特別支援学校教諭になるには 免許取得方法や仕事内容等を解説

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特別支援学校は、障害を抱えている児童や生徒に教育を行うと同時に、障害によって生じる生活上の困難を克服して、自立・社会参加できるように支援する学校です。
特別支援学校の先生になるには、「特別支援学校教諭免許状」という教員免許状とは異なる免許状が必要になります。
今回は、特別支援学校教諭免許状の概要から取得方法、さらに特別支援学校教諭の仕事内容やメリットまで、詳しく解説します。
さらに、特別支援学校教諭免許状を取得できる大学の一つである立正大学 社会福祉学部 社会福祉学科についても紹介するので、特別支援学校教諭免許状の取得を考えている方はぜひ最後までご覧ください。

特別支援学校教諭免許状とは

特別支援学校教諭免許状は、視覚障害や聴覚障害、知的障害、肢体不自由、病弱・身体虚弱のある児童や生徒が在籍する「特別支援学校」において、教育を行うために必要な教員免許状です。
一般的な小学校や中学校、高等学校の教員免許状は、校種や教科によって種類が分かれています(中学校教諭一種免許(社会)など)。特別支援学校教諭免許状は、それに加えて、障害の特性に応じた専門的な教育的支援を行える能力があることを証明するものです。
この免許状は、「視覚障害者」「聴覚障害者」「知的障害者」「肢体不自由者」「病弱者」の5つの領域に分かれています。特別支援学校の先生は、自身が担当する児童や生徒の障害種別に応じた領域の専門知識(障害の理解、心理、指導法など)を有していることが必要です。
特別支援学校の先生には、各教科の指導力だけでなく、児童や生徒一人ひとりの障害の状態や発達段階を正確に把握すること、そして、その可能性を最大限に伸ばすための特別な指導を計画・実行する高度な専門性が求められます。
特別支援学校教諭免許状は、多様なニーズを持つ子どもたちに対して、教育と支援の両面からアプローチできるスペシャリストであることの証といえます。

特別支援学校教諭免許状の取り方

特別支援学校の先生になるには、特別支援学校教諭免許状と教員免許状の双方を有している必要があります。特別支援学校教諭免許状単体では、特別支援学校の先生にはなれないということです。
ここからは、特別支援学校教諭免許状を取得する2つのステップを解説します。

  • 教員免許状を取得する

    特別支援学校の先生になるには、特別支援学校教諭免許状を取得すると同時に、幼稚園、小学校、中学校、または高等学校のいずれかの教員免許状を取得する必要があります。
    教員免許状は、以下の順序で取得します。

    1. 取得したい免許状に対応した教職課程のある大学・短期大学などに入学
    2. 法令で定められた単位を修得して大学・短期大学などを卒業
    3. 各都道府県教育委員会に教員免許状の授与申請を行う

教員免許状の取得過程では、教育の基礎理論や各教科の指導法、道徳教育、その教員免許状に対応する学校種(小学校や中学校など)での教育実習など、学校の先生として必要な、基本的な資質を養うための科目や単位を修得します。
特別支援学校においても、子どもたちは国語や算数などの教科を学びます。したがって、特別支援学校の先生においても、それらの教科指導の基礎能力を持っていることが大前提になるのです。
この教員免許状取得に必要な単位を履修しながら、同時に次のステップである特別支援教育の専門科目を学んでいくのが、もっとも一般的な取得ルートとなります。

  • 特別支援教育に関する必要単位を修得して卒業する

    教員免許状の取得に必要な単位と並行し、特別支援教育に関する専門的な単位を追加で修得します。この仕組みは、教員免許状に専門性を上乗せするイメージです。
    特別支援免許は、「視覚障害者」「聴覚障害者」「知的障害者」「肢体不自由者」「病弱者」の5つの領域に分かれています。大学のカリキュラムによりますが、学生はこれらのうち1つ、あるいは複数の領域を選択し、その専門科目を履修します。
    具体的な学習内容は、特別支援教育の基本的な考え方を学ぶ「障害者教育総論」のほか、各障害領域の特性や心理、教育課程、指導法などです。特に、障害のある児童や生徒が直面する困難を主体的に克服するための指導である「自立活動」に関する科目は重要です。
    さらに、教員免許状のための教育実習とは別に、特別支援学校での教育実習が課される場合もあります。
    教員免許状の単位と、特別支援教育の単位のすべてを修得し、大学・短期大学などを卒業することで、卒業時に「教員免許状」と「特別支援学校教諭免許状」の両方を申請・取得できるようになります。

