立正大学図書館サイト

       立正大学トップ 交通アクセス お問合せ

対人社会心理学科:2022年度卒:富永日向子:大学生の少年非行とその立ち直りに対する態度

目次

自己紹介

はじめまして!好きなことはごろごろすること、立正大学大学院 修士1年の富永日向子と申します🛏💤
学部、修士ともに上瀬ゼミで、上瀬由美子教授にお世話になっています。
(上瀬ゼミを選んだ理由は、社会問題に関心があったことや、社会心理っぽさを感じたこと、上瀬先生が刑務所関連の研究をしていたこと…などだったと思います。)


私の研究テーマ

私は「少年非行」とその「立ち直り」に興味関心があり、非行少年に対する「社会の態度」について研究をしています。
ちょっとかたいテーマですが、私がこのテーマに興味をもったきっかけはテレビです📺
誰でもニュースを見る中で、少年による事件の報道を目にしたことがあると思います。
私はテレビっ子で、かつニュースも面白がってきちんと見る子どもだったので、(もちろんバラエティーがやっていない時間だけですけれども!)そういう報道を目にしたことが何度かあります。
少年事件のニュースを見ながら、「怖いなー」とか、「どうしてこんなことしたんだろう?」とか、「目には目を!歯には歯を!!!🔥🔥」とか色々なことを思っていました。そんな風に好き勝手に考えているうちに、次第に事件を起こした少年についてや、自分の「怖い」と思った感情について、考えるようになりました。
元々加害者に対して過激派だったのに、いつの間にかその反対の立場になっていました。不思議なものです。
ただテレビを見ながら考えていたことが研究テーマにまで発展したように、研究テーマというものは、意外と身近なところで見つかるものだと思います😌


私の大学時代

私が大学2年生のときにコロナが流行り、登校禁止、全面オンラインになりました。
一介の大学生が毎日学校に通わずきちんとできるはずもなく、日々ぎりぎりに課題を出す、(時には出せない)、自堕落大学生をしていました!(`・∀・´)
おかげさまで大学2年次の成績はひどいものでしたが、逆に言えば、4年間品行方正にしていなくても、大学院に進学する人もいるんだよーということですね🙈🙊
また、私は大学時代の前半はバイトにほぼ全てを費やし、後半はその分休息に充てました。ふつうの大学生と社畜対決をして、負けることはないんじゃないかな?というくらい働きました。色々な経験ができたので、今や良い思い出です。
そんな中でも、3年の夏に心理学検定を受験したり(A領域とB領域を同時受験して、10領域中9領域合格しました…あと1科目😭)、4年では院試の対策をしたり(臨床や統計・研究法も含めて、10領域を一通り勉強しました)、少しは真面目に学生をやっていましたよ😉


私の卒論概要

私の卒論の題目は、「大学生の少年非行とその立ち直りに対する態度」です。
大学生を対象に、少年非行に対するステレオタイプと、非行少年の立ち直りイメージを尋ねるアンケート調査を行いました✒

私は、抱かれている少年非行ステレオタイプの種類によって、非行少年の立ち直りイメージが異なるのではないかと考えました。
例えば、非行少年に対して人格領域のステレオタイプ(非行をする少年は暴力的だ等)を強くもっていたら、非行少年が立ち直る可能性を低く感じるでしょうし、刑罰をより重視するかもしれません。
反対に、非行少年に対して家庭領域のステレオタイプ(非行をする少年の家庭環境は悪い等)を強くもっていたら、非行少年が立ち直る可能性を高く感じ、地域や社会の協力を重視するかもしれない。という仮説です💭


私の卒論スケジュール


卒論春の迷テーマ祭り

私はテーマを決めるまで、ものすご~~~く悩みました。それはもう悩みました。
テーマを考え始めたときから自分の興味関心ははっきりしていたのですが、卒論として良い感じ、かつ実行可能な研究にまとめるのが難しく、そうこうしているうちに拡散的好奇心から様々なテーマに浮気をして、泥沼にズブズブとはまっていきました。
一番時間をかけたのも、一番心がしんどかったのも、この時期だったと思います。3年の冬から4年の春、なんなら夏まで、優に半年以上は悩みました。

そんなテーマ決めに迷走していた時期のノートを見つけたので、その旅路の一部分をお見せしようと思います。
併せて私が考えていた時の視点や、ダメポイントを大公開するので、後輩が同じ苦労をしませんようにと願っています🎋🙏🏻


