経営学科:2024年度卒:内田和希:同調行動の系統的レビュー:心理学的基盤から社会的影響まで
目次
自己紹介
こんにちは。立正大学大学院 経営学研究科 経営学専攻 修士1年の内田和希です。2024(令和6)年度まで経営学部経営学科に所属していました。そのせいで口頭で自己紹介をするときに「経営学部経営学科所属」って言いそうになるのが最近の悩みです。こっちのほうが言いやすいし、口当たりいいからね、仕方ないよね。
私の研究テーマ
私は、「同調」をテーマにしています。「周りの人がやっているから、自分も同じような行動をしちゃう」という、アレですね。
これを見て多くの人は、「それって経営学っぽくなくない?」と思われたでしょう。私もそう思います。実際やっていることは社会心理です。気が付いたらこうなってました(笑)。
ま、まぁ経営学部ってけっこうゼミの幅広いですからね。社会学専門のゼミとかあったし、私の友人なんかは卒論で空き家問題を取り上げていましたね。
で、肝心の「なぜこのテーマになったか」という話ですね。これは私の所属ゼミの方針によるものでした。私は山本仁志先生のゼミに所属していました。(今もお世話になっております。)
そこで先生から出された課題が「論文検索して気になったものとか面白そうって思ったものをパワポにして発表する」というものでした。
そうです。それが私の進路を変えた出会いだったのです。ある一つの同調に関する研究に心を奪われ、それと似た実験を行いました。
その時は、「被験者の確信の度合いが低いと同調しやすくなるんじゃない?」 というものをやりましたね。(この実験の詳細は、「おまけ」で解説しています。ご興味があればどうぞ。)これ以降、私は沼から上がってこれてません(笑)
私の大学時代
延々と遊んでました。コロナ明け直後というのもあり、学部1年のころはオンラインと対面半々みたいな状態でした。そのせいで友達も少ないし、家から出る機会も少ないし。ずぅーっとゲームしてた気がしますね。おかげで何度課題を提出し忘れたことか(笑)。
そしてコロナが明けて対面になったらずっとカラオケ行ってましたね。授業始まる前にカラオケ。授業の合間にカラオケ。授業終わったらカラオケ。もうカラオケ三昧。多い時では週に3~4回行くときもありました。気づいたら某カラオケ店の会員ランクが最上位になってました。完全にやりすぎ。
学部3年になって就活が始まりましたが、こちらはひどいもので、学部4年の6月まで内定が1つもありませんでした。そりゃそうですね。だってここまで無限に遊び散らかしてるんですから。もう就活はやりたくないです。まあまたやらなきゃいけないんですけどね(泣)。
さらに就活がずっと終わらないせいで卒論もなかなか進まず・・・と、負のループでした。まあそちらはまた後程ということで。
と、こんな感じでしたね。こうしてみると、あまりにも刹那的すぎますね(笑)。先のことを何も考えてなかった気がします。まぁ、最終的に卒業できたので無問題です。卒業さえできれば。
卒論概要
私の卒業論文の題目は「同調行動の系統的レビュー:心理学的基盤から社会的影響まで」というタイトルでした。
世の中にある同調行動に関連する論文をいっぱい集めて、まとめる。そしてまとめたものを紹介する。そんな感じの論文ですね。
ざっくりとテーマごとに分類して、「そもそも同調がなぜ(どのように)起きるのかを研究した論文」「心理尺度を作った論文」とか「災害時の同調行動に関連した論文」「いじめに関連した論文」などなど。このテーマの論文はこんなものがありますよ。こんなことをやって、こんな結果が出てましたよ。と説明するものでした。
50個以上の論文を必死に検索して血眼になって読み漁りました。一生分の活字を読んだ気さえしましたね。でもそのおかげで活字に慣れたし、読解力も上がった気がします。気のせいかもしれませんけど。
「私の研究テーマ」で述べたように「同調のことをやろう!」 という考えはあったんですが、上述の通りなかなか進まず・・・。卒論に取り掛かることができたのは、結局学部4年の6月ごろになってしまいました。
ざっくりと説明すると、このようになっています↓

以上です。ほかの方と比べて非常にコンパクトですね。見やすくていい。
こんな感じに、論文を集めるのに2か月くらいかけました。1日1~2本くらいですね。少ないように見えますが、そもそも1次選定の時点で気になった論文は読まなきゃいけないですからね。しかも、読んだうえで「これは違うな・・・」ってなったものは入れませんから。このペースでちょうどいいくらいです。論文を2本収集するのに4時間くらいかけてました。
さて、HDDを漁ってたら6月末時点での論文収集の進捗が発掘できたので、置いておきますね。