特別支援学校教諭の仕事内容

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特別支援学校の先生の仕事内容はどのようなものなのでしょうか。ここでは、特別支援学校の先生の一日のスケジュールと、普通学校と異なる点を紹介します。

  • 一日のスケジュール

    特別支援学校教諭の一日は、児童や生徒の登校を迎えるところから始まります。
    スクールバスでの介助や、登校時の健康状態のチェック(特に医療的ケアが必要な生徒の場合)は重要な業務です。
    朝の会を経て、各教科の授業のほか、専門的な指導である「自立活動」を行います。給食の時間も大切な指導の場であり、生徒の状態に応じて食事の介助を行います。
    午後の授業や清掃の後は、終わりの会を経て生徒の下校です。
    生徒が帰った後は、翌日や翌週の授業の準備、生徒一人ひとりの「個別の教育支援計画」や「個別の指導計画」の作成・見直し、保護者宛ての連絡帳の記入や電話連絡、カンファレンスなどを行います。
    医療機関や福祉施設といった関係機関との連携業務や、専門性を高めるための研修も多く、多岐にわたる業務をこなします。

  • 普通学校と異なるところ

    普通学校との違いは、まず教科指導に加えて「自立活動」という専門的な指導領域が存在することです。
    自立活動とは、児童や生徒が障害による困難を主体的に克服するために必要な知識や技能を養う指導で、教員には高度な専門性が求められます。
    また、「個別の教育支援計画」や「個別の指導計画」の作成が学習指導要領で義務付けられているのも大きな特徴でしょう。クラス全体の指導と並行して、一人ひとりのニーズに応じたきめ細かな教育計画を立て、実行します。
    日常生活(食事や排せつ、移動など)の介助や、看護師と連携した医療的ケア(たんの吸引や経管栄養など)が業務に含まれる場合がある点も、普通学校とは大きく異なるポイントです。保護者や、医師や理学療法士、作業療法士などの外部専門家との密接な連携が不可欠になっています。

特別支援学校教諭のキャリア

特別支援学校の先生は、どのようなキャリアを築いていけるのでしょうか。ここでは、公立学校と私立学校、さらに学校以外で特別支援学校教諭免許状を生かせる仕事を加えて、それぞれ解説していきます。

  • 公立学校の場合

    公立の特別支援学校教諭として採用された場合、キャリアは基本的にほかの公立学校教員(小学校・中学校・高等学校)と同様です。
    一般教諭からスタートし、経験を積むことで主任教諭や主幹教諭、そして管理職である教頭や副校長、校長へと昇進していくキャリアが一般的となります。
    公立学校の大きな特徴は、異動があることです。同都道府県内のほかの特別支援学校だけでなく、小・中学校の特別支援学級、さらには通常学級へ異動となる可能性もあります。
    専門性を深めつつも、幅広い視野と経験を求められるキャリアといえるでしょう。

  • 私立学校の場合

    私立の特別支援学校に採用された場合、キャリアは勤務する学校法人の規定によって決まります。公立学校のような異動は基本的にないため、一つの学校に長く勤務し、その学校の教育理念や方針を体現する形で、キャリアを築いていくことになります。
    昇進ルートも法人ごとに異なりますが、一般教諭から主任、教頭、副校長、校長といった管理職を目指す流れが一般的です。
    私立学校では、学校運営や特色のある教育カリキュラムの開発に、若いうちから関わるチャンスが多くあります。専門性を生かして、学校経営の中核を担う人材へと成長できる可能性もあるでしょう。
    給与や待遇は法人ごとの差が大きいですが、独自の教育実践に深く携われる点が魅力です。