私が持っていた視点

卒論のテーマを決めるにあたって、私は以下の5つの視点をもっていました。


➊ 知りたいことを調べる、興味をひかれるものを研究する、というのは一番大切なことです。自分がやりたいことだからこそ、一年間頑張れるはずです!簡単で無難なテーマを選ぼうとしないで🙅

➋ とはいえ、自分だけがやりたいことをするのは研究じゃありません。社会心理だからこそ、社会のどんな課題を解決したいか?この研究は社会にどう還元していけるか?という視点が大切です🙌

➌ 研究には限界が存在します。お金がかかることはできないし、特別な対象にはアプローチできないし、何年もかかるような壮大なテーマには取り組めません。このあたりは、現実とのバランスですね。

➍ 私は心理学の知見を活かせる仕事(欲を言えば非行少年の立ち直りに関わるお仕事)がしたかったので、将来に活かせる研究がしたいと思いました。就きたい仕事がある人は、関連したテーマにするのもいいと思います(絶対ではないです)。

➎ 修士での研究は、卒論の発展になります(絶対ではないです)。この研究は深めていけるか、3年間研究し続けられるか、卒論に加え修論の方向づけまでしていたので、とても決断が重かったです。


浮気歴

さて、ここではどうやってテーマを考えていたのか、そのプロセスについて少しご説明した後に、実際の浮気遍歴の一部をご紹介しようと思います。
私はテーマを考えるときに、まずざっくり〇〇について(例えば少年非行について)やりたいな、と大きなテーマを決めて、その中で具体的な研究目的(例えば非行をしない理由を明らかにしよう)と手段(例えば社会的絆理論から、母子関係の良好さを測ろう)をたくさん考える、というやり方をとりました。
具体的な研究目的の中で気に入ったものについて、より細かく仮説→作業仮説と考えていきました。作業仮説レベル(母親への親密性尺度の得点が高い人は、良好な母子関係が逸脱の抑制要因になるため、得点が低い人よりも逸脱行動をした経験が少ないだろう/逸脱をしないだろう)まで考えてからボツにすることもたくさんありました。
(今回の例をもう少し複雑にしたものをテーマとして考えたことがありましたが、逸脱行動を質問紙で聞いても、それは実際の行動ではなく、机上の予測でしかない、という問題点をクリアできませんでした)

↓ 【少年非行期】
↓  ・非行少年を自分とは違う存在だと認識するプロセス(メディアの影響)
↓  ・事件の事例呈示によって、どう非行少年へのイメージが変わるか(理解不能さや同情を操作)
↓ 【逸脱行動期(アナログ研究)】
↓  ・逸脱行動をしなかった理由(ストッパー)について
↓  ・「社会的に望ましい子」になるプロセス
↓ 【家族心理期】
↓  ・家族との適切なかかわり方とは(過度に適応的な状態について)
↓  ・子が抱く母子ステレオタイプが母子関係の認知に与える影響
↓ 【自己心理期】
↓  ・自己理解は何によってなされるか(自己分析)
↓  ・自分への期待は何によってなされるか
↓ 【失敗・挫折経験期】
↓  ・何かから逃げた(回避)経験について(失敗回避傾向が影響を与えるもの)
↓  ・失敗した経験と失敗する前に逃げた経験で、経験の受け止め方の違い(受容と意味付け)
↓ 【少年非行期】
↓  ・非行少年の立ち直りに何が必要だと考えられているか
↓  ・少年法改正について

上から順にテーマが移り変わっていく感じで書きましたが、複数のテーマを同時に考えている時間も長く、またテーマを行ったり来たりもしたので、実際はぐちゃぐちゃにこれらすべてを少なくとも半年程度は考えていました。
特に家族心理と自己心理は、それぞれノート10ページ分以上は書きながら考えました🤢


今思う泥沼化した理由

テーマがなかなか決まらず泥沼化した理由について、今考えてみるといくつか思い当たるものがあります。

その1「既存研究の調べすぎ」
私は大枠のテーマを決めた後、研究目的を考える段階で、大量の既存研究にあたりました。
その結果、初めましての単語や理論を知りすぎて、よく飲み込めないまま知識の大渋滞がおき、大混乱が発生し、焦ってまた知識を求める……というよくない循環に陥りました😵💫💫
後で知りましたが、「研究目的を自分なりに言葉にするまで、既存研究は調べないほうがいい」んだそうです。思考が浅い状態では自分の意見は持てませんし、この世の疑問の全て研究されているのではないか、という気持ちにもなってきますから。
まずは自分の言葉で考えてから、そのあとに心理学の単語や理論に置き換えていく、というのがおすすめです💡

