GIS学術士の資格とは 取得方法やキャリア(就職先)を解説

#地球環境科学部 #データサイエンス学部 #認定資格
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GIS学術士は、地理情報システム(Geographic Information System)に関する体系的な教育を修了したことを証明する資格で、大学において所定の科目・単位を修得することで認定を受けます。
今回は、GIS学術士とは何かというところから、メリットや取得方法を詳しく解説します。
また、GIS学術士を取得できる立正大学の学部や学科についても紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。

出典:GIS学術士制度について公益社団法人 日本地理学会

GIS学術士とは

GIS学術士とは、地理情報システムの技術と知識を身につけた専門家であることを証明する資格です。公益社団法人 日本地理学会が認定しています。
ここでは、「そもそもGISとは何か」を簡単に解説しながら、GIS学術士という資格について紹介していきます。

  • GISとは

    GIS学術士について知る前に、まずは「GIS」そのものについて理解を深めましょう。
    GISとは、「Geographic Information System」の略称で、日本語では「地理情報システム」と呼ばれます。一言で表すと、「位置情報を持ったデータ(空間データ)を地図上で管理・加工・表示し、高度な分析を行うための技術」のことです。
    普段私たちが使っているスマートフォンの地図アプリも、GISの一種といえます。しかし、専門的なGISは単に場所を表示するだけではありません。
    地形や道路、建物、人口、植生といった異なるデータを、透明なシートを重ねるようにレイヤーとして重ね合わせることで、目には見えない関係性や法則を導き出すことができるのです。

  • GIS学術士とは

    GIS学術士は、このGISに関する技術と知識を十分に身につけた専門家であることを証明する資格です。地理学の分野で日本を代表する学術団体である、公益社団法人 日本地理学会が認定しています。
    この資格は、単にGISのソフトウェアの操作ができるだけでなく、地理学や情報処理の基礎知識を持ち、データを適切に扱えるということを社会的に示すものです。

GIS学術士を取得するメリット

GIS学術士は、取得することで多くのメリットがあります。ここでは、代表的な3つのメリットを解説します。

  • 専門知識を習得できる

    GIS学術士を取得する最大のメリットは、独学では身につきにくい地理情報科学の体系的な知識を、大学教育を通じて確実に習得できる点です。
    近年は便利なGISソフトが普及し、見よう見まねでも地図を作ることは簡単になりました。しかし、地図の図法(投影法)によるゆがみやデータの誤差処理、統計的な正しさといった知識がないまま分析を行うと、誤った結論を導いてしまう危険性があります。
    GIS学術士のカリキュラムを履修することで、ソフトウェアの操作方法だけでなく、「なぜその手法を使うのか」「データの意味は何か」という理論を深く理解できます。
    これは、AI時代においても代替されにくい大きな強みとなるでしょう。GIS学術士は、原則として大学において所定の科目・単位を履修することで、卒業時に取得できる資格なので、確かな定着度を期待できます。

  • 就活・キャリアアップに役立つ

    データ活用が企業の競争力を左右する現在、GIS学術士の資格は就職活動やキャリアアップにおいて、強力なアピール材料になります。
    特に公務員(都市計画・土木・防災部門)や建設コンサルタント、航測会社を目指す場合、GISの基礎知識を体系的に修得している人材として、履歴書上で一定の差別化を図ることができます。文系学生であっても、データ分析に基づいた論理的な提案ができるスキルを客観的に証明できるため、マーケティング職や不動産業界への就職でも評価される傾向があります。
    エントリーシートや面接において、自身が作成した地図や分析事例をポートフォリオとして提示できれば、説得力は格段に増すでしょう。
    また、すでに就職している場合でも、社内での評価向上や転職に有利に働きます。
    特に近年は、自治体やインフラ企業においてDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が急務となっている状況です。アナログな台帳管理からGISによるデジタル管理への移行を主導できる人材は不足しています。
    GIS学術士の資格は、こうしたプロジェクトを先導して進めていく専門性があることを示すため、昇進やより条件のよい職場へのステップアップを後押ししてくれるでしょう。