  • 学校以外で特別支援学校教諭免許状を生かせる仕事

    学校以外で特別支援学校教諭免許状を生かせる代表的な職場は、障害のある未就学児が通う「児童発達支援センター」や、就学児が放課後に利用する「放課後等デイサービス」です。
    これらの福祉施設では、療育や支援計画の作成において、障害特性や教育に関する専門知識が不可欠であり、特別支援学校教諭免許状を持つ人材は即戦力として歓迎されるでしょう。
    また、障害者支援施設や、自治体の就学相談員、特別支援教育用の教材やICTツールを開発・販売する教育系企業など、活躍の場は多岐にわたります。
    学校という枠を超え、福祉やビジネスの分野で専門性を発揮できるキャリアも有力な選択肢です。

特別支援学校教諭免許状を取得するメリット

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教員免許状に加えて特別支援学校教諭免許状を取得するメリットは数多くあります。以下で主な4つのメリットを見ていきましょう。

  • 一人ひとりに合ったサポートをしやすい

    特別支援学校の最大の特色は、児童や生徒一人ひとりの障害特性や発達段階、教育的ニーズに合わせた指導が基本である点です。
    普通学級に比べてクラスの在籍人数が少なく、教員が生徒と密接に関わる時間が十分に確保されています。そのため、日々の小さな変化や成長を見逃さず、個々の状況を深く理解することが可能です。
    また、特別支援学校では「個別の教育支援計画」や「個別の指導計画」の作成が義務付けられており、教員は自身の専門知識を生かし、その生徒に今本当に必要な学習内容や支援方法を計画的に提供できます。
    画一的な指導ではなく、その子どもの可能性を最大限に引き出すためのオーダーメイドの教育を実践しやすい環境が整っていることは、大きなメリットでしょう。

  • 専門性を高められる

    特別支援学校教諭免許状の取得課程では、各障害領域の特性や心理、指導法、そして「自立活動」といった、高度な専門知識を学びます。特別支援学校という現場に出てからも、多様なニーズを持つ児童や生徒と日々向き合う中で、その知識はさらに実践的なスキルへと磨かれていくでしょう。
    また、学校内には看護師や理学療法士、作業療法士といった医療・リハビリの専門家が配置されていることも多く、日常的に連携します。さらに、地域の医療機関や福祉施設とも密に情報を共有し、生徒を多角的にサポートすることが可能です。
    このように、教育分野だけでなく、福祉や医療の領域とも深く関わりながらキャリアを積むことができるため、高度な専門性を磨き続けられる環境といえます。

  • やりがいが大きい

    特別支援学校の先生は、児童や生徒の学習面だけでなく、日常生活のスキル向上から心の成長まで、人間としての全体的な発達を長期的にサポートします。
    一人ひとりとじっくり向き合い、信頼関係を築きながら指導を行うため、「昨日までできなかったことが、今日できるようになった」という感動的な瞬間に立ち会う機会が数多くあります。
    それは、九九が言えるようになったといった学習面の成果かもしれませんし、初めてスプーンを自分で使えた、言葉で要求を伝えられたといった生活面の大きな一歩かもしれません。
    専門知識を駆使して可能性を引き出し、生徒の自立と社会参加に向けた基盤づくりに直接貢献できることは、何物にも代えがたい大きなやりがいと社会的意義を感じさせてくれるでしょう。

  • 普通学級よりも給料が高い場合がある

    公立学校の先生の場合、給与は基本的に学歴や経験年数に応じた給料表に基づいて決定されますが、従事する業務の専門性や特殊性に応じて「手当」が加算されることがあります。
    特別支援学校や小・中学校の特別支援学級に勤務する教員には、その専門的な指導や介助などの業務負担を考慮し、特別支援教育手当が基本給に上乗せされて支給されるのが一般的です。
    そのため、同じ自治体で働く、同学歴・同経験年数の普通学校や普通学級の教員と比較した場合、この手当の分だけ月給や年収が高くなる可能性があります。
    これは、社会的に高度な専門性が求められる特別支援教育を担うことへの、正当な評価の一つといえるでしょう。

