辻村雅子准教授が執筆した,一国経済の取引を客観的に描写する経済統計である国民経済計算体系の作成において,ローマ法の概念を取り入れる利点を提案した共著論文 "Roman law in the national accounting perspective: Usus, fructus and abusus" が,国際学会 International Association for Official Statistics が発行する学術雑誌 Statistical Journal of the IAOSに掲載されました。

概要:一国経済の取引を客観的に描写する経済統計である国民経済計算体系の作成において,それを正確に記帳することが難しい場合も多い。その一例として,土地を所有しそれを他者に貸し出す取引が挙げられ,この場合,所有権と賃貸借の双方を資産として計上すると,二重計上になるという問題が生じる。これを,物権を使用し(usus),そこから収益を得(fructus),それを処分する権利(absus)というローマ法の基本的な概念を用いることで,二重計算を避けて記帳する方法を提案している。更にローマ法の比較対象として,世界の主要な法体系であるメソポタミア法,イスラム法,アングロ・ノルマン法も採りあげ,歴史的な発展を振り返るとともに,ローマ法との差異と,ローマ法を用いてこれらの法体系の概念をどう表現できるかを検討している。

Roman law in the national accounting perspective: Usus, fructus and abusus | Statistical Journal of the IAOS
https://content.iospress.com/articles/statistical-journal-of-the-iaos/sji210810
上記website上では,一部のレイアウトが崩れて表示されています。本論文は,オープンアクセスとなっておりますので,pdfファイルの方をご覧頂ければ幸いです。