統計検定とは 試験内容・種類や取得するメリットを解説

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統計検定は、データに基づいて客観的に判断し、科学的に問題を解決する能力を評価・認定する検定試験です。総務省、文部科学省、経済産業省、内閣府、厚生労働省の後援を受けており、その信頼性は非常に高いといえます。
今回は、統計検定の概要や検定種別について詳しく解説すると同時に、試験内容やメリットにも触れていきます。データを取り扱う技術を身につけたい方や、データサイエンスに関する仕事を目指す方に特におすすめの検定です。

出典:統計検定一般財団法人 統計質保証推進協会

統計検定とは

統計検定は、一般財団法人 統計質保証推進協会が実施し、日本統計学会が認定する「統計に関する知識と活用力」を評価する、国内で最も代表的な統計系資格の一つです。
試験区分は幅広く、中高生レベルの基礎的なグラフ作成などを問う「4級」から、大学教養レベルの「2級」、そして数理統計学の深い理解を要する最難関の「1級」まで、段階的に設定されています。
さらに近年では、ExcelやPythonを用いた実務的な処理能力を測る「データサイエンス(DS)」という新区分も注目されています。
総務省、文部科学省、経済産業省、内閣府、厚生労働省の後援を受けており、データサイエンティストを目指す社会人のスキル証明として、また大学での単位認定にも活用される、データ分析分野において高い信頼性がある資格です。

統計検定を受験するメリット

ここでは、統計検定を受験する具体的なメリットを紹介します。

  • データ分析スキルが身につく

    統計検定の学習を通じて得られる最大の武器は、数値の裏にある真実を見抜く力、すなわち「データリテラシー」です。
    ビジネスの現場では、経験や勘に頼った判断が優先されがちです。しかし、統計学を体系的に学ぶことで、目の前のデータが「偶然の結果」なのか、それとも「意味のある変化」なのかを客観的に判断できるようになります。
    また、ExcelやBIツールが自動で出力する分析結果に対しても、「この手法は適切か?」「データに偏りはないか?」と批判的に検証する視点が養われるでしょう。
    ツールに使われるのではなく、ツールの結果を正しく解釈し、論理的な意思決定につなげるスキルは、あらゆる業務の質を底上げします。

  • 就職・キャリアアップに有利

    DX(デジタルトランスフォーメーション)が加速する現代において、統計検定(特に2級以上)は、職種や業界によっては履歴書で高く評価されることがあります。
    データサイエンティストやマーケターを目指す場合、実務未経験であっても、この資格があれば「基礎的な数理能力がある」とみなされます。そのため、基礎的な数理能力を示す材料の一つとして、書類選考の際に有利に働く場合があります。
    特に文系出身者の場合、数字への苦手意識がないことを客観的に証明でき、コンサルティングファームや企画職の選考でも強力な差別化要因となるでしょう。
    また、就職してからも社内で昇進・昇格の要件に設定されたり、データ分析プロジェクトのメンバーに選ばれやすくなったりと、キャリアの選択肢を確実に広げるパスポートのような資格です。

統計検定の検定種別

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統計検定は、学習のレベルや目的に応じて大きく3つの種別に分かれています。それぞれの特徴と対象者を詳しく見ていきましょう。

  • 統計検定

    統計学の数理的な基礎から応用力までを段階的に評価する、最もスタンダードな統計検定です。

    • 統計検定1級「統計数理」
      大学3・4年次~大学院修了レベルに相当する、統計検定の最高峰です。1級のみCBT(コンピュータ試験)ではなく、論述式の筆記試験(PBT)として年1回実施されます。
      なお、この「統計推理」と後述する「統計応用」は同日の午前と午後に分かれて試験が開催され、どちらか一方しか合格しなかった場合は、科目合格として扱われます。科目合格は10年間有効です。「統計数理」と「統計応用」の両方に合格して初めて「統計検定1級」の認定を受けられます。
      「統計数理」は、その名のとおり統計学の理論的な背景を深く問う試験です。
      • <出題内容>
        確率分布の性質、変数変換、極限定理、推定・検定の数理的基礎など。微積分や線形代数(行列)を駆使して、数式を展開・証明する力が求められます。
      • <対象者>
        専門的なデータサイエンティストや研究者を目指す人。公式や手法を知っているだけでなく、その数理的な導出プロセスまで理解している必要があります。合格者は統計学のスペシャリストとして高い評価を受けます。

