格免許職を目指すなら、まずは国家試験の受験要件を満たす大学・学部へ進学することが不可欠です。また行政事務職などを希望する場合でも、実務や語学、IT関連の資格を取得しておくと、入庁後の業務や面接試験時に役立ちます。
地方公務員を目指す方、資格取得を考えている方は、ぜひ「公務員試験対策講座」や「資格取得講座」を実施している大学への進学も検討してみてください。
立正大学では、「公務員採用試験対策講座」や「公務員等インターンシップ」のほか、各学部主催の「資格取得講座」を通して、学生さん一人ひとりをサポートしています。