  • 他資格へのステップアップとして

    GIS学術士を土台として、さらに上位の資格や関連資格へステップアップすることで、専門家としての地位を盤石にできます。
    特に関連性が深いのが、一般社団法人 地理情報システム学会が認定する「GIS上級技術者」です。「GIS学術士」は主に大学での学修を認定するものですが、「GIS上級技術者」はより高度な実務経験や技術力を認定するものです。
    こちらはポイント制で、教育達成度や経験達成度、貢献達成度に応じてポイントが付与され、この合計に応じて資格の認定の可否が決められます。
    また、測量業務において法的に位置づけられた資格である「測量士」「測量士補」や、高難易度の国家資格である「技術士(建設部門など)」とも親和性が高く、これらを組み合わせて取得することで、業務における幅が広がります。
    GIS学術士は、単体で完結する資格ではなく、「空間情報の専門家」としてのキャリアを長期的に築くための基礎部分を担う資格といえるでしょう。

GIS学術士の取得方法

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GIS学術士は、大学にて日本地理学会が定める単位を修得することで認定を受けられます。ここでは、資格取得までの大まかな流れと、申請方法を解説します。

  • 大学で必要な単位を修得する

    GIS学術士は、一般的な資格試験のようにペーパーテストなどで合否が決まるものではありません。認定を受けるための必須条件は、大学において、日本地理学会が定める所定の科目を履修し、単位を修得することです。
    具体的には、以下の4つの科目と単位数が必要です。
    【A】 GISに関連する情報処理を中心とする科目(1単位以上)
    【B】 GISの基本的機能と空間データの講義を中心とする科目(2単位以上)
    【C】 GISによる地図作成・空間分析の実習を中心とする科目(2単位以上)
    【D】 GISを利用した卒業論文の執筆(または、それに相当する科目4単位以上)

    これから大学へ進学する方は、進学先の大学がGIS学術士の認定に対応したカリキュラムを提供しているか確認しましょう。

  • 申請方法

    必要な単位を取り終え、大学を卒業した後に、日本地理学会へ申請を行います(卒業見込みの段階で申請できる場合もあります)。
    申請から認定までの主な流れは以下のとおりです。

    1. 必要事項をGIS学術士認定申請書に記入し提出します。書類の郵送と、オンラインフォームへの入力が必要です。この際、GIS学術士では認定手数料が税込6,600円かかります。
    2. 年3回開かれるGIS学術士認定委員会において,提出された申請書が審査されます。
    3. 審査が終わり、GIS学術士に認定されると、認定証が送付されます。(申請から認定証発行まで、3~4カ月程度かかります)

申請書の様式など、詳しくは以下をご覧ください。また、最新のスケジュールについても、日本地理学会の公式サイトで確認することが重要です。

出典:GIS学術士・GIS専門学術士・GIS学術士(見込み)の申請書公益社団法人 日本地理学会

GIS学術士で有利になる業界・職種

ここでは、GIS学術士を有していることで就活や転職で有利になる業界・職種を紹介します。

  • 公務員

    国や地方自治体は、実は日本国内でも最大級の地図データ利用者で、GIS学術士の専門性が公務(特に技術職・専門職)において高く評価されます。
    代表的なのは、都市計画や固定資産税を扱う部署です。用途地域の管理や土地の評価額算定においてGISは必須ツールとなっており、入庁前からGISの操作や理論に精通している人材は即戦力として期待されます。
    また、近年重要視されているのが防災部門です。ハザードマップの作成や、災害時の被害状況の管理において、GISを使いこなすスキルは住民の命を守るための重要な技術となります。
    採用試験の面接や配属希望において、GIS学術士の資格は強力なアピール材料になるでしょう。

  • 建設・測量

    建設や測量は、GIS学術士の資格が業務に直結する業界です。
    例えば建設では、道路やダムなどのインフラ整備を行う際、環境への影響調査(アセスメント)や、最適なルート選定のシミュレーションにGISを駆使します。
    一方で測量では、従来の「測って図面にする」業務から、ドローンやレーザースキャナで取得した3次元点群データを処理することで、幅広く応用できる地理空間情報を提供する業務へとシフトしています。
    さらに、国土交通省が推進する「i-Construction(建設現場のICT化)」により、3次元モデルの活用が標準化されつつあるという状況です。
    このように、空間データを自在に扱えるGIS学術士は、これからの建設DXを支えるキーパーソンとして、業界内での需要が高まりつつあります。