う~ん、少ない。まぁ、この月に集め始めたわけですし、こんなもんでしょう。最終的には50本以上必要になるのでまだまだではありますが。ここからゆっくり集めて行って、10月には60本近くになっているのですから恐ろしいものです。
ちなみに、9~10月は「本文に載せる論文の選定」でずっと悩んでました。最終的に集めた論文の総数は70本くらいあったんですが、「いやこれ、まとめて紹介しても面白くないぞ・・・?」と手が止まる。
この時期が一番つらかったかも。なんか、選ぶだけなのに“選べない地獄”が来るんですよね(笑)。しかも、集めた論文の一覧がエクセルに無言で並んでるのがまたプレッシャーを与えてくるんですよね・・・。
結局、自分が「もう一回読みたくなるか?」を判断基準にして、そこから絞り込みました。冷静になってから見ると、「読みたい/おもしろいって思ったやつが一番紹介したいやつ」だったなと。
収集した論文を改めて読んでみて、おもしろさを表す星の数と、読んだ感想を添えることにしました。つまり、判断基準とそれをサポートする要素を増やしたわけですね。こうすることで私は解放されました。
さて、先ほど述べたように「同調に関することやりたいけど、具体的になにがしたいか思いつかないなぁ・・・。」という状態でした。そのまましばらくの時が流れ・・・。さすがに困った私は、山本仁志先生に相談しました。そこで私は天啓を得たのです。「レビュー論文だと量が必要だけど、一番書きやすいよ。」と。
はい。私がレビュー論文を選んだ理由は、書きやすいからです。・・・って、正直に言うとちょっとダサいかもしれませんが、本当にこれが理由です。
もちろん「気になったことをとことん掘り下げたい」とか「この分野に貢献したい」とか言えたらカッコいいですけど、私は「今の自分にとっていちばん完走できそうな形はどれか」を優先しました。背伸びしてコケるより、自分のペースで最後までいく方が大事だと思ったんです。結果的にそれが一番自分に合ってたと思いますし、むしろ“完走するってだけで偉い”と卒論終えてから実感しました(笑)。
で、「レビュー論文」っていう形式が決まった後に「どのような論文を集めるか」とか「どんな内容にするのか」を考えました。その時点では、こんな感じのを案としていました↓
・同調実験の歴史
・同調実験の傾向(何を目的とするか、どのような尺度が使われがちか)
・同調の原因
それが最終的な完成形ではこうなりました↓
①同調行動の原因
②同調行動そのものの研究
③同調がいじめに与える影響
④同調行動の測定と尺度作成
⑤災害時の同調行動
はい。全然違いますね。こんなもんです。最初の案や想定とは大きく外れてしまいましたが、論文を集めていくにつれて、ざっくりこんな感じの分類になってました。私が「これ面白そう!」と思った論文を優先して集めた結果がこれです。
ま、まぁ、最初の案なんていくら変わったっていいんですよ。「終わり良ければ全てよし」って言葉があるくらいですからね。
ちなみに、レビュー論文が実際書きやすかったかといわれると・・・、正直、何とも言えません(笑)。
いやまぁ、間違いなくほかの種類(実験型や調査型)と比べると進めやすくはありますよ。すべての工程がパソコンで完結しますから。実験や調査と違い、予定を組まなければならないわけではないし、他人に合わせる必要がない。つまり、自分の家から一歩も動かずに卒論を完成させることができるわけです。ただ、本当に地道な作業が必要ではありますけどね。だから結局、そこは感じ方次第なのかなと思います。ちなみに私は、これにしてよかったと思ってます。
さて。いろんな方がいろんなメッセージを残していますので、私はテーマ決定のアドバイスでもしようかなと思います。
多分、多くの学生が直面するであろうこの問題。テーマがない。どんな内容を書くべきかわからない。そもそも書きたい内容がない。
私には、みなさんがその状況に陥っている理由がわかります。それは、みなさんは「論文を知らないから」です。論文を知らないからやりたいこと、書きたいことが見つからない。だからテーマがないのです。
じゃあどうするか?簡単です。論文を知らないからわからないのであれば、見てみましょう。読んでみましょう。あなたが興味のある内容の論文を検索しましょう。もちろん学術的なことでなくても構いません。あなたの趣味で検索してみましょう。例えば「スポーツ」「読書」「ファッション」などなど・・・。論文なんて世の中に無数にあるのです。それを検索してみて、タイトルを見て「おもしろそう」って思った論文を見てみましょう。
