大学の学部選びをしている中で、「社会学部」や「社会学科」という名前を目にするかもしれません。しかし、「高校の社会科と何が違うの?」「具体的にどんなことを学ぶの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
実は、大学の社会学は、私たちが日々感じている「当たり前」や、ちょっとした「生きづらさ」の裏側にある社会の仕組みを解き明かす、非常に面白い学問です。
この記事では、社会学の基本的な考え方から、大学でのカリキュラム、関連資格や卒業後のキャリアまで、分かりやすく解説します。
初めに、社会学とはどのような学問なのかを解説します。
社会学とは、一言でいうと、私たちが生きている「社会の仕組み」と「人間の行動や意識」の関係を解き明かす学問です。
高校までの「社会科」は、すでに決まっている制度や歴史などの知識を学ぶ科目でした。しかし大学の「社会学」は、「なぜ社会はそのようになっているのか?」「当たり前だと思っているルールの裏には何が隠れているのか?」と、現実に対して自ら疑問を投げかけることからスタートします。
「就職活動がつらい」「SNSで人と比べて落ち込む」……などの個人の悩みを、性格や努力不足のせいにするのではなく、「社会の構造や価値観がどう影響しているのか」という広い視点から分析するのが大きな特徴です。
社会学の最大の特徴は、「人間が集まり関係性を築く場所なら、すべてが研究対象になる」という点。そのため、研究分野は非常に多岐にわたります。
代表的なものを以下にまとめました。
このほかにも、環境やジェンダー、福祉、労働問題など、日常のあらゆる事象が研究テーマになり得ます。個々の興味・関心そのものが学問の入り口となる点が、社会学の大きな魅力です。
社会学は、法学や経済学と同じ「社会科学」に属します。では、これらとはどう違うのでしょうか。
まず、法学は社会のトラブルを「法律」や「権利・義務」という明確なルールに当てはめて解決を目指す学問です。一方の経済学では、お金やモノの流れ、市場のメカニズムなど、「利益」を軸に社会の動きを分析します。
これに対して社会学は、法律や経済の合理性だけでは割り切れない「人間の非合理な感情」「目に見えない同調圧力」「暗黙のルールや文化」などを扱います。
法学や経済学が社会の明確な骨組みを研究するとすれば、社会学はその隙間にある人間関係や、社会のグラデーションを総合的に見つめる学問といえるでしょう。
また、哲学や歴史学などの「人文学」が人間の内面や思想、過去の文献を深く掘り下げるのに対し、社会学は「現在の社会」を対象とし、実際にデータを収集して実証的に研究する点に特徴があります。
社会学が単なる机上の空論や個人の感想にならないために不可欠なのが「社会調査」です。
社会調査とは、頭の中で考えるだけでなく、実際に社会に出てデータを集め、客観的な根拠に基づいて社会の実態を把握するための手法です。大きく分けて以下の2つのアプローチがあります。
社会学部や社会学科に進学すると、こうした調査の設計からデータの分析方法までを専門的に学べます。データに基づいて社会を正確に読み解くスキルを身につけられるため、卒業後は公務員や企業のマーケティング、企画職などにおいても活用できるでしょう。
多くの大学では、1年次から4年次にかけて、基礎から実践、そして専門的な研究へとステップアップしていくカリキュラムになっています。
大学の社会学部や社会学科で学べることを見ていきましょう。
主に1~2年次で学ぶのが、社会学の土台となる「基礎理論」と「調査手法」です。
まず「基礎理論」では、過去から現在までの社会学者が、社会のさまざまな現象をどう説明してきたかを学びます。これにより、常識を疑い、多様な視点から物事を捉える力を養います。
同時に非常に重要なのが、「調査手法」の習得です。社会学は客観的な根拠を重んじるため、アンケートの作り方やインタビューの技法を基礎から学びます。
また、統計学の授業を通じて、世の中のデータの正しい読み解き方や、表計算ソフトを使った基本的なデータ分析の手法を身につけることも欠かせません。
これらは、「社会調査士」という資格取得に向けた重要なステップにもなります。
