国内旅行業務取扱管理者とは? 試験概要から大学入試・就職への活用法まで徹底解説

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旅行業界や観光分野への就職を目指すなら、必ず知っておきたいのが「国内旅行業務取扱管理者」です。旅行業界の国家資格で、業界内では常に安定したニーズがあり、キャリアアップにも役立ちます。
本記事では、国内旅行業務取扱管理者の基礎知識や他資格との違い、試験の概要、取得するメリット、具体的なキャリアまで徹底解説します。
将来の進路選びや資格取得の第一歩として、ぜひ参考にしてください。

国内旅行業務取扱管理者とは?

初めに、国内旅行業務取扱管理者が旅行業界においてどのような意味を持ち、なぜ重要とされているのか、さらに他資格との違いも解説します。

  • 旅行業界の国家資格

    国内旅行業務取扱管理者をはじめとする「旅行業務取扱管理者」は、国土交通省の観光庁が管轄し、一般社団法人 全国旅行業協会(ANTA)が試験を実施する旅行業界の国家資格です。
    旅行業は、旅行プランという形のないサービスを事前に販売し、後からお客さまに体験していただく、という特殊なビジネスモデル。そのため、契約内容の認識の違いや、旅行先での予期せぬトラブルなどが発生するリスクが常に存在します。
    そこで、旅行するお客さまの安全や利便性を守り、公正な取引が行われることを目的として定められたのが「旅行業法」という法律です。旅行業務取扱管理者は、この法律や関連する約款に関する専門知識を有していることを国が証明する資格であり、消費者が安心して旅行を申し込むための信頼の証になります。

  • 旅行業法に基づく役割

    旅行業務取扱管理者には、もう一つの不可欠な役割があります。旅行業法によって定められた「営業所への配置義務」を果たすことです。
    旅行業法の第11条の2では、旅行業者(旅行会社)が事業を行う場合、旅行商品を販売するすべての営業所(店舗)に、1名以上の旅行業務取扱管理者を選任し、配置しなければならないと定められています。
    単に有資格者が在籍していればいいわけではありません。営業所における「管理・監督者」として、例えば、

    • 旅行プランが適法かどうか確認する
    • お客さまに対して取引条件を正確に説明する
    • 契約書面を交付する
    • 万が一の苦情処理

など、営業所で行われる業務全般を、法律に基づいて監督する責任を担っています。
つまり、この国家資格を持つ人材がいなければ、旅行会社は旅行商品を販売する店舗を運営すること自体ができない仕組みになっているのです。

  • 他資格との違い

    旅行業務取扱管理者の資格は、取り扱うことができる旅行業務の範囲によって、大きく3つの種類に分けられています。

    • 国内旅行業務取扱管理者
      日本国内の旅行業務のみを取り扱うことができる資格です。国内ツアーの企画や手配、販売の管理を行うことができます。
      国内旅行を主軸とする店舗であれば、この資格を持つ管理者を配置することで法的な要件を満たします。
      この記事では、特に国内旅行業務取扱管理者に焦点を当てて解説しています。

    • 総合旅行業務取扱管理者
      国内旅行に加えて、海外旅行に関する業務もすべて取り扱うことができる、旅行業界においてもっとも業務範囲が広い資格です。
      海外旅行業務を取り扱う営業所には、総合旅行業務取扱管理者を選任する必要があります。

    • 地域限定旅行業務取扱管理者
      営業所のある市区町村と、それに隣接する市区町村の範囲内に限定して旅行業務を取り扱うことができる資格です。
      特定の地域に密着した観光振興や、比較的小規模な着地型ツアー(現地集合・解散型のツアー)の企画・実施を行う事業者を想定して設けられた制度です。

国内旅行業務取扱管理者の試験について

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ここでは、国内旅行業務取扱管理者の受験資格やスケジュール、具体的な試験の概要、申し込みの手順、合格率について解説します。

出典:国内旅行業務取扱管理者試験 受験案内一般社団法人 全国旅行業協会(ANTA)

  • 受験資格

    国内旅行業務取扱管理者の試験には、年齢や学歴、国籍などの受験制限は一切設けられていません。
    実務経験や講習も必要なく、試験に合格して合格証を得ればすぐに有資格者として活動できるようになるため、就活や転職にも活かしやすいです。

