2025/10/01
将来、何の職業に就きたいか考えたときに、「公務員」という選択肢が浮かぶ方は多いでしょう。
国や地域のために働けるというやりがいや、制度に支えられているという安定性から、公務員は非常に人気のある仕事です。
公務員になるには、公務員試験に合格することが絶対条件。さらに、公務員にもさまざまな種類があるので、「公務員になりたいけど、何から始めればいいのか分からない」とお悩みの方も多いはず。
そこで今回は、公務員になる方法を徹底解説。公務員の種類や試験の内容・対策、公務員になるのに資格は必要なのか、さらに公務員のキャリアについても解説します。
公務員を目指している方、公務員に興味がある方は、ぜひ最後までご覧ください。
公務員になるには、「公務員試験」に合格する必要があります。
なりたい公務員やこれまでの経験によってルートは変わりますが、原則として公務員になりたいすべての人は、公務員試験を受けることになります。
公務員試験を実施しているのは、国または自治体です。後ほど詳しく解説しますが、公務員は「国家公務員」と「地方公務員」に分かれており、国家公務員試験は人事院が、地方公務員試験は各自治体が実施しています。
公務員の種類はさまざまで、公務員試験も種類によって内容が大きく変わってきます。そのため、まずは「自分がどの公務員になりたいのか」を考えた上で、公務員試験の対策に取りかかっていきましょう。
公務員は、「国家公務員」と「地方公務員」の2つに分かれます。
その中でもさまざまな種類があるので、詳しく見ていきましょう。
初めに、代表的な国家公務員の種類や仕事内容を解説します。国家公務員についてさらに詳しく知りたい、試験情報を知りたいという方は、以下から人事院のホームページを参照してください。
出典:国家公務員試験採用情報NAVI人事院
地方公務員は、各都道府県や政令指定都市、市町村に所属する公務員で、細かな種類も各自治体によって異なります。
ここでは、どの自治体でも見られる、代表的な地方公務員の種類を見ていきましょう。
働きたい自治体の詳しい情報が知りたい場合は、「○○県 公務員試験」などと調べてみてください。
基本的に、公務員になるのに資格は必要ありません。
しかし、一部の職種においては資格や国籍、身体的な部分で条件が設定されている場合があります。
特に専門的な知識や技術を必要とする仕事内容の場合、それに関連する国家資格が求められることが多いです。例えば、看護師が地方公務員として働く場合には看護師免許、保育士が地方公務員として働く場合には保育士資格が求められます。
ほかにも、国家公務員は日本国籍を持たない方はなることができません。また、警察官になるには一定の身体的条件を満たす必要があります。
加えて、「大卒程度」や「高卒程度」といった学歴や知識レベルが求められる場合もあります。
さらに、経験者枠で募集されている職種については、当然ながら経験がなければ応募することはできないので、自分がなりたい公務員と募集要項については、しっかりと確認するようにしましょう。
公務員試験は一度に実施されるわけではなく、職種ごと、地域ごとに実施されます。そのため、スケジュールについては自分がなりたい公務員の募集要項を早いうちからチェックすることが大切です。
ここでは、国家公務員試験(総合職)と、都道府県や政令指定都市が実施する大卒程度向けの地方公務員試験である「地方上級」の2つを例に、公務員試験の内容を紹介します。
国家公務員試験の総合職では、一次試験に基礎能力試験と専門試験が出題されます。試験形式は筆記で、どちらも択一式です。
基礎能力試験では、数的処理や文章理解、資料解釈、自然科学・人文科学・社会科学などの内容が出題され、民間のSPIに近いものの、より難易度が高い内容といわれています。
専門試験では、区分によって法律・経済・政治国際などの専門科目が出題されます。
一次試験に合格すると、次は二次試験です。二次試験は記述式で、一次試験の専門試験同様に法律・経済・政治国際人文のいずれかで専門知識が問われます。