2~3年次になると、教室での座学から一歩踏み出し、実際に社会へ出て調査を行うという実践的なカリキュラムに移ります。
例えば、学生同士でチームを組み、自ら設定したテーマに基づいてアンケートやインタビューの企画・設計を行う「社会調査実習」が代表的です。実際に調査票を配布・回収し、専用の統計ソフトを用いてデータを分析し、最終的に報告書としてまとめるという、一連のプロセスを体験します。
「フィールドワーク」では、特定の地域コミュニティや企業、あるいは社会問題の現場などへ実際に足を運びます。現地の人々のリアルな声をヒアリングしたり、その場の雰囲気や行動を観察して細かく記録したりすることで、数字のデータだけでは見えてこない生きた社会の実態を知ることが可能です。
3年次からは、自分の興味・関心にもっとも近い専門分野の「ゼミ(演習)」に所属し、少人数で議論を深めていきます。家族やメディア、都市、ジェンダーなどを専門とする教員のもとで、より高度な文献を読み込み、それぞれのテーマを深く掘り下げます。
そして大学4年間の集大成となるのが「卒業論文」です。
例えば「若者はなぜSNSで複数のアカウントを使い分けるのか」「地方移住を成功させる要因は何か」といった独自の問い(リサーチクエスチョン)を立てます。これまでに学んだ理論と、実習で身につけた社会調査のスキルをフル活用して自らデータを集め、一つの論理的な学術論文として書き上げます。
このようにして、社会学部や社会学科の学生は、大学4年間を通し「自ら問いを立て、客観的なデータに基づいて論理的に答えを導き出す力」を養っていくのです。
社会学の関連資格として、もっともオーソドックスなのが「社会調査士」の資格です。
ここでは、社会調査士がどのような資格で、どうすれば取得できるのかを解説します。
社会調査士については以下のコラムで詳しく解説しておりますので、興味のある方はぜひ読んでみてください。
出典:社会調査士とは一般社団法人 社会調査協会
社会調査士とは、世の中の動向や人々の意識を正しく把握するための「社会調査」について、基本的な能力や知識を持つ専門家であることを証明する資格です。一般社団法人 社会調査協会が認定しています。
世の中にあふれるアンケート結果や統計データの中には、集め方に偏りがあったり、見せ方によって誤解を招いたりするものが少なくありません。社会調査士の資格は、調査の企画からデータの収集、分析、報告書の作成までの一連のプロセスを体系的に学んだ証になります。
この資格を持つことで、「データを正しく読み解き、客観的な根拠に基づいた論理的な提案ができる人材」として評価されます。そのため、大学卒業後は企業のマーケティングや商品企画、マスコミ、公務員など、データを扱う幅広い職種でスキルを活かせるでしょう。
社会調査士は、試験会場に行って受験するような資格ではありません。社会調査協会の資格制度に参加している大学・学部に入学し、定められたカリキュラムの単位を修得して卒業することで取得できます。
具体的には、標準カリキュラムとして定められた「A~G」の科目群(統計学の基礎や調査方法の理論、データ分析ソフトの使い方、実際に自分で調査を行う実習など)を、日々の大学の授業として履修していきます。
また、在学中(2年次以降で一定の単位を修得した段階)に「社会調査士(キャンディデイト)」という見込み資格の認定を受けることも可能です。就職活動の履歴書に記載できるため、「実践的なデータ分析のスキルを学んでいる」という強力なアピール材料になります。
もし社会学に興味があるなら、志望校選びの際に「社会調査士の資格が取得できるカリキュラムが用意されているか」を一つの基準にしてみてはいかがでしょうか。
なお、立正大学では、以下の3つの学科で社会調査士の資格を取得できます。
ここまでの内容から、社会学部や社会学科では、就職後にも活用できる実践的なスキルを磨けることをご理解いただけたかと思います。
ここからは、社会学部・社会学科卒業生の具体的なキャリアをご紹介します。
社会学部や社会学科で学ぶ「量的調査(アンケートなどの統計分析)」のスキルがもっとも直接的に活きるのが、マーケティングリサーチャーやデータアナリストといった職種です。
マーケティングリサーチャーやデータアナリストは、消費者の行動や市場のトレンドをデータから読み解き、新商品の開発や販売戦略の立案につなげる仕事です。