  • IT

    IT業界、特に「位置情報ビジネス(Location Tech)」の領域では、GISとプログラミングの両方を理解できる人材が枯渇しており、非常に市場価値が高くなっています。
    Googleマップのような地図アプリの開発はもちろん、最近では以下のような分野でGISの知見が必須となっています。

    • MaaS(Mobility as a Service):配車サービスやバス・電車の運行ルートの最適化
    • 物流テック:配送ルートの自動生成による効率化
    • エリアマーケティング:GPS位置情報を活用した広告配信や出店分析

ITエンジニアとしてのプログラミングスキルに加え、GIS学術士の取得過程で身につける座標系や空間データベースの知識を持っていることは、一般的なエンジニアとの大きな差別化要因となります。
開発の上流工程やデータサイエンティスト職へのキャリアパスが開かれるでしょう。

  • 環境・農業

    一見、デジタルとは遠いように見える第一次産業や環境保全の分野でも、GISは大きな変化をもたらしています。
    環境分野では、再生可能エネルギー(太陽光・風力発電)の適地選定において、日射量や地形、法的規制エリアを重ね合わせて解析するために、GISが不可欠です。また、野生動物の行動追跡(バイオロギング)データの解析など、生態系保全の現場でも活用されています。
    農業分野では、スマート農業の進展によりGISの重要度が増しています。人工衛星画像やドローン空撮を用いて農地の生育状況をマップ化し(リモートセンシング)、肥料の量を場所ごとに調整する「可変施肥」などが行われています。広大な農地や森林を効率的に管理するため、GIS学術士の知識は、日本の農業や林業を持続可能なビジネスへと転換させるための重要なカギとなっているのです。

立正大学でGIS学術士を取得できる学部・学科

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立正大学の「地球環境科学部」「データサイエンス学部」では、所定の科目・単位を修得することで、卒業時にGIS学術士の資格を取得することが可能です。
ここでは、資格取得が可能な学部・学科の特徴と、そこで身につくGISスキルについて解説します。

  • 地球環境科学部 環境システム学科

    環境システム学科は、気象、地形、水文、生物といった自然環境のメカニズムを解明することに特化した学科です。ここでは、GISを環境問題を可視化・分析するための科学ツールとして、徹底的に学べます。
    GIS学術士の取得プロセスでは、単にソフトの操作を覚えるだけでなく、実際にフィールドへ出てデータを取る「実習」が重視されます。例えば、ドローンや測定機器を用いて現地の地形や植生データを収集し、それをGISに取り込んで「環境変遷図」や「ハザードマップ」を作成するといった、実践的なカリキュラムです。
    環境システム学科は「生物・地球コース」と「気象・水文コース」の2つの履修コースに分かれており、学生はそれぞれの興味や関心に沿って、環境科学のスペシャリストを目指します。

  • 地球環境科学部 地理学科

    地理学科では、観光や都市、まちづくり、教育、交通、農業、自然保護、環境問題など幅広い分野を扱います。自然環境だけでなく、人文・社会科学的な要素も含め、地域を総合的に捉える学びが特徴です。
    この学科でのGIS教育は、「地域課題の発見と解決」に焦点が当てられています。「地図学」や「測量学」といった基礎科目から、実際のまちづくりや観光開発に生かすための応用演習まで、GIS学術士に必要な単位を体系的に修得できます。
    文系・理系の枠を超え、膨大なフィールドワークとGIS解析を往復しながら、「なぜそこの店が繁盛するのか」「どうすれば災害に強いまちになるか」といった問いを解き明かす力を養えるでしょう。
    GIS学術士と併せて教員免許や測量士補、地域調査士を取得することもでき、公務員や教員、地図会社へ就職した卒業生も数多くいらっしゃいます。