また、二次試験では「政策論文試験」と「人物試験」も実施されます。政策論文試験は「政策の企画立案に必要な能力その他総合的な判断力及び思考力についての筆記試験」とされており、資料に英文が含まれているため、ある程度の英語力も必要です。
人物試験は面接官3人と受験者1人での面接です。これらすべてをクリアすると、合格となります。
地方公務員試験の出題内容は各自治体で違いが見られます。また、問題の区分は「教養択一」「教養記述」「専門択一」「専門記述」の4つに分かれますが、どれを出題するかも各自治体によって異なります。
しかし、この中で教養択一と専門択一については、「全国型」と呼ばれるベースがあり、多くの自治体はこの全国型をベースに、問題を足したり引いたりして出題している傾向です(東京都や大阪府など、独自の問題を出題する自治体もあります)。
全国型の教養択一と専門択一の出題科目は以下のとおりです。
教養択 | 専門択一 |
---|---|
・数的処理 ・文章理解(現代文、英文、古文) ・人文科学 ・自然科学 ・社会科学 |
・憲法 ・民法 ・行政法 ・刑法 ・労働法 ・経済原論 ・財政学 ・政治学 ・行政学 ・国際関係 ・社会政策 ・経営学 |
公務員にはさまざまな種類があり、受ける試験もさまざまだということが分かりました。
「自分がどの公務員を目指すべきか分からなくなってきた」という方もいるかもしれません。
そこで、ここでは学歴別で目指せる公務員をご紹介します。
公務員試験は、種類や地域によって差はあるものの倍率が高めな傾向です。そのため、公務員試験に受かるには入念な対策が必要となります。
一般的に、公務員試験は得点率6割が合格・不合格のボーダーラインといわれています。安心するには7~8割を安定して取れるようになる実力を備える必要がありますが、公務員試験対策はどのように行えばよいのでしょうか。
ここでは、公務員試験の対策の仕方を解説します。
最初に、自分が受けたい公務員試験の出題範囲を理解しましょう。
公務員試験は、以下のような科目が出題されることが多いです。
【教養試験】
・数的処理(判断推理や数的推理、資料解釈)
・文章理解(現代文や古文、英文)
・社会科学(政治や経済、法律など)
・人文科学(歴史や地理、文学など)
・自然科学(数学や物理、化学、生物など)
また、試験によっては以下のような内容が含まれている場合もあります。
【専門試験】
・法律系(憲法や民法、行政法など)
・経済系(ミクロ・マクロ経済や財政学、経済政策など)
・行政系(政治学や国際関係、社会政策など)
【論文・作文試験】
時事問題や社会課題について論理的に書く力が求められます。
【面接試験】
志望動機や自己PRを話します。人物を重視する傾向が強まっています。
出題範囲が分かったら、いよいよ勉強に取り組んでいきます。
公務員試験対策ができる参考書や問題集は、市販で多く販売されています。自分が受ける予定の公務員試験の対策をしているテキストを探して、入手しましょう。
公務員試験で大切なのは、「出題数が多い科目から重点的に勉強する」ことです。
特に数的処理と文章理解は出題数が多く、より多く得点できる力を身に付けておくことが重要。もちろん、出題範囲すべてで十分に得点力を養っておくことが望ましいですが、出題数が多い = 合計点に占める割合が大きい科目は、重点的に勉強しておきましょう。
参考書や問題集である程度実力がついたら、過去問を解いてみましょう。
過去問は実際に出題された問題。そして、「過去問を所々変えた」という問題が出題されることも少なくないので、過去問は網羅しておきたいところです。
さらに、過去問は出題傾向を把握する近道となります。やみくもに過去問を解くのではなく、「この問題は前年のこの問題と似ている」という風に、出題傾向を分析できるとよいでしょう。
試験の中には、「全体では合格点以上でも、1つの科目で一定の得点以下だった場合は不合格とする」という、「足切りライン」が設定されているものもあります。苦手科目をつくらず、全体で7~8割得点できるよう目指してください。