  • スケジュール

    国内旅行業務取扱管理者の試験スケジュールは以下のとおりです。

    試験実施要領の発表
    (願書の配布)
    6月上旬
    受付期限 7月上旬
    試験日 9月上旬~下旬のうち、受験者が選択した日時
    合格発表日 10月下旬
    国内旅行業務取扱管理者試験は、令和6年度(2024年度)の試験から、試験会場のパソコンを使用して解答する「CBT方式(Computer Based Testing)」が全面的に導入されました。
    これにより、従来のように指定された1日に一斉に受験するのではなく、約1カ月間(9月上旬~下旬)の試験期間の中から、全国47都道府県に設置されたテストセンターで、都合のよい日時と会場を自分で選択して受験できるようになりました。
    これにより、受験者それぞれのスケジュールと調整しながら受験日を決められるため、非常に受験しやすい環境が整っています。

  • 試験科目と出題範囲

    試験は選択式(CBT画面上でのクリック解答)で行われ、初めて受験する場合、以下の3科目(合計120分間)をまとめて受験します。

    【旅行業法及びこれに基づく命令】
    旅行業を営むための基本的な法律ルールや、旅行業務取扱管理者が営業所で果たすべき法的義務、消費者保護の仕組みなどが問われます。

    【旅行業約款、運送約款及び宿泊約款】
    旅行会社とお客さまとの間で結ばれる契約ルール(キャンセル料の発生条件など)や、JRなどの鉄道、航空機、貸切バス、ホテルなどを利用する際の細かな規約に関する知識です。

    【国内旅行実務】
    実際のカウンター業務などで必要となる実践的な内容です。JRなどの運賃・料金計算や国内航空運賃の仕組みなどの計算問題に加え、日本全国の主要な観光地や国立公園、温泉、世界遺産、名物などの国内地理に関する幅広い知識が問われます。

    なお、すでに旅行業務取扱管理者試験に合格していたり、特定の研修を受けたりした方は、「免除A」「免除B」「免除C」などの区分に該当し、一部科目が免除される場合があります。
    詳しくはANTAの受験案内をチェックしてください。

    出典:国内旅行業務取扱管理者試験 受験案内一般社団法人 全国旅行業協会(ANTA)

  • 申し込みの手順

    CBT方式の導入に伴い、申し込み手続きは原則としてすべてインターネット上で行われます。
    まず、試験の運営委託先である専用ウェブサイト(https://cbt-s.com/examinee/examination/anta)にアクセスし、自身の「受験者マイページ」を作成して個人情報を登録します。
    その後、マイページ内から受験料の支払い手続き(クレジットカードやコンビニ決済など)を行い、希望する試験会場と日時を検索して予約を完了させます。なお、受験料は令和7年度以降8,000円(非課税)で、システム利用料は660円(税込)です。

    出典:総合旅行業務取扱管理者試験及び国内旅行業務取扱管理者試験の受験手数料を見直します ~「旅行業法施行令の一部を改正する政令」を閣議決定~国土交通省 観光庁

    当日は、テスト会場に本人確認書類を忘れずに持っていきましょう。

  • 合格率・難易度

    国内旅行業務取扱管理者試験の合格率は、実施年度によって多少の変動はありますが、おおむね30~40%程度で推移しています。
    参考までに、令和7年度の結果は以下のとおりです。

    区分 申込者(人) 受験者(人) 合格者(人) 合格率
    全科目 11,781 9,759 3,330 34.1%
    免除A 539 518 312 60.2%
    免除B 50 46 28 60.9%
    免除C 6 6 5 83.3%
    12,376 10,329 3,675 35.6%

    出典:令和7年度 国内旅行業務取扱管理者試験 実施結果一覧表一般社団法人 全国旅行業協会(ANTA)

    国家資格としては極端に難易度が高い部類ではなく、暗記を中心とした地道な学習を継続できれば、十分に合格を狙えるレベルです。
    勉強時間の目安は100~200時間程度。1日2時間学習する場合、約2~4カ月が目安になります。特に「国内旅行実務」の科目におけるJR運賃の複雑な計算ルールや膨大な国内地理の暗記には、計画的な学習が必要となります。
    試験では、各科目それぞれで原則60%以上の得点が求められます。特定の科目に苦手意識を持たず、過去の出題傾向をしっかりと分析してバランスよく対策することが、合格へのカギです。

