古書資料館10周年特設サイト
古書資料館について
立正大学古書資料館は、江戸時代の和古書を中心に、貴重書、特殊資料(巻子本・折本・函物等)、洋古書を所蔵する、古書の専門図書館です。
4万冊を超える蔵書のうち、約8割を開架で提供しています。古い資料のため、一般資料とは異なる利用上の取り決めがありますが、開架室の古書は、利用者の皆様が直接書棚から取り出し、閲覧することができます。古書の利用に役立つ辞書や参考書も取り揃えており、専門員やライブラリアンが古書利用のサポートをしています。
開館10周年を迎えて
「開架で古書」をコンセプトとして、平成26年(2014)に開館した立正大学古書資料館は、令和6年(2024)に開館10周年を迎えました。開館以来多くの皆様にご来館いただきましたこと、心より感謝申し上げます。
古書資料館を開館するまで、和古書は大学図書館の閉架書庫の奥の和装本コーナーに大切に保管していました。そのため、利用可能な資料としての存在が見えにくく、閲覧利用する際も、事前に予約するなど色々な制約と手続きがあり、利用まで何段階かのステップを踏まなければなりませんでした。それが古書利用への距離感の一因となっていたとも考えられます。古書を大切に保管して次世代に伝えることも図書館の重要な責務ですが、その一方で、長年常に問い続けてきた古書への思いがありました。それは「資料は何のためにあるのか」、「図書館の役割とは何か」、「図書館における保存とは何か」という図書館の基本的な問題です。古書資料館を開架利用中心にした場合の課題を、「資料の保存環境は維持できるか」「開架ならではの新しいサービスをどのように提供するか」の2点 に絞り検討を重ね、「資料を現在と未来に保証し、これまで以上に利用の可能性を高めていくことの両立」を目指して、2014年、開架中心の古書資料館誕生に至りました。
今後も筆跡や紙質等、原資料ならではの情報に触れる、 親しむ場として、古書資料館をご活用いただけましたら幸いです。
図書館長挨拶
古書資料館は、開設10周年を迎えました。古書資料、あるいは、貴重書と呼ばれる資料は、和書では慶長(1615年)以前に刊行された書籍、洋書では、1850年以前刊行の資料を指す場合が多いです (国立国会図書館HP)。大学図書館においても、貴重書は、資料的に価値が高く(希少性が高い)、きわめて高額である場合が多く、一般資料とは区別して扱われます。資料の劣化や虫菌害を防ぐため、特別な貴重書庫に保管されており、通常の書架には配架されていないのが一般的です。古書資料館での資料の「保存」と「利用」の試行錯誤やイベントなどについては、図書館のホームページ、古書資料館のサイトをご覧ください。
さて、近年はインターネットの普及に伴い、PC、スマートフォンやタブレットなどの電子媒体も浸透し、書籍や雑誌の電子化も進んでいます。一方、紙媒体への評価についての研究は、若年層において記憶想起、理解度において電子媒体より優れていると指摘されています (Delgado et al., 2018)。その理由は、紙媒体は情報が脳内で処理される際の容易さや速さ、いわゆる「情報の処理流暢性」 (processing fluency)をより高 める媒体であると分析され、処理流暢性が高い場合には、好みや親近感などの評価にも影響を及ぼすと示されています (Alter & Oppenheimer, 2009)。
古書資料館が開架を貫いている姿勢は、海外の研究者たちにも評価されております。学生のみなさんには、特に本学の財産である古書資料館の資料に触れる機会を設けていただきたいと願っております。
Alter, A. L., & Oppenheimer, D. M. (2009). Uniting the tribes of fluency to form a metacognitive nation. Personality and Social Psychology Review, 13 (3), 219‒235.
Delgado, P., et al., (2018). Don’t throw away your printed books: A meta-analysis on the effects of reading media on reading comprehension. Educational Research Review, 25, 23‒38.
立正大学図書館館長 小浜 ふみ子
※令和7年3月時点
統計でみる10年・新収貴重書
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古書資料館に関する 書誌・講演/所蔵の活用(2014.4-2025.3)
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立正大学古書資料館開館10周年記念誌・古書資料館年表双六(PDF)



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