社会学の授業や社会調査士資格の取得過程で身につけた「データに潜む偏りを見抜く力」や「統計ソフトを用いた関連性の分析技術」は、根拠に基づくビジネスの意思決定を支えます。
新聞やテレビ、出版、Webメディアなどのマスコミやメディア業界も、社会学部・社会学科出身者が多く活躍している分野です。
これらの仕事では、表面的な出来事の報道にとどまらず、「なぜその社会問題が起きたのか」という背景を深く掘り下げる視点が求められます。
社会学で学ぶ「質的調査(インタビューやフィールドワーク)」の手法は、現場での取材活動や事実確認の精度向上に寄与します。
また、メディア・情報社会学などの知識は、情報が人々に与える影響を客観的に捉えること、さらに公平な報道や魅力的なコンテンツを制作する上で、非常に役立つでしょう。
企業内の「人」と「組織」に関わる人事や労務、組織コンサルタントなどの職種においても、社会学の視点は重要です。
人事や労務は、従業員の採用や育成、働きやすい環境づくりを担います。また、組織コンサルタントは企業の組織課題を分析して解決策を提案します。
特に産業社会学や労働社会学といった分野では、組織内の人間関係、働き方の多様性、労働問題などを論理的に学びます。「集団の中での人間の振る舞い」や「目に見えない暗黙のルールの形成」に関する理解は、多様な人材が活躍できる健全な組織制度を設計する際に、大きな強みとなるでしょう。
国家公務員や地方公務員(行政職)の大切な業務の一つが、地域社会の課題を解決し、人々の生活を支えるための政策を企画・実行することです。
少子高齢化や福祉、まちづくり、環境問題など、行政が取り組む課題の多くは、まさに社会学が扱う研究テーマそのものです。都市社会学や家族社会学などで得た専門知識は、地域の実態を正確に把握する助けとなります。
さらに、住民のニーズを客観的なデータとして収集・分析する力は、効果的で公平な行政サービスを提供するために欠かせない能力です。
立正大学 文学部 社会学科では、社会学の基礎理論の修得から、実際の現場でデータを収集・分析する実践的スキルの養成まで、体系的に学べるカリキュラムが用意されています。
ここでは、立正大学 文学部 社会学科で学べることをご紹介します。
社会学科では、人々の生活を取り巻く多様な事象をテーマにした、多彩な科目が開講されています。代表的な開講科目は以下のとおりです。
社会学科が特に力を入れている学びの一つが、教室内の座学にとどまらず、実際に社会の現場に出て学ぶ「社会調査実習」です。
この実習では、学生自身が主体となって、調査の企画から実施、収集した客観的なデータに基づく分析までを一貫して行います。
これまでに学生たちが取り組んだテーマは、「都心部のまちづくり」「商店街の活性化」「棚田保全」「山間集落の町おこし」といった地域コミュニティに関わるものから、「犯罪機会論(犯罪が起きやすい場所の物理的条件を分析する理論)と地域安全マップ」など幅広いです。
自らの足で現場に出向き、観察や調査を行う中で「本当に解決すべき課題は何か」を見つけ出し、分析結果をまとめるという一連のプロセスを経験します。
この体験学習を通じて培われる「自ら課題を発見し、根拠に基づいて解決策を導き出す力」は、大学卒業後にどのような進路を歩むとしても、社会で強く求められる実践的な能力となるでしょう。
社会学という学問の魅力や、大学での実践的な学び、そして将来のキャリアについて解説してきました。
社会学を学ぶ中で培われたスキルは、マーケティングやメディア、人事、公務員など、社会に出た後もあらゆる場面で必要とされるでしょう。
立正大学 文学部 社会学科では、実践的なカリキュラムを通して奥深い社会学の世界にアプローチできます。
オープンキャンパスも随時開催していますので、ぜひ今後の日程をチェックしてみてください。
基本的に「社会学」は大学入学後に、初めて体験することになる学問です。「メディア・ジャーナリズム/都市・地域・犯罪/環境・家族/宗教・社会心理」等について多角的に社会を分析する技術を学びます。
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