その2「根本からリニューアルしすぎ」
大前提、研究テーマを複数用意するのは悪いことではないと思いますし、一つのテーマに行き詰ったときに他のテーマを考えてみるのも、思考が固まらないのでいいと思います。
ただ、私のように、犯罪心理から発達心理にいって社会心理自己心理……と、分野も違うしテーマ同士も全く関係のないものをたくさん考えていては、選択肢が多すぎて一つ一つを突き詰めて考えることが難しいです。
卒論が全て終わって今思うことは、結局最初に興味のあったところを突き詰めて今のテーマができているので、はじめからまっすぐ考え続けていれば最短ルートだったなということです。
場合にもよりますが、壁に当たったときにすぐにほかの選択肢に逃げるのではなく、一つの研究テーマで研究背景・目的・方法まで研究計画を考えることは、自分の研究力を養うためにも必要なことだと思います。簡単なアイデア出しだけぽんぽんするのではなく、時間をかけて計画を一本一本考えていくことが大事なんだろうな~と思います。


それでも大事だと思うこと

色々言いましたが、私は卒論の目的に約半年使った日々を、これで良かったなと思っています!
前項でも言いましたが、私が大事だと思うことは、「自分がやりたい研究をやること」、そして「自分のテーマに納得して研究を始めること」です。
一年間ほぼ卒論にかかりきりになる中で、自分の研究テーマに強い思い入れがなくては、研究と向き合い続けることがとても苦痛になってしまいます。
また、研究背景や仮説に対して明確な自分の考えがあればあるほど(それが正しくても間違っていても)、それは良い研究になると思います🌟
少しでも「違うかも?」「ほかにもあるかも?」と思ったときは、とことん考えてから研究をスタートした方が、その先の分析や考察がスムーズにいくと思いますので、研究テーマに対する違和感はスルーせず考え抜いてほしいです!
また、考えたことは全て、残さず全てメモとして保存しておいてくださいね📝
定期的に立ち戻りたくなりますし、今は使わなくてもいつか使う日がくるかもしれません。


資料編

スケジュールに書いた、学部3年冬の卒論構想発表、4年春の卒論中間報告のときスライドと、その作成時に考えをまとめていたPPTが見つかったので、以下に置いておきます🔽
(私はいつも何かを書きながら考えるのですが、その書くものが切れ端メモとノートとPPTと、記録を散らしてしまうタイプでして。他のメモを探すことは大変すぎて断念しました(なんなら失くしました)。みなさんはどうぞ整理して保存しておいてください😣)
とてもふわっとしているし、途中までの構想と資料が全く違う仕上がりになっていますね。
そうです。構想段階なんてこんなものです😎


卒論を考えようの会
卒論構想_富永
卒論に関するあれこれを考えよう
中間報告_富永

分析編

学部4年生の卒論の授業のTA(ティーチングアシスタント)をしていると、みんな言うのが「(分析で)何をしたらいいか分からない」!!
どうでしょう、これを読んでいる方の中にも、分析のイメージがついていない人がいるんじゃないでしょうか?
そこで!そんな方々のために!ぱぱっと、分析紹介コーナー👏🎉

(注)量的調査の話がメインです。私が勘違いをしている可能性や、説明を端折るために一部表現が適切でない可能性があります。あくまで参考程度にしてください⚠


基本編

最初にお伝えしたいことは、「分析のやり方まで考えて研究計画を立てる」こと。
言い換えると、目的を考えるときに、仮説だけでなく作業仮説まで考えること。
そして質問項目を作るときに、どの項目でどの分析を行うか、考えること。

無計画に出発してしまうと、データが揃った後に、「このデータでは目的を確認できない!?」となる危険性があるので、気を付けてください。
(実際ひとり同級生がこの状態になり、軽く目的を変更しました。)

分析は、データを集める前から始まっています!事前準備が8割!


因子分析/主成分分析

 単純集計をだしてみたり、度数分布表をだしてみたり、あらかたサンプルの特徴を理解したら、いよいよ本格的な分析のスタートです🚩
リッカート法で回答を求めるような、尺度を作成or拝借した人は、まず因子分析からはじめましょう。段階法で聞いたものは、基本これで圧縮すればいいのではないかと思っています(暴論)。
因子分析とは:個々の項目をまとめて、その背後にある心理的な要因を見つける分析 でしたね。

〈分析時のPOINT〉
・悩んだら回転はプロマックス(因子間相関が低かったらバリマックスに変更)
・因子数を指定する際は、様々なパターンを試す
・主因子法がダメなら最尤法
・負荷量が低い項目や複数因子に高い項目は、色々な組み合わせで抜いたり入れたりしてみる

因子分析に終わりはなく、解釈できる結果が得られて満足したらそこで終了です。
正直ここが一番時間を使うと思うので、とにかく根気強く色々なパターンを試してください!