  • データサイエンス学部

    2021年に開設されたデータサイエンス学部は、ビジネスや社会の現場で即戦力となるデータサイエンティストを育成する新しい学部です。ここでは、統計学やAI、プログラミングといった情報技術をベースに、「空間データサイエンス」という最先端の切り口でGISを学べます。
    1年次では専門基礎科目群の必修科目を中心に学び、データサイエンスの基礎を固めます。文系学生向けに数学補習講座も開講されるので、理系ベースの学修に不安がある方も安心です。
    2年次以降は、AI・統計やプログラミングの応用を学ぶ理系向けの「データサイエンス科目群」と、ビジネスや社会・観光、スポーツ分野におけるデータサイエンスの応用など、文系や文理融合を学びたい学生向けの「価値創造科目群」が用意されています。

GIS学術士のよくある質問

ここでは、GIS学術士についてよくある質問に答えていきます。

GIS学術士の取り方は?

GIS学術士は、筆記試験や面接試験を受けて合格するタイプの資格ではありません。認定された大学で、決められた科目の単位を取り、申請することで取得できます。
具体的な手順は以下の3ステップです。

  1. 所属する大学、または進学先の大学が、日本地理学会の認定校であることを確認し、以下の4つの科目と単位数を履修・単位修得します。
    【A】GISに関連する情報処理を中心とする科目(1単位以上)
    【B】GISの基本的機能と空間データの講義を中心とする科目(2単位以上)
    【C】GISによる地図作成・空間分析の実習を中心とする科目(2単位以上)
    【D】GISを利用した卒業論文の執筆(または、それに相当する科目4単位以上)
  2. 大学卒業確定後、成績証明書などを用意し、定められた様式で日本地理学会へ郵送で申請します。申請の機会は通常、年3回設けられています。認定手数料は税込6,600円です。
  3. 申請から認定証発行までは3~4カ月程度かかります。認定者には認定証が送付され、GIS学術士として認定されます。

詳しくは、日本地理学会のサイトを確認してください。

GIS学術士を取るとどんなメリットがある?

最大のメリットは、独学では証明しにくい「空間データを扱うスキル」を客観的に証明できる点にあります。具体的なメリットは以下のとおりです。

  • 就職活動での強力な武器になる

    履歴書の資格欄に記載できるのはもちろん、公務員(都市計画・防災)、建設コンサルタント、航測会社などへの就職において、「即戦力に近い基礎知識がある」と判断されやすくなります。文系学生であっても、理系的・技術的な素養があることをアピールできる貴重な資格です。

  • ポートフォリオとして役立つ

    資格取得の過程(特に卒業論文や演習)で作成した主題図や分析結果は、選考時にポートフォリオとして提示できます。「どのようなデータを使い、どう分析し、どのような結論を導いたか」を視覚的に説明できるため、説得力が格段に増すでしょう。

  • 他資格へのステップアップの足掛かりになる

    将来的に、より難易度の高い実務者向け資格、例えば「GIS上級技術者」を目指す際、GIS学術士の取得者は基礎知識を有しているとみなされ、キャリアアップの土台となります。

GIS学術士に有効期限はある?

結論からいうと、GIS学術士には有効期限や更新の必要はありません。一度取得すれば、生涯有効な資格として履歴書に書き続けることができます。
これは、GIS学術士が「大学での教育課程を修了したこと」を認定する性質のものであるためです。対照的に、実務経験をベースとする「GIS上級技術者」などは5年ごとの更新制度(ポイント制)がありますが、GIS学術士は維持コストがかからないため、学生のうちに取得しておくコストパフォーマンスは非常に高いといえます。
とはいえ、GISの技術革新は日進月歩です。資格自体は失効しませんが、クラウドGISやAI解析など、現場で求められる技術は常にアップデートされています。
資格取得をゴールとせず、それを基礎として最新技術を取り入れ続ける姿勢こそが、GIS学術士としての価値を保ち続けるカギとなります。

まとめ

GIS学術士は、大学にて所定の単位を修得することで認定を受けられる資格です。
GIS学術士の取得過程で地理情報システムの専門的な技術や知識を身につけられるほか、就活やキャリアアップに有利になるなどさまざまなメリットがあります。
立正大学 地球環境科学部とデータサイエンス学部では、所定の単位を修得することでGIS学術士の資格を取得できます。
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