2025/08/20
土木工事や建築工事のために、土地の位置や形状を測量する「測量士」。
測量士は国家資格ですが、似た名前を持つ「測量士補」についてもご存知でしょうか?
今回は、測量士・測量士補がどんな資格なのかに加えて、資格取得の難易度や合格率についても詳しくご紹介します。
さらに、測量士・測量士補の資格取得が目指せる立正大学 地球環境科学部についてもご紹介。測量士や測量士補を目指している方は、ぜひ最後までご覧ください。
初めに、測量士・測量士補について、役割や仕事内容を紹介します。
測量士とは、土木工事や建築工事を行うにあたって、土地の位置や形状を正確に測量する仕事であり、測量法に基づく国家資格です。
測量は、工事や建築物の安全性を確保するため、土地の境界を正確にするために必要で、何よりも作業の正確性が求められます。
工事のための測量だけでなく、自治体が土地の境界の位置や面積を測量するために行う「地籍調査」や、地図の作成、地質調査を担うこともあります。
また、測量にあたっては、人工衛星やコンピューター、ドローンを使った高精度な測量器械を使う必要もあり、専門的かつ高度な知識・技術が求められる仕事です。
測量士補も、測量士と同様に国家資格です。
測量士補は、「測量」を行うこと自体は測量士と同じです。しかし、測量士が「測量計画の作成」まで担うのに対し、測量士補は測量士の作成した計画に従い「測量の実施」に従事するという違いがあります。
つまり、測量士は測量の計画から実施まで幅広い業務を担いますが、測量士補の業務は作業の実施のみにとどまります。まさに、「測量士の補佐」という立ち位置なのです。
測量の現場では、測量士が指示を出し、測量士補が測量を行うことが多いです。
国土地理院が行う「基本測量」と、国や地方公共団体が行う「公共測量」については、測量士または測量士補の国家資格が必須です。
しかし、そのほかの民間企業などが行う測量についても、測量計画の作成や現場での指示など、主体的な業務をするには測量士の国家資格が求められます。
ここでは、測量士の国家資格を取得するための4つのルートをご紹介します。
測量士の国家試験には、受験資格が特にありません。年齢や学歴、実務経験などに関係なく試験を受けられるので、合格すれば測量士の国家資格を取得できます。
ただし、測量士国家試験は合格率が例年10%前後と、難易度が高いです。詳しくは、「【2025年最新】測量士試験について」の項目をご覧ください。
大学や短期大学、高等専門学校を卒業して「測量士補」の資格を取得した後、一定の実務経験を積むことで、測量士の資格を取得できます。
大学や短期大学といっても、どのような学校でもよいわけではありません。「測量科目」を履修できる学校に限られます。
大学や短期大学、高等専門学校で測量科目を履修して卒業すると、測量士補として登録できるようになります。
測量士補の資格を取得した後、測量士補として、大卒であれば実務経験を1年以上かつ225日以上、短大・高専卒であれば実務経験を3年以上かつ675日以上積むことで、「測量士」として登録できるようになるというわけです。
このルートでは、国家試験を受ける必要がありません。そのため、確実性が高いこと、さらに大学を卒業した場合は実務経験が1年でよく、大卒の学歴も得られる点が魅力です。
立正大学 地球環境科学部には測量科目があり、履修した上で卒業することで測量士補として登録できるようになります。気になる方は、ぜひ以下からチェックしてみてくださいね。
立正大学 地球環境科学部 受験生向け特設サイト
測量士に関する養成施設には、測量士補養成施設が全国で9校、測量士養成施設が全国で2校あります(令和6年8月31日現在)。
測量士補養成施設を卒業すると、測量士補として登録できます。その後、実務経験を2年以上かつ450日以上積むか、測量士養成施設に入学・卒業することで、測量士の資格を取得することが可能です。
出典:国土交通大臣の登録を受けた測量に関する専門の養成施設一覧国土交通省 国土地理院ホームページ
測量士補の資格を得るには、測量士補の国家試験に合格するという手もあります。
この場合、測量科目のある大学などを卒業していなくても測量士補の資格を取得できますが、実務経験を積むことでは測量士として登録できないことに注意してください。
測量士補試験に合格して測量士補になった場合、測量士の国家試験に合格するか、前の項目で紹介した測量士養成施設に入学・卒業することで、測量士として登録できるようになります。
こちらは、2024年(令和6年)の測量法改正によって、2025年(令和7年)4月1日から施行された内容です。
測量士や測量士補と同等以上の知識・技術があると国土交通大臣に認められた場合、学歴などに関係なく測量士や測量士補の資格を取得できます。
これまで、学位授与機構による学位授与者など、大卒同等の知識や技術があるにもかかわらず、大卒者ではないことから資格の取得を認められないケースがありました。
学位授与機構とは、独立行政法人 大学改革支援・学位授与機構のことです。学位授与機構は、短期大学や高等専門学校、専門学校の卒業者で、特定の分野で専門的な知識・技術がある方に対し、学士の学位を授与することができます。
学士とは、大学を卒業した方に与えられる学位です。ただし、従来の測量法では「大卒者=学位授与者」とは扱われず、学位授与者は大卒でないために測量士・測量士補の資格を得られない場合があったのです。
今回、測量法の改正により、学位授与機構による学位授与者でも、国土交通大臣が認めれば測量士や測量士補の資格を取得できるようになりました。
出典:測量法の一部改正について国土交通省 国土地理院ホームページ
ここでは、測量士の国家試験について、難易度や合格率も交えつつ紹介します。
測量士試験は、毎年5月中旬の日曜日に実施されています。
実施日などについては、前年の12月初旬に国土地理院のホームページや官報に掲載されるので、受験を考えている方はチェックしましょう。なお、願書の申し込み期間はその年の1月中です。