国内旅行業務取扱管理者のメリット

国内旅行業務取扱管理者を取得するメリットは何なのでしょうか。ここで、3つの具体的なメリットを解説します。

  • 安定した人材ニーズがある

    旅行業界は社会情勢の影響を受けやすい側面がありますが、「旅行業務取扱管理者」という有資格者に対する企業からのニーズは、常に安定して存在し続けています。その最大の理由は、国の法律である「旅行業法」にあります。
    旅行業法では、旅行業者(旅行会社)が事業を行う場合、旅行商品を販売するすべての営業所(店舗)に、1名以上の旅行業務取扱管理者を選任し、配置しなければならないと定められているのは先に解説したとおりです。
    つまり、旅行会社はどれほど業績がよくても、この国家資格を持つ人材がいなければ、新しい店舗を出店することも既存の店舗を適法に運営し続けることもできません。
    有資格者は旅行業そのものを根底で支える必須の存在であるため、業界全体で恒常的かつ構造的に人材ニーズがあります。

  • 就活や転職で有利になる

    前述した「営業所への配置義務」があるからこそ、学生時代にこの資格を取得しておくことは、就職活動において客観的で有利な評価につながります。
    大手の旅行会社では、新入社員が入社した後に、会社が費用と業務時間を割いて資格取得のための社内研修を行っている場合があります。一方で、特に中小企業では資格取得支援を「資格手当」という形で行っていることも少なくありません。
    どちらのケースでも、採用面接の時点ですでに国内旅行業務取扱管理者の資格を持っている学生は、配属後すぐに法律上の要件を満たす即戦力として、店舗運営に貢献できることが証明されます。
    実際に、旅行会社の採用情報や募集要項を確認すると、「資格取得者歓迎」と明記されているケースが多く見受けられます。
    エントリーシートや面接で「旅行が好きです」と主観的な熱意を伝えるだけでなく、国家資格によって業界への本気度と基礎的な法的知識を証明できることは、就職活動や転職活動を進める上で強力な武器になるでしょう。

  • キャリアアップや昇給につながる

    資格取得のメリットは、入社した後の待遇や、中長期的なキャリア形成にも直接的によい影響をもたらします。
    まず待遇面について、多くの旅行会社が有資格者に対して、毎月の基本給に上乗せして資格手当を支給しています。毎月一定額の手当がつくため、数十年というキャリア全体で見れば、生涯賃金において確かな差となって表れるでしょう。
    また、将来的に店舗の責任者である「営業所長(店長)」などの管理職へ昇進するためには、この資格の保有が必須条件となるのが一般的です。さらに、ゆくゆくは海外旅行も扱える「総合旅行業務取扱管理者」へステップアップすることで、より幅広い業務を担当できるようになります。
    自身のキャリアの選択肢を大きく広げるという意味でも、非常に実用性の高い資格といえます。

国内旅行業務取扱管理者のキャリア

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国内旅行業務取扱管理者を取得すると、将来どのようなフィールドで活躍できるのでしょうか。ここでは、資格を直接活かせる代表的な4つのキャリアパスについて解説します。

  • ツアープランナー

    ツアープランナーは、交通手段や宿泊施設、観光スポットなどを組み合わせて、新しい旅行商品を企画・開発する仕事です。
    魅力的なツアーをつくるには、アイデアだけでなく「安全かつ適法にスケジュールを組めるか」という実務的な視点が欠かせません。
    国内旅行業務取扱管理者の試験で学ぶ「旅行業法」や「運送約款(交通機関の利用ルール)」の知識があれば、法律の制限やキャンセル規定に反しない、現実的で安全な旅行商品を企画することができます。

  • カウンターセールス

    店舗の窓口で、お客さまに旅行商品を提案・販売する仕事がカウンターセールスです。お客さまが安心して旅行に出発できるよう、契約内容やキャンセル料の規定などを正確に説明する責任があります。
    旅行業法では、お客さまへの取引条件の説明や契約書面の交付といった重要な業務を、資格を持った管理者が適正に監督するよう厳格に定めています。そのため、資格取得者は法律に基づく正しい知識を持ったスペシャリストとしてお客さまからの信頼を得やすく、店舗運営の要として活躍できるでしょう。