    • 統計検定1級「統計応用」
      「統計数理」と同じく最上位の区分ですが、こちらは実社会の特定の分野への応用力を問う試験です。
      • <出題内容>
        受験者は、申込時に以下の4つの分野から1つを選択します。
        1. 人文科学:心理学、教育学における実験計画法や因子分析など
        2. 社会科学:経済学、マーケティングにおける時系列解析や計量経済学など
        3. 理工学:製造業、工学における品質管理、信頼性工学、実験計画など
        4. 医薬生物学:臨床試験、生存時間解析、疫学研究など
      • <対象者>
        各専門分野において、高度な統計解析を用いて研究や実務を行うプロフェッショナル。

    • 統計検定準1級
      2021年からCBT方式に対応し、いつでも受験可能となった上位資格です。
      大学専門課程(3~4年次)レベルの内容を扱います。2級までの基礎知識に加え、多変量解析や機械学習の基礎といった、現在のデータサイエンス実務で頻繁に使われる手法が範囲に含まれるのが最大の特徴です。
      • <出題内容>
        重回帰分析、主成分分析、判別分析、時系列解析、ベイズ統計、シミュレーションなど。数式の展開よりも、適切な分析手法の選択や、分析結果(出力結果)の正しい解釈に重きが置かれています。
      • <対象者>
        実務で本格的なデータ分析を行うエンジニアやマーケター。AI・機械学習を学ぶための統計的基礎を固めたい人に最適です。

    • 統計検定2級
      大学基礎課程(1~2年次)レベルに相当し、ビジネスパーソンが身につけるべき統計リテラシーの標準となる級です。
      データに基づいた意思決定を行うための必須知識が網羅されています。
      • <出題内容>
        記述統計(平均・分散・ヒストグラム)、確率分布、統計学の心臓部である推測統計(区間推定・仮説検定)がメイン。また、単回帰分析や分散分析の基礎も問われます。
      • <対象者>
        すべての大学生・社会人。特にデータ分析を業務に取り入れたい方に。

    • 統計検定3級
      高校数学~大学初等レベルの内容です。数式による複雑な計算よりも、データの整理やグラフの読み取りといったデータリテラシーの基礎を重視します。
      • <出題内容>
        データの散らばり(四分位範囲、箱ひげ図)、相関係数、基本的な確率、標本調査の概念など。
      • <対象者>
        文系学生や、数学に苦手意識がある社会人の入門として。まずはここからスタートし、基礎用語に慣れてから2級を目指すというステップアップが一般的です。

    • 統計検定4級
      中学生レベルの内容で、統計検定の入り口となる級です。
      • <出題内容>
        基本的なグラフ(棒グラフ、円グラフ、折れ線グラフ)の作成と読み取り、平均値や中央値の計算、簡単な確率など。
      • <対象者>
        中高生や、データアレルギーを克服したい初学者。社会常識としてのデータを読む力を確認できます。

  • 統計検定 統計調査士

    数理的な計算よりも、公的統計の知識や調査の正しい進め方に特化した種別です。

    • 統計調査士
      公的統計(国勢調査やGDP統計など)に関する基本的な知識と、統計調査を正しく実施するためのルールを問う試験です。計算問題は少なめで、知識問題が中心です。
      • <出題内容>
        統計法(法律)、調査票の設計方法、個人情報の保護、主要な公的統計データの見方・利用方法など。
      • <対象者>
        自治体職員、公務員、シンクタンクやマーケティングリサーチ会社の社員。公的データをビジネスに活用したい企画職の方にも役立ちます。

    • 専門統計調査士
      統計調査士の上位資格であり、より高度な調査の管理・指導能力を認定します。認定を受けるには、本試験の合格に加え上記の「統計調査士」の取得が必要です。
      • <出題内容>
        標本抽出法の理論(サンプリング設計)、調査データの品質管理、欠測データの処理(補完法)、統計解析ツールの活用など。
      • <対象者>
        調査の企画・設計をリードするリサーチャーやアナリスト。社会調査の品質を担保するための専門的なスキルが求められます。