合格発表は、その年の7月上旬です。国土地理院のホームページに、合格発表日から1カ月間の間、合格者の受験番号が掲載されます。なお、合格発表後すぐに、受験者全員に合否結果が郵送されます。
合格者は、合格したその瞬間から測量士として活動できるわけではありません。合格後に国土地理院に申請することで、国土地理院が保有する名簿に登録され、晴れて「測量士」の国家資格を取得できます。
参考までに、2025年(令和7年)は、試験日が5/15(日)、合格発表日が7/8(火)でした。
試験は午前と午後に分かれていて、午前は5択の択一式で出題数は28問、午後は記述式で、必須問題1題に加えて選択問題4題から2題選んで解答することができます。
試験科目は以下のとおりです。
合格基準は、午前の択一式については、1問あたり25点で700点満点です。
一方で、午後の記述式については、必須問題1題は300点、選択問題4題は各200点で、700点満点です。
午前の択一式の点数が450点以上、かつ午前の点数と午後の点数の合計が910点以上で、合格となります。
なお、合格基準については、2024年(令和6年)に一部変更がありました。それまで午前の択一式の合格基準は400点でしたが、厳格化されて450点に引き上げられたのです。
ただし、合計点には変更がなく、910点以上のままです。
測量士の国家試験は、例年合格率が10%台にあり、難易度は高めといえます。
2025年(令和7年)試験のみ、合格率が40.2%と例外的に高かったものの、出題に劇的な変化が見られたわけではなく、翌年も合格率が高くなるかは分かりません。
過去5年の測量士試験の受験者数・合格者数・合格率の推移は以下のとおりです。
年 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2021年(令和3年) | 2,773人 | 498人 | 18.0% |
2022年(令和4年) | 3,194人 | 460人 | 14.4% |
2023年(令和5年) | 3,667人 | 379人 | 10.3% |
2024年(令和6年) | 3,717人 | 485人 | 13.0% |
2025年(令和7年) | 3,703人 | 1,487人 | 40.2% |
出典:測量士・測量士補試験の試験問題及び解答例国土交通省 国土地理院ホームページ
測量士試験では、最新技術に基づいた測量の知識と、測量実務に関する知識が多く求められます。独学のみではこうした知識は十分に身に付きづらく、合格率の低さに影響していると考えられます。
測量士補試験は、測量士試験と同じ日に実施されます。願書の申し込み期間も同じです。
ただし、合格発表日は異なり、測量士補試験の合格発表日は6月下旬です。2025年(令和7年)は6/18(木)でした。
試験内容も、測量士補試験は午後のみで、択一式で28問です。1問あたり25点で、700点満点中450点以上で合格となります。
合格率は例年30~50%台で、測量士試験と比較すると高めです。
立正大学 地球環境科学部には、「環境システム学科」と「地理学科」の2つの学科がありますが、そのどちらでも測量士に対応したカリキュラムを実施しています。
また、所定の科目の単位を取得して卒業すれば、測量士補として登録できるようになります。
ここからは、それぞれの学科の特徴を見ていきましょう。
環境システム学科は、「環境に関わる諸現象をシステムとして捉えて解明する」ことに重点を置いています。
実戦的な測定・解析・分析法の習得のために、実験やフィールドワークの機会が豊富に用意されているのが魅力です。情報処理の基礎技術を必修として学べるほか、リモートセンシング(遠隔測定技術)や地理情報システム(GIS)といった、さらに高度な技術も習得できます。
生物や地形・地質、環境情報を中心に学ぶ「生物・地球コース」と、気象や水、環境情報を中心に学ぶ「気象・水文コース」の2つのコースがあり、科目に若干の差があります。
しかし、測量士補として登録するための測量学実習については、どちらのコースを選んだとしても共通科目として履修できるので、ぜひ興味のあるコースを選んでください。
測量士・測量士補のほかに、「気象予報士」「環境測量士」「公害防止管理者」「自然再生士」などの資格取得に有利な講義が受けられるのも魅力です。
立正大学 地球環境科学部 環境システム学科 ホームページ
地理学科は、「人間と自然の関わり、そしてその地域性を解明する」ことに重点を置いています。
環境システム学科と異なり、人間と自然、そして地域のつながりを重視しながら学ぶのが特徴です。
観光や都市、まちづくり、教育、交通、農業、自然保護、環境問題など、幅広い分野を扱っているのが特徴で、興味のある分野について存分に研究できます。
地理学科には特にコースはありません。環境システム学科と同様、測量学実習の科目が用意されているので、測量士補の資格を取得したい方は測量学実習を履修します。
測量士補のほかにも、履修する科目によって「GIS学術士」や「地域調査士」などの資格を取得することが可能です。
立正大学 地球環境科学部 地理学科 ホームページ
測量士・測量士補の資格取得の方法を、2025年最新の情報を組み込んで解説しました。
測量士になるには、受験資格なしの試験に合格するという方法もあるものの、合格率が例年10%台と難易度は高めです。
確実性と将来の安定性を重視するなら、大学で測量士補の資格を取得して、卒業後に1年間の実務経験を積むルートがおすすめといえるでしょう。
立正大学 地球環境科学部では、測量科目を履修することで測量士補の資格を取得できます。卒業後に測量の実務経験を1年積むことで、測量士の資格を得ることが可能です。
もちろん、「卒業後ではなく、在学中に国家試験に合格して測量士になりたい!」という学生さんのニーズにも対応し、カリキュラムや講義を通して測量士試験合格をサポートします。
立正大学 地球環境科学部のオープンキャンパス情報や入試要項は、ぜひ以下の特設サイトからご覧ください。