  • 宿泊施設

    ホテルや旅館などの宿泊施設でも、この資格のニーズが高まっています。
    2008年施行の観光圏整備法に基づき、一定の要件を満たした事業者が「観光圏内限定旅行業者代理業」として登録することで、限定された範囲内で旅行商品の取扱いが可能となりました。
    単に部屋を提供するだけでなく、地域ならではの体験プログラムを含めた旅行商品を宿泊客に提供するためには、旅行業の専門知識が不可欠です。
    資格を持っていることで、宿泊施設の新しいサービス開発や地域連携を担う人材として期待されます。

  • 自治体の観光課・DMO・観光協会

    市役所などの自治体の観光課や、地域のDMO(観光地域づくり法人)、観光協会も、資格を活かせる重要なキャリアの一つです。現在、多くの自治体が地域の活性化を目指し、地元の魅力を伝える「着地型観光(現地集合・解散型のツアー)」の企画・実施に力を入れています。
    しかし、行政であってもツアーを企画・販売する際には、旅行業法などの法律を遵守しなければなりません。自治体や観光組織が適法にツアーを運営したり、地元の旅行会社と協力してプロジェクトを進めたりする際、国家資格で得た法務・実務の専門知識を持つ人材が重宝されています。

国内旅行業務取扱管理者の勉強方法

国内旅行業務取扱管理者の試験に向けて、おすすめの勉強方法を紹介します。

  • 独学・通信講座

    市販のテキストを用いた独学や、通信講座を利用して学習を進める方法です。
    独学のメリットは、費用を抑えつつ自分のペースで柔軟に学習できる点にあります。一方、通信講座を利用すれば、旅行業法や運送約款といった初めて触れる法律の専門用語も、整理されたカリキュラムに沿って効率的に理解できます。
    ただし、独学は自己管理が求められる点、通信講座は独学よりも大きな費用がかかる点には注意しましょう。

  • 大学の講座を活用する

    大学進学を控えている学生さんには、大学の「資格取得支援講座」を活用する方法が非常におすすめです。
    この方法の最大のメリットは、普段の大学生活と並行しながら資格勉強に取り組める点にあります。専門の講師から直接指導を受けられ、疑問点もその場で解消できるので、スムーズに勉強を進められるのもポイント。
    ただし、国内旅行業務取扱管理者の資格取得支援講座を開講している大学は数が限られています。気になる大学に講座が設置されているか、必ずチェックしてください。
    立正大学 地球環境科学部 地理学科では、「国内旅行業務取扱管理者」「総合旅行業務取扱管理者」の資格取得支援講座を設置しています。2024年度(令和6年度)実績で、過去5年間の受講者の合格率は国内旅行業務取扱管理者が62%(全国平均約35%)、総合旅行業務取扱管理者が34%(全国平均約12%)です。
    初年度から受講できるので、1年次に「国内旅行業務取扱管理者」を受講、合格後の2年次以降に「総合旅行業務取扱管理者」を受講、合格すれば、就活時にはほかの就活生よりも大きなアドバンテージを得ることができます。
    志望校を検討する際は、こうした資格支援制度の有無や実績にも注目してみるとよいでしょう。

まとめ

「国内旅行業務取扱管理者」は、消費者が安心して旅行を申し込むための信頼の証であり、就職や転職でも強力な武器になる国家資格です。
年齢や学歴などの受験制限はなく誰でも挑戦でき、試験の合格率も30~40%程度と、計画的な学習で十分に合格を狙えます。旅行会社だけでなく、宿泊施設や自治体の観光課など、活躍の場は多岐にわたります。

旅行業界への就職を考えている学生さんは、ぜひ立正大学 地球環境科学部 地理学科への進学も検討してみてください。
「国内旅行業務取扱管理者」「総合旅行業務取扱管理者」の資格取得支援講座を開講しているほか、普段の授業では地理学の専門的な知識や技能を身につけられます。
ぜひ、お気軽にオープンキャンパスにもお越しください。

「地理・地球環境・気象関係を学ぶなら」
立正大学 地球環境科学部へ

「地球の問題に挑む。」地球環境科学部の学びの柱は、フィールドワークとアクティブ・ラーニング。自然環境や社会、地域の諸問題を五感で捉えながら発想力と行動力を培い身近なことから大きな問題まで、多様な課題を解決できる専門家を目指します。

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