論文・作文対策としては、新聞や時事問題を日常的にチェックしておきましょう。また、テーマごとに「現状 → 課題 → 対策 → 自分の考え」の型で書く練習をしておくのがおすすめです。
論文・作文対策に特化した参考書もあるので、入手してみるのも一つの手。高校や大学に通っていて、頼れる先生がいる場合は、添削をお願いしてみましょう。
面接対策では、志望動機や自己PRなど、本番で言うことをまとめておくのはもちろん、模擬面接をして慣れておくのも重要です。家族や友人、学校の先生など、ほどよく緊張しながら練習できる相手に頼ってみてください。
また、「なぜ国家公務員なのか」「なぜ○○県なのか」といった質問はされやすいので、省庁や自治体の情報を集めて、「なぜなりたいのか」を希望就職先の実態に合わせて考えておきましょう。
また、近年は人物重視の傾向が強まっているので、笑顔でハキハキ話すことを心がけてください。
大学に通っている方、またはこれから大学進学を考えている方は、大学に公務員試験対策講座が設置されていないか確認してみてください。
例えば、立正大学では「公務員採用試験対策講座」を開講しています。
学内講座なので、効率よく週2~4日の講義を受講できます。加えて、試験傾向に合わせた分かりやすい講義、個別相談・模擬面接など、受講生サポートが充実しているのも魅力です。
さらに、公務員に興味がある方向けに、省庁や自治体などへのインターンシップも実施しているので、「公務員に興味があるけれど、具体的にどんな仕事をするのか分からず不安」という方にはおすすめです。
公務員採用試験対策講座は、事前にガイダンスを行っているので、受講したい方は掲示板やポータルサイトでスケジュールを確認し、ご出席ください。
公務員のキャリアは、国家公務員か地方公務員か、総合職か一般職かなどで大きく異なります。
ここでは、国家公務員の総合職と一般職、そして地方公務員のキャリアの例を紹介します。
国家公務員の総合職は、入省・入庁直後から幹部候補として期待されます。入省・入庁してから1~2年の間は、基礎的な実務を担いながら省庁全体の仕組みについても学ぶことが多いです。
3年目以降は、政策立案に関わったり、関係機関との調整を行ったりとコア業務に携わるようになります。部下の指導やマネジメントも任されるようになるでしょう。
その後、係長 → 課長 → 局長と昇進していくと、重要な政策の立案や国会への対応、予算要求など、国を動かす仕事が増えていきます。
昇進が緩やかとされている国家公務員の一般職ですが、国を陰から支える縁の下の力持ちとしての役割が非常に大きいです。
入省・入庁後は、資料作成やデータ集計など、基本的な実務に携わります。入省・入庁から数年が経つと、業務はより専門的な内容にシフトし、各種制度を運用するために必要な実務やシステム管理を担うようになるでしょう。
やがて、部署のマネジメントや、部下の指導・育成にも携わるようになります。
地方公務員のキャリアは、基本的に年功序列になっているのが大きな特徴です。
入職から10年程度は、行政に関する業務を幅広く行います。その後は、専門的な知識や経験を積み、マネジメントや部署の取りまとめ役を担うことも多くなります。
やがて、組織運営といった中心的な役割や、後進育成を担うようになるというのが、一般的なルートです。
公務員になる方法や試験、キャリアについて解説しました。
公務員になりたいという方は、まず公務員にはどんな種類があるかを調べましょう。そして、なりたい公務員が見つかったら、募集要項や受験資格を確認した上で、公務員試験に向けて勉強と対策を始めてください。
公務員試験の対策をするなら、大学の講座を活用するのも一つの手です。大学の中には、公務員試験対策講座を開講しているところもあります。
立正大学では、「公務員採用試験対策講座」を開講しています。
週2~4日の講義を効率よく受講できるのに加えて、試験傾向に合わせた分かりやすい講義、個別相談・模擬面接など、充実した受講生サポートが魅力です。
立正大学が気になった方は、ぜひ以下からホームページをご覧ください。