対人・社会心理学科の卒業生インタビュー
幼い頃からテレビの世界に憧れがあったという林さん。大好きな芸能人への関心が人一倍強く、現在は芸能プロダクションのホリプロに入社し、映像事業部に配属された。バラエティ番組やドラマなどのアシスタント・ディレクター、アシスタント・プロデューサーとして、エンタメ業界で多忙な日々を送る林さんに、現在の仕事を選んだ理由や学生時代に学んだ知識がどのように活かされているか、伺いました。
地元の新潟から東京に出てきたのは、大学で心理学を学ぶためではあったのですが、心の片隅には「芸能人に会えるんだ!」という気持ちも正直ありました(笑)。休みの日は芸能人を見たいがために、代官山や中目黒を散策したりするのも楽しみでした。就職活動の時期を迎え、自分がやりたいことについて考えたら、好きな芸能人やお笑い芸人の方々と直接関われる仕事がしたいと思うようになりました。ホリプロはマネージャー志望でしたが、入社してから映像事業部に配属が決まりました。
入社してまだ一年目ですが、TV番組や映画などの映像作品がどうやって作られているのか、全く知らなかったので、やることすべてが新鮮に感じています。実際には撮影のためのロケ地のリサーチやスケジュールを組んだり、収録後、放送に必要な素材の使用許可取りなどを行っています。大変な仕事ですが、自分の素質でもあるミーハーな部分があって、現場で芸能人に会えるとすごく嬉しく、自分にとってはやりがいになっています。
今の仕事では交渉事も多いのですが、そういった際に、例えば対人心理学で学んだコミュニケーション技法が役立ったりもしています。今の仕事をするようになって改めて、人と人のコミュニケーションや人とのつながりが、いかに大事なものかを感じていて。例えば撮影現場で会話をはずませるために、どうやって反応したら良いかというのも、今の仕事では求められます。人とのコミュニケーションが次の仕事に繋がったりもするので、そういった時に在学中に興味を持って学んでいた、対人心理学の知識が自然と活かされているように思います。
学ぶことだらけの身ではありますが、今、配属されている映像事業部で言えば、自分で書いた番組の企画書が実際に形になり放送されるのが、自分にとっての目標ですね。それに、ゆくゆくはマネージャー業にも携わってみたいという気持ちもあります。華やかに見られがちな職種ではありますが、そのぶん忙しかったりもしますし、辛い時もあります。でも、それを乗り越えて、現場での楽しい空間というのは格別なもので、その気持ちがあるから止められないと言うか、自分にとってのモチベーションになっています。
「人と密接に関わる仕事をしたい」という思いをもった萩原さんは大学卒業後、福祉・介護施設へ入居される方への営業という仕事に携わっています。施設入居の案内に加えて施設の見学案内やサービスの説明などを中心に、営業マンとしての日々を邁進する萩原さん。今の仕事を選ぶにいたった原点に、心理学で学んだことが大きく影響しているようです。
就職活動をはじめた時は、まだ自分でやりたい仕事が見つかっていなかったので、手当たり次第に会社の説明会に足を運んでいました。それに加えて一緒に就活をする仲間と情報交換しながら仕事について考えるうちに、人の役に立ち、その人の一生に関わるような仕事がしたいと思うようになりました。志望していたのは不動産に関わる仕事でしたが、現在働いている会社の社風が気に入ったので、不動産という職種にこだわらず、介護施設の営業という今の仕事に決めました。
大学2年生の時に受講したカウンセリングという実践授業です。私はこの頃から不登校児童支援のボランティアをしていたのですが、最初のうちは話をしても相手の気持ちが全然理解できませんでした。しかし、カウンセリングの授業で話の聞き方や接し方を覚えながら、同時進行でボランティアの現場で実践していくことで、徐々に児童と打ち解けられるようになりました。最終的に関わった児童が学校に通うようになってくれた時は、学んだことが身になっているのかなと、感じることができました。
子供の頃から「楽しいときに時間が早く過ぎるのはなぜか」とか、「この人に近づくにはどうしたらいいんだろう」って日頃から疑問に思ったりしていました。それに加えて、大学への進学を考えていた時に、TV番組などの影響から、心理学に興味を持つようになったんです。例えば、大学を卒業して社会に出たとき、政治経済などの学科も役に立つものだと思いますが、それと同じくらいに人と人のコミュニケーションというのも大切ですし、その方法を知っておくのは良いことだと思ったので、心理学部を選びました。
営業の仕事は初対面の方に話しかける機会が多いのですが、そういったときに腕組みをされているか、そわそわしていないか、あとは身体や足の向きはどうか……といったボディ・ランゲージを見ながら、こちらの話を受け入れてくれているかを判断し、もしそうでない場合は、こちらの話し方や話題を変えたりもします。いわゆる心理学の基礎知識ですが、こういったことを知っているか知らないかで、その後の対応が大きく変わってくると思います。
もともと人付き合いが苦手だった自分が、フランクに人を接するようになれて、人と関わる仕事がしたいと思うようになったこと自体が、大学で心理学を勉強した成果のひとつだと思っています。今、仕事にしている介護の営業は、自分の両親と同じくらいの年代の方が相談に来られますし、実際に入居される方は自分の祖父母くらいの世代。いわゆる人生の大先輩を相手にするには、まだまだ説得力がないと思っています。それにビジネスという視点よりも、人と人との関わり方だったり、信頼関係がないと成り立ちません。ですから、若さや経験の浅さを埋めるためにも、心理学は役に立っていますし、実際に社会人になってから、学生の頃の教科書を読み返したりもしています。心理学部で学んだことは、今の自分にとって、知っておいて損はないことばかりです。