全部読んだって正直何を言っているのかわからないと思います。ですので「はじめに」と「結果」、「考察」だけ読めば大丈夫です。これを見れば「なんでこの研究をしたか」「どんな結果になったのか」がわかりますから。それでもわからなかったら、chat GPTとかに投げてみましょう。「この論文の内容を要約してください」って。これでばっちりです。興味を持つ段階であれば、もう完璧。あとは探して読んでを繰り返しましょう。
しかし、ただgoogleで検索しても様々な記事やサイトが出てきてどれが論文なのかわかりにくいですよね?そんなあなたにこちら「Google Scholar」というツールがあります。これを使って検索を行うと、書籍と論文だけに絞り込んで検索ができるのです。まあ便利。しかも簡単。使わない手はないですね。
例として、Google Scholarで「サッカー」をキーワードに検索した結果がこちらです。

もう面白そう。私はサッカーはイナズマイレ〇ンくらいでしか知りませんが、どれも面白そうに思います。私ですらそうなので、サッカーがとっても好きって方はたぶんめっちゃ気になってると思います。
って感じで、まずは自分の中の論文の知識を増やしましょう。「論文ってこんな内容のことでもいいんだ!」って学びましょう。するとあら不思議。あなたもそんな感じの内容がやりたくなってくるはずです。
結局、なんでこれをしたほうがいいかって、自分がおもしろいと思ったテーマのほうが楽しいんですよね。当たり前ですけど。自分がやりたいこと、知りたいことを研究して、その内容をちょっと長めの文章にすればいい。やりたいこともできて、それをやってるうちに気づいたら卒論も終わってる。まさに一石二鳥なわけです。
これを、卒業するために自分が興味もないテーマにしてしまうと苦しいわけです。やりたくもないことをやらされ、それを長々と文章にしなければならない。こんなもんは修行です。苦痛です。そりゃこんなことしてたら「卒論は苦しかった」って記憶だけが残りますよ。やはり、自分に合ったテーマを選ぶことは心も豊かにしてくれるのです。素晴らしい。
さて、ここまでいろいろ書いてきましたが、結局一番大事なことは、はじめて論文のタイトルを目にした時に感じる「おもしろそう」という感情を忘れないことだと思います。「おもしろそう」「結果が知りたい」というのが研究におけるもっとも大きな原動力です。
私が最も好きな作品に、以下のような言葉があります。
「どうしようもなく、心が震えたその時──それこそが、君が夢に出会った瞬間だ。」
たかが卒論のテーマですから、ここまで大それたものではないでしょう。ですが、どうせなら卒論も楽しく書きたいですよね。「結果が知りたい」という欲求にそのまま従って、心が赴くままに、追及したいですよね。
熱中して取り組んだことは忘れることはありません。それがたとえ卒業のための足掛かりでしかなかったとしても、そのテーマのことを昼夜考え続けたことには変わりませんし、あなたの行動による結果であり、成果です。その経験が、その時の思いが、いつかあなたの役に立つときがきっと来ると、私は思います。
今苦しんでいる後輩へ。これからこの試練に挑むことになる後輩へ。どうか私のこの経験が、みなさまの卒業論文制作の一助となることを。また、みなさまが無事に卒業できることを、心から、願っています。
ここまで目を通していただいて、ありがとうございました。失礼します。
おまけです。研究や実験についての説明が欲しいとの要望をいただきましたので、ここで語らせてもらおうと思います。なお、ここは完全なおまけとなっていますので、卒論の書き方やアドバイスといったことについては一切触れません。ですので、「お前の研究なんて興味ねーよ!」という方はこのままブラウザバックしていただいて構いません。バイバイ。
「被験者の確信の度合いが低いと同調しやすくなるんじゃない?」の実験
ということで、まずは「被験者の確信の度合いが低いと同調しやすくなるんじゃない?」の実験についてお話させていただきます。この実験がつまりどういうことかというと、「被験者の確信の度合いが低いと同調しやすくなるんじゃない?」ということです。はい。
いやほんとに、そうとしか言えないんですよ。簡単にこの実験の流れを説明しますね。
①私が作ったフェイクニュースを被験者に見せる(もちろん被験者にはこのニュースがフェイクとは言いませんよ)
②「このニュースって本当のことだと思う?」と尋ねる
③「事前調査では〇(3or6or9)割が『本当だと思う』って言ってましたよ」って言う(もちろん事前調査なんてやってないです)
④再度、このニュースが本当だと思うか聞く
はい。こんな感じです。ニュースは2種類用意しまして、片方は「フェイクニュースって簡単にバレそうな」ニュース。もう片方は「パッと見だとフェイクとはわからないニュース」です。このどちらかを提示するわけですね。
