図1.アオウミガメ 2025年12月11日小笠原・二子島で撮影。©環境省
図2.アオウミガメに摂食されたプラスチック。A: エアークッション, ポリヒドロカーボン, B: シート状プラスチック, ポリヒドロカーボン, C: 糸状及びシート状プラスチック, D: マスク, E: 糸状プラスチックの塊, F: プラスチックの破片, G: コンタクトレンズのブリスターパック, ポリプロピレン, H: ペットボトルの蓋, ポリエチレン, I: 笛, ポリエチレン, J: シート状プラスチック, スケールバー2cm. K: ペットボトルのラベル, スケールバー2cm. L: シート状プラスチック, スケールバー1cm. PeerJ Life and Environment誌より引用
立正大学、国立研究開発法人産業技術総合研究所、九州大学の研究者及び学生(研究当時)で構成された研究グループは、小笠原諸島に来遊するアオウミガメ消化管に含まれるプラスチックについて調査し、プラスチック汚染の実態について明らかにしました。
この成果は2026年1月2日(日本時間1月3日)にPeerJ Life and Environment誌(電子版)に掲載されました。
世界のプラスチック廃棄物の排出量は2020年には5,210万トン/年と推定され、その内の43%は陸地を経て水生環境へ輸送される危険性が指摘されています(Cottom et al., 2024, Nature 633(8028):101–117)。プラスチックは、魚類はもとより鯨から動物プランクトンまで多くの種類の海洋生物の体内から発見されています。
日本近海に分布するアオウミガメ(図1)は、繁殖のために本州太平洋沿岸から小笠原諸島に回遊します。そのため、小笠原で採捕されたアオウミガメは広範囲な海域でさまざまな形態(浮遊、堆積、海藻に混在など)で分布するプラスチックを摂取し、蓄積していることが考えらます。本研究はプラスチックを摂取する要因とプラスチックの起源を推定することを目的として、消化管内容物の顕微鏡による観察、消化管内容物のDNA解析、炭素・窒素安定同位体比(3)分析の3つの手法を組み合わせた研究を行いました。また、フーリエ変換赤外分光法によりプラスチックの種類を同定しました。
プラスチックの摂食がアオウミガメに及ぼす影響については、消化管組織の損傷、摂食量の減少、排泄への影響などが考えられます。また、プラスチックに含まれる PCB や PAH などの毒性化合物が生体に影響する可能性があります。大きなプラスチックを摂食するアオウミガメにとっては、より深刻な影響を受けることが予想されます。今後、プラスチック摂食の生体への影響についての研究が求められます。
また、本研究はプラスチック汚染が国境を越える問題であることを示しました。プラスチック製品の生産量、使用量、廃棄量の削減などプラスチック汚染の軽減を国際協力の下で研究と並行して実施する必要があります。
図3.アオウミガメに摂食されたプラスチックの形状の割合(プラスチックの大きさ毎)。PeerJ Life and Environment誌に掲載された図を改変
図4.アオウミガメに摂食されたプラスチックの色の割合(プラスチックの大きさ毎)。PeerJ Life and Environment誌に掲載された図を改変
| 藤谷 天蔵 | 立正大学 地球環境科学部 卒業生 |
| 衣奈 駿治 | 立正大学 地球環境科学部 卒業生 |
| 細谷 藤真 | 立正大学 地球環境科学部 卒業生 |
| 李 盛源 | 立正大学 地球環境科学部 教授 |
| 西島 美由紀 | 産業技術総合研究所 地質調査総合センター テクニカルスタッフ |
| 井口 亮 | 産業技術総合研究所 地質調査総合センター 研究グループ付 |
| 中野 知香 | 九州大学 応用力学研究所附属海洋プラスチック研究センター 助教 |
| 岩崎 望 | 立正大学 名誉教授 |