  • 統計検定 データサイエンス(DS)

    近年新設された、時代のニーズを反映した種別です。最大の特徴は、試験中にExcelやPythonなどのツールを実際に操作して解を導くハンズオン形式である点です。

    • データサイエンス基礎(DS基礎)
      「データサイエンス・AI教育プログラム認定制度(リテラシーレベル)」に準拠した、入門レベルの試験です。CBT方式で、電卓だけでなく、試験画面上でExcelを操作してデータを処理します。
      • <出題内容>
        データの加工(フィルタリング、ピボットテーブル)、基本統計量の算出、可視化(適切なグラフ作成)、相関と因果の理解など。
      • <対象者>
        大学生(1年次相当)や、事務職・一般職の社会人。Excelを使ったデータ集計業務の効率化や、ミス防止に直結するスキルが身につきます。

    • データサイエンス発展(DS発展)
      大学教養レベルの数理・統計知識に加え、数理モデルをツールで実装する力を問います。CBT方式で、PythonやRのプログラムコードを読み解く問題や、Excelでの高度な分析が出題されます。
      • <出題内容>
        機械学習の基礎(回帰、分類、クラスタリング)、評価指標(精度、適合率)、データ前処理の技法など。
      • <対象者>
        文理問わず、将来仕事でデータサイエンスを活用したい方。

    • データサイエンスエキスパート(DSエキスパート)
      2024年に開始された、極めて難易度の高い区分です。大学専門課程~大学院レベルの高度な数理知識と、計算機を用いた実装能力を総合的に評価します。CBT方式ですが、内容は極めて高度です。
      • <出題内容>
        計算機集約的な統計手法(MCMC、ブートストラップ法)、深層学習(ディープラーニング)の数学的背景、高次元データの解析、最適化数学など。
      • <対象者>
        トップレベルのデータサイエンティスト。理論だけでなく、アルゴリズムの挙動を深く理解し、複雑なデータ課題を解決できるエキスパートであることを証明します。

統計検定の試験について

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統計検定の試験スケジュール(方式)、試験時間、合格水準を紹介します。

  • 試験スケジュール

    試験スケジュールは、1級とそれ以外で異なります。

    • 【準1級・2級・3級・4級・統計調査士・DS】(CBT方式)
      原則として、通年いつでも受験が可能です。全国47都道府県にある約300カ所のテストセンター(オデッセイコミュニケーションズ認定)の空き状況に合わせて、自分の都合のよい日時を予約できます。
      「来週の土曜日に受けたい」といった柔軟なスケジュール調整が可能なため、学習の進捗に合わせて受験日を決められます。

    • 【1級】(PBT方式)
      年1回、11月中旬の日曜日に実施されます。東京、大阪、名古屋などの主要都市にある指定の会場で行われます。
      申し込み期間は例年9月ごろに限られるため、受験を検討している方はスケジュールの確保と申し込み忘れに十分注意してください。

  • 試験時間

    検定種別や階級によって試験時間は異なります。特に集中力が必要な上位級は長丁場となるため、時間配分の戦略が重要です。

    • 1級:「統計数理」90分 /「統計応用」90分(計180分 ※休憩あり)
    • 準1級:90分
    • 2級:90分
    • 3級:60分
    • 4級:60分
    • 統計調査士:60分
    • DS基礎:90分
    • DS発展:60分
    • DSエキスパート:90分

CBT方式の場合、試験終了ボタンを押すとその場ですぐに合否結果が画面に表示されます。結果待ちの期間がないのもCBTの大きな特徴です。

  • 合格水準

    多くの区分において、100点満点中60~70点以上が合格の目安となります。

    • 1級:非公開
    • 準1級:100点満点で、60点以上
    • 2級:100点満点で、60点以上
    • 3級:100点満点で、65点以上
    • 4級:100点満点で、60点以上
    • 統計調査士:100点満点で、70点以上
    • 統計専門調査士:100点満点で、65点以上
    • DS:各100点満点で、60点以上

統計検定は何に生かせる?

