理事長あいさつ
「汝すべからく一身の安堵を思わば、先ず四表の静謐を祈るべきものか」。鎌倉時代に活躍された日蓮聖人の『立正安国論』の一節です。我が身の安穏を願うならば、まず世の中が穏やかになることを祈るべきである、という趣旨です。 今日、我が国の社会は少子高齢化、人口減少の時代に入り、教育界を取り巻く環境は18歳人口の減少をはじめこれまでにないほど厳しくなることが予測されます。一方で、地域格差、経済格差が拡大し、先行きの不透明感が漂う中、21世紀の日本社会を担い、切り拓くべき教育機関の社会的使命が問われています。これに応えるためには、安定した学園運営をめざして法人と設置学校とが一体化した中長期計画を策定し、それにもとづく経営戦略と財務基盤を確立することなくしては果たし得ません。 そこで、本学園では2022年に迎える開校150周年という記念すべき時を好機と捉え、2016年2月に「ビジョン150策定委員会」を設置して、今日的課題を踏まえてビジョンや基本政策を明確にし、立正大学学園 第1次中期計画を策定しました。 この中期計画は、「真実を求め人類社会の和平の実現を念願する立正精神に基づく教育を行い、有能な人材を育成する」という寄附行為に謳われた本学園の目的を遂行し、国内外の社会の発展に寄与すべき教育、研究活動とその体制を整備して未来像を描くことです。中でも社会貢献を重視したことは、『立正安国論』に示された「立正精神」を発現し、正しきを立てて国や社会の平安と人々の安寧実現をめざすことにあり、これこそが伝統を踏まえ、時代に適応した本学園の社会的使命であります。 この中期計画実現のため、教職員はそれぞれのアクションプランの実行に向けて問題意識を共有し、教育改革の推進に異体同心で取り組む所存です。校友会会員をはじめ、すべてのステークホルダーの皆様には、本計画にご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げ、ご挨拶と致します。
立正大学学長メッセージ
19世紀に活躍したあるアメリカの文豪は、かつてこのように声高に迫りました。「なぜ人間はこれほどまでに事の成功に固執するのか、そして一層の利便性を求めて諸事に奔走するのであろうか」と。彼が危惧したように、歴史と伝統に支えられ豊かな人間性を内包する固有の文化は、果たしてイデオロギー的にも劣位に置かれてしまったのでしょうか。人類はそれに代わって単に物質的な利便と効率を旨とする新しい技術文明の特性を優位に保って重んじているのでしょうか。なるほど、近年は技術・情報に過度とも思えるほど依存した現代社会の性急な変化の壁が立ちはだかり、市民社会や個人が一刻の躊躇もなく明るい未来を創造することは容易ではありません。 開校150周年に向けて、立正大学はその生成・蓄積された多くの独創的な研究成果や豊富な知見を有意義に統合化し、「知」の共有と「学」の融合を図ることで基礎教育から最先端の学術分野横断型の研究体制を再構築します。むろん、社会の発展や文化創造に積極的に貢献することを旨とした大学改革も鋭意推進していきます。それに加えて、立正大学の辿ってきた長い歴史と揺るぎない伝統に立脚した豊かな人間性を育む教育の振興は当然のことながら、中期的な視点立った学修環境充実のための学術情報基盤の整備と世界を睨んだ知財戦略の策定、やりがいのある働きやすい職場環境の充実に向けた取り組みも併せて行います。 立正大学は「変わる、立正」の標語を高々に掲げ、様々なステークホルダーの皆様の期待に応えるべく、これまで以上に人類の明るい未来と文化創造に積極的に貢献していきます。今後とも一層のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。
中学・高等学校長メッセージ
近い将来、10年から20年後には、AI(人工知能)やロボットなどの技術開発で、世界の職業の約50%が新しい職業に取って代わると推定されており、現代の子どもたちの約65%が、大学卒業時には今は存在しない職業に就くと言われています。そのような将来に向けて求められるイノベーティブな人材は、生徒たちが持っている創造力などの優れた資質を、可能な限り伸ばそうとする教育から生まれます。 本校の教育の基本は、本学の建学の精神である「行学二道」を柱とした、宗教的情操教育を基に、人間力を高め、社会に貢献できる生徒を育成することです。高大連携を強化し、グローバル人材の育成・ICT教育の促進にも力を注いでおります。電子黒板の導入で、授業の幅が大きく拡がり、そこから、協働学習やアクティブ・ラーニング、プレゼンテーションなどの時間が生まれます。ホームステイ・国内英語研修等の充実により、英語学習の意欲も高まり、英検・TOEICなどの各種試験の結果も年々向上しております。本校が心掛けるのは「原石を磨くこと」です。生徒に対して、徹底的に面倒を見て、生徒と一緒に歩んでいく。それが立正の教育です。本校は世界で活躍できる人材を輩出するために、更なる前進を続けます。