立正大学 社会福祉学部 社会福祉学科 教育福祉・社会デザインコースについて

埼玉県熊谷市にキャンパスを構える立正大学 社会福祉学部 社会福祉学科は、特別支援学校教諭免許状(知的障害者・肢体不自由者・病弱者)を取得できる学科です。

本学では、特別支援学校教諭一種免許の内、視覚障害者、聴覚障害者に関する教育領域の免許状は取得できません。

社会福祉学科には「ソーシャルワークコース」「教育福祉・社会デザインコース」がありますが、中でも特別支援学校の先生になりたい方向けのコースが「教育福祉・社会デザインコース」の「特別支援プログラム」です。
ここでは、教育福祉・社会デザインコース 特別支援プログラムについて詳しくご紹介します。

  • 教育福祉・社会デザインコース 特別支援プログラムの特徴

    教育福祉・社会デザインコース 特別支援プログラムでは、人間の発達や福祉に関する知識を身につけた上で、障害のある子どもたちに対する教育実践力を高めます。これにより、「教育」と「福祉」双方の観点を持つ、特別支援学校教諭を目指します。
    取得を目指せる資格は、以下のとおりです。

    • 特別支援学校教諭一種免許(知的障害者・肢体不自由者・病弱者)
    • 中学校教諭一種免許(社会)
    • 高等学校教諭一種免許(公民)
    • 障害者スポーツ指導員

基本的に、特別支援学校教諭一種免許に加えて、中学校教諭一種免許(社会)または高等学校教諭一種免許(公民)のどちらかの取得に向けて学修を進めていくことになります。
なお、立正大学では、特別支援学校教諭一種免許のうち、視覚障害者・聴覚障害者に関する教育領域の免許状は取得できないので、ご注意ください。
教育福祉・社会デザインコース 特別支援プログラムは、これまで各地の特別支援学校に多くの卒業生を送り出しています。

  • 4年間のカリキュラム

    1年次は、もう一つのコースである「ソーシャルワークコース」と同じ内容を学びます。また、立正大学 社会福祉学部 社会福祉学科では、1年次から少人数制のゼミが始まり、その中で教育・福祉の両面から学習を深めることが可能です。

    2年次以降は、社会福祉と教育の双方の観点から障害理解や支援・教育のあり方について学びを深めると同時に、2年次後半には専門ゼミが始まります。1年次同様少人数体制で、教育現場での経験豊富な教員による指導を受けられるのが魅力です。

    3年次には、実際の教育現場を想定した模擬的な実践にも取り組み、4年次には教育実習に連動した事前・事後学習を行います。
    加えて、教員採用試験の受験に向けて、ゼミにて一人ひとりの進路に合わせたきめ細やかな指導を行っていきます。
    参考カリキュラムは以下のとおりですので、ぜひ参考にしてください。

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画像出典:教育福祉・社会デザインコース(特別支援教育プログラム)立正大学社会福祉学部ホームページ

まとめ

特別支援学校教諭免許状は、特別支援学校の先生になるために必要な免許状です。
特別支援学校教諭免許状は5つの領域に分かれており、進学先の大学・短期大学などによって支援できる領域が異なります。そのため、特別支援学校の先生になりたいという方は、自分がどの領域で活躍したいのかをよく考えた上で、進学先を選ぶとよいでしょう。
立正大学 社会福祉学部 社会福祉学科では、「知的障害者」「肢体不自由者」「病弱者」の3つの領域に対応した科目を履修できます。
特に、特別支援学校教諭免許状を取得したい方には教育福祉・社会デザインコース 特別支援プログラムがおすすめです。ぜひ、以下から立正大学 社会福祉学部 社会福祉学科のホームページもご覧ください。

「特別支援学校教諭を目指すなら」
立正大学 社会福祉学部 社会福祉学科へ

人間の発達や福祉に関する知識と障害のある子どもたちに対する教育実践力を高め、「教育」と「福祉」の双方の観点を持つ特別支援学校教諭を目指します。

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