ここでは、統計検定を生かせる仕事や業界、ビジネスシーンを紹介します。

  • 統計検定が生きる主な仕事

    統計の知識が必須とされる専門職から、あると圧倒的に有利になる職種まで、活躍の場は広がっています。
    以下は、その一例です。

    • データサイエンティスト・データアナリスト:ビッグデータを解析し、企業の課題解決やAI開発を行う職種です。統計検定準1級以上の知識(多変量解析や機械学習)が日常業務のベースとなります。
    • マーケター:マーケティング・集客を担う職種です。例えば、Web広告の効果測定や顧客アンケートの分析において、「AとBのどちらが本当に効果的だったか(A/Bテスト)」を統計的有意差に基づいて判断できます。
    • コンサルタント:クライアントへの提案において、データの裏付けは信頼の源です。市場調査データからトレンドを読み解き、論理的な経営戦略を立案するために、統計知識がフル活用されます。
    • 品質管理・生産管理:製造現場において、不良品発生のリスク管理や工程改善を行う際、管理図や工程能力指数などの統計的手法を用いて、品質のバラつきをコントロールします。

  • 統計検定が生きる業界

    かつては製造業や研究機関が中心でしたが、現在は「データのない業界はない」といわれるほど、さまざまな業界でニーズが高まっています。

    • 金融・証券業界:株価の変動予測や保険料のリスク計算(アクチュアリー業務)など、数理モデルがビジネスの根幹です。FinTech(金融×技術)の進化により、その重要性はさらに増しています。
    • IT・Web業界:ECサイトのレコメンド(おすすめ商品表示)機能やSNSのアルゴリズム開発など、ユーザー行動のデータを解析してサービスを最適化するために必須です。
    • 医療・製薬業界:新薬の開発において、その薬が本当に効いているのかを証明するために「生物統計学」が使われます。人の命に関わる判断を支える、極めて重要な分野です。
    • 官公庁・自治体:「EBPM(証拠に基づく政策立案)」が推進されている中、人口動態や経済指標などの公的統計を正しく分析し、実効性のある政策をつくるために活用されています。

  • 統計検定が生きるビジネスシーン

    専門的な分析を行わない一般的なビジネスシーンでも、統計リテラシーがあるだけで、業務の質と説得力が劇的に向上します。

    • 企画書・プレゼンテーション:「売上が伸びそうです」と言うよりも、「過去データを用いた回帰分析の結果から推定すると、来月は約15%の成長が見込まれます」と伝えるほうが、上司や顧客の納得感は大きいです。客観的な数値で語ることで、提案が通りやすくなります。
    • 売上・業績の評価:「今月売上が落ちたのは偶然か、なんらかのトラブルか」を判断する際、季節変動や誤差を考慮して冷静に要因を特定できます。無駄な焦りや、的外れな対策を防げます。
    • 情報収集や意思決定:ニュースや社内レポートで流れてくるグラフや平均値に対し、「このデータには偏り(バイアス)があるのではないか?」と批判的に見る目が養われます。誤った情報に踊らされず、正しい意思決定を行いやすくなるでしょう。

まとめ

統計検定は、その名のとおり統計についての知識を評価・認定する検定試験です。
データサイエンティストやデータアナリストといった統計に関する職業はもちろん、IT・テクノロジー、金融・証券などの統計知識を求められる業界、データ分析や市場調査などのビジネスシーンでも非常に役立つ知識を身につけられます。
立正大学 データサイエンス学部では、データサイエンスを広く実社会に応用できるデータサイエンティストを養成しています。
統計に関する仕事を目指している学生さんや、データサイエンスの専門的な知識を身につけたい学生さんは、ぜひ進路の選択肢の一つとして立正大学についてもご検討ください。

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データサイエンス学部は、データサイエンスの様々な分野での実績を持つ教授陣による講義と、実際にデータを用いてビジネス・モデルを展開している企業や組織との連携によるインターンシップやフィールドワークといった実践的な学びによる「文理融合型」のカリキュラムで、データサイエンスを広く実社会に応用し、ビジネスをはじめとした社会のあらゆる現場で新たな価値を生み出す即戦力となるデータサイエンティストを養成します。

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