背後にある複数の因子を抽出したいなら因子分析。反対に、一つにまとめたいなら主成分分析。
信頼性係数の確認や、尺度得点の計算もお忘れなく!


t検定/分散分析

群分けして、群ごとの平均値の差を比較するのがこのt検定/分散分析です。
男女で自尊感情の差をみるとか、自尊感情を低群中群高群に分けて、それぞれの群で攻撃性の差をみるとか、「〇〇な人と〇〇な人の差をみたい!」というときはだいたいこの分析。
二群ならt検定、三群以上なら分散分析でしたね。

仮説が「〇〇尺度得点が高い程〇〇尺度得点が高い」なら相関分析で、「〇〇尺度得点が高い人は低い人より〇〇尺度得点が高い」ならt検定/分散分析です(だいたい)。


(重)回帰分析

回帰分析は、ある変数が、他の変数に与える影響をみる分析です(ざっくり)
私の場合は、「少年非行ステレオタイプ尺度」が「立ち直り可能性尺度」に与える影響をみるために重回帰分析をしました(ざっくり)

変数が一つなら回帰分析、複数入れたら重回帰分析。水準が複数ある場合は、重回帰分析の繰り返しによるパス図を描くことになります。
研究計画の際に要因図を描いた人は、最終的にこの重回帰分析の繰り返しによるパス図を描いて、仮説を確認することになると思います。


資料編

2、3年で使った『心理学論文の書き方』を読んだらだいたい卒論の執筆に問題はないと思います。が、念のため、あの本の基になっている、日本心理学会の「執筆・投稿の手びき」を置いておきます🔽
特に図表や引用文献はルールが厳しいので、草案提出や本提出の前に再度確認しておいた方がいいです。
ルールは時代と共に変わるので、常に最新の情報をチェックしましょう✅


日本心理学会「執筆・投稿の手びき」

最後は、卒論のためではありますが、少し卒論から離れたことを言い残して終わろうと思います。
なんだかんだ言いましたが、卒業研究は楽しかったですし、その時期その時期の課題ポイントをこなしていきつつ、やることをやって時間がたてば終わります。
やれば終わります。そうです。「やれば終わる」のです。
卒論時期で一番大切なこと、それは「やること」!つまりセルフコントロールです!
やる気がない時にいかに進めるか、精神を病む前にいかに休むか。なんとか一年間を走りきること、それがとても大事です。

私のセルフコントロール術をお教えしましょう。
「やる気になったときにとことんやる!やる気がない時は休む!」です!!

気分が乗ったら10時間以上はのせます。朝早く起きてカフェかファミレスに入って、とにかく夜までずっと外出します。帰ったら負けです。自分に飲み物を大量に与えて、好きな音楽を流して、ちょっと病んできたら切り替えるために動画でも見ます。病みを忘れたころに戻ります。夜遅くに帰って、翌日も朝5時とか6時とかにアラームをセットして寝ます。
やる気のある日のモデルケースを作って、それをなぞり続けます。

逆に、朝起きて、布団から出られないくらいやる気のない日があります。そういう時は、布団から出ません。どうせやっても鬱々として進まないので。そもそも起きられないし。。。
一日ごろごろして、何にもやらないと逆に心が苦しいので一分くらい何かやって、運がいいときはそのままちょっと頑張れますし、ダメな時は諦めます。それで夕方ごろに反省して、明日は頑張ろうと思って、朝早くにアラームをセットして、夜は早く寝ます。
頑張れない日も、翌日は頑張れるようなモデルケースを作ります。そうすることで、頑張れない日をなるべく引きずらずに済みます。

最強に頑張れるときは、ブーストかけるために自己啓発チックな本とか記事とか読んだり話を聞いたりして、
最強に頑張れないときは、実家に帰って(近いので)、泣きつきます(嘘ですただ実家でごろごろするだけです。実家は私にとってポケセンみたいなものです)。

ちょっとした気分転換の方法や、やる気がある日/ない日の自分の転がし方を知っておくことで、一年間走りきることができます。
もちろん何も考えず普通にやれる人はそれでいいんですけど、人ってそんな完璧ではないですよね?そうですよね??私だけではないですよね??