で、肝心の結果なのですが、「パッと見だと嘘だとわからないニュース」で同調した人が多かったです。それも被験者の半分近くが同調していました。当時はこんなにも多くの人が同調するのかと感動したものです。懐かしい。ちなみにこの実験は学部3年の時にやったものですね。経営学部は2年からゼミが始まるので、こんなこともできるんですねぇ~。
修士でやった実験
続いては、最近やった実験について説明しましょう。こっちでは、「SNS上の過激なコメントが意見変化を発生させることってあるの?」って実験をやりました。
どういうことかと言いますと、例えば「死刑が廃止になります!」というニュースがでたとしましょう。で、このニュースに対してSNS上に様々コメントが投稿されるわけです。
例えば「死刑は人権を著しく損なうので廃止に賛成!」ってコメントや、「被害者遺族の気持ちを考えろ!廃止には反対!」ってコメントなど。で、コメントの中にはとんでもなく過激なコメントもあるわけです。例えば「犯罪者は死んで当然であり人間の屑だ!死刑の廃止なんてもってのほかだろ!!」なんてものですね。
SNSでこんなん流れてきたら「うわぁ・・・」ってなるじゃないですか。これを、同じ立場の人に見せるんですよ。これであれば、死刑廃止に反対の人に見せるわけです。で、これを見た反対派の人が「こんなヤバいやつが反対してんのかよ、こりゃだめだわ」って賛成派に鞍替えしたりするの?ってお話です。
で、実際の実験で扱ったトピックは「救急車の有料化」ですね。これの過激/穏当な賛成/反対コメントを計4パターンで7個ずつ作成しました。
みなさんはこの実験の結果、どうなったと思います?過激な賛成を見せたら賛成派が減った?では過激な反対を見せると反対派が減るのか?どうでしょうねぇ。予想はできても結果がわからないのが実験の面白いところです。
さて、肝心の結果ですね。ざっくりとこんな感じになってました。↓
①過激賛成←賛成派が減少して、反対派が増えた
②過激反対←賛成派が減少した
③穏当賛成←反対派が減少した
④穏当反対←賛成派が減少した
おもしろいですよね。基本仮説通りなんですが、過激反対だけは、思った効果が見られなかった。賛成派が減っちゃってるんですよ。なんででしょうね?(なぜ減少しても逆側が増えないのかといいますと、「どちらともいえない」という選択肢があるからです。)
私は一つ理由が思いつきました。それは、「賛成意見と反対意見では、攻撃対象が違う」んです。さて、これはいったいどういうことか?説明しましょう。
まず、これは過激な賛成コメントの例です。
「本当に必要なら数千円くらい払えるだろ。金がないなら死んでも文句言うな。」
はい。とんでもない発言ですね。思いついたときは自分が天才かと思いました。
では続いて、過激な反対コメントの例です。
「貧乏人は死ねってことか。弱者を切り捨てた本音が透けて見える。」
はい。これまたとんでもない発言です。こんなコメントが思いつくなんて私は天才ですね。
ということで、両者を比較すると、過激な賛成コメントが攻撃しているのは「有料化に反対している人」なんです。一方で過激な反対コメントが攻撃しているのは、あくまで「この制度を推し進めようとしている行政」なんですね。ここの違いなんじゃないでしょうか。つまり、「個人を攻撃するのはよくないが、行政は攻撃してもいい」と判断している。と、いうことですね。
いやぁ、非常に面白い結果ですよ。ということで、この結果を受けて、今度はどちらのコメントも、同じ対象を攻撃するものにしよう。という実験を行おうとしているわけです。
いい結果が出るといいんですけどね。みなさんぜひ私を応援してください。うれしくなるので。
おしまい
という感じに、私が行った研究を解説させていただきました。大学院、みなさんやっぱり「とんでもなく頭がいい人たちが行くところ」って印象があると思うんですよ。そんなことないですからね。私みたいな元カラオケ星人もやっていけてるわけですし。
ただ、「追求したいなにかがある」だけです。もうほんとに、たったそれだけ。なにか一つ、学問に関連して追求したいものがあるなら、大学院進学というのを進路の一つとして考えてみるのもありだと思いますよ。私は全力で歓迎します。
というわけで、改めて締めの挨拶をさせていただきます。私のただの自己満足の語りを最後まで閲覧していただいて、本当にありがとうございます。私がここまで述べたことが、なにか一つでも参考になれば幸いです。私は大学院進学という道を選びましたが、どんな道を選んだとしても、最終的には思い描くレールに乗ることができるでしょう。みなさまのこれからの旅路が、美しく、幸福に溢れたものになることを、心から、願っています。
ここまで目を通していただいて、ありがとうございました。失礼します。