人によっては就活があったり試験があったりして、卒論とのダブルパンチで大変だと思います。
余計なことばかり考えて手が止まることがあると思います。
そういうときに、どうやって気持ちを立て直すか。作業を進めるか。
あの頃の自分に送りたい言葉ナンバーワンは、「余計なことを考えるな!!どうせ大丈夫だから!!そんなことより手を動かせ!!!!」です。みなさんにも送ります。

そんなこんなで(?)、みなさんにも自分を知って、うまく自分に対処しながら、卒論を完成させてほしいなと思います。お身体には気をつけて、無理はしないでくださいね😊


卒論の内容を詳しく

私の研究は、大きく分けて3つのステップに分かれていました。

① 少年非行に対するステレオタイプを明らかにする
→既存研究から、ステレオタイプを5つの領域(人格・家庭・学校・地域・社会)に分けて、それぞれの領域で抱かれているステレオタイプを明らかにしました。ステレオタイプを測定する尺度は、主に原因帰属研究を参考にしながら項目を作成し、各領域でそれぞれ因子分析にかけて、下位尺度を作成しました。

② 非行少年の立ち直りイメージを明らかにする
→立ち直りイメージを測定する尺度はこれまでなかったため、当事者(非行少年)の立ち直り研究を参考にしながら、「立ち直り可能性」と「立ち直るための要因」に分けて項目を作成しました。立ち直り要因は、①の5領域に「刑罰」「矯正」の2領域を加え、7領域各3項目計21項目で作成しました。立ち直り可能性は主成分分析、立ち直り要因は因子分析にかけて、尺度を作成しました。
因子は3項目以上ないと成立しないので(復習ですね)、各3項目入れましたが、これだと相当うまくいかないと項目が落ちて思い通りの因子が抽出されないので、やはり1因子5項目くらいは考えておいた方がいいです。
私の時は質問紙全体で100項目以内という制限があったために、各3項目でもギリギリで、項目を十分に用意できませんでした😢

③ ①少年非行ステレオタイプが、②立ち直りイメージに与える影響を検討する
→尺度同士の関連をみるために相関分析を行ったり、立ち直り可能性の認知を高低で2群に分けてt検定を行ったりしましたが、メインの分析としては、重回帰分析を行いました。少年非行ステレオタイプ→立ち直り可能性→立ち直り要因、の3水準を想定して、重回帰分析の繰り返しによるパス分析を行いました。パス分析の結果、ほとんど有意な結果は得られませんでした😭
つまり、非行少年に対してどんなステレオタイプをもっていようと、それは非行少年が立ち直れるかどうかの認知や、立ち直るために必要な要因についての認知と関係があるとは言えない、ということが示されました。この結果をうけて、媒介変数の存在(少年の可塑性)に目を向けて、修士論文の第1研究を行いました。


修論について軽く

私の修論は、今のところ研究が3本立てとなる予定です。

▶第1研究
卒論のリベンジとして、一般少年イメージ(可塑性・未熟さ・未来性・理解不能さ)という要因を増やしたり、目的変数に厳罰志向性をおいたり、少年非行ステレオタイプや立ち直りイメージの質問項目の修正をしたりして、広い世代に調査を行いました。だいたい前期いっぱい使って準備して、7月終わりに調査、8月中旬に報告書を作成しました。一般少年と非行少年が、交わらない存在として考えられているのではないか、という考察が得られました。

▶第2研究
世間が実際に少年非行に対して抱いている態度を明らかにするために、とある少年事件のYahoo!ニュース記事のコメント分析を行いました。実際に抱かれている態度は厳罰ではなく排除であることなど、少年非行に対する社会の態度の厳しさを再発見しました。この結果をうけて、これまで扱ってきた変数の修正を行いました。

▶第3研究
これから調査を行いますが(現在M1冬)、第1、2研究や既存研究(公正世界信念や社会的支配志向性(SDO)など)を踏まえて、非行少年に対する排除的な態度が生じる心理的なメカニズムを明らかにしようと思っています。共分散構造分析で心理モデルを作成することが最終目的です。非行少年に対する排除がない、ひいては非行少年の立ち直りが社会によって阻害されない社会をつくることが最終目標(解決したい課題)です。乞うご期待!


戻る(学部生必見!私の卒論回想録)
ページのトップへ戻る