2011年3月11日の東日本大震災発生以降、立正大学では長期休暇を利用し、ボランティアツアーを行ってきました。地震発生直後の瓦礫処理に始まり、ニーズの変化によりボランティアの内容も年々変化してきました。現在では復興支援はもちろんですが、被災地から学んだことを活かし、災害時に動ける人材育成の意味合いも大きくなっています。
学生はボランティアを通し、被災地の課題に向き合い、復興とは何なのか、減災、防災の大切さ、生き方など多くのことを学びました。
2011 |
3月11日 東北地方太平洋沖地震発生 4月 ボランティアツアー 6月 講演会『震災を考えよう~私たちにできること』 11月 シンポジウム『震災を考えよう~支え合う命、復興支援から学ぶ』 12月 講座『震災を考えよう~3.11から学んで活かす~』 |
2012 |
8月 特定非営利活動法人いわてGINGA-NETプロジェクトに2期参加 仮設住宅のサロン、子どもの居場所支援、学習支援、イベント支援等 募金活動 74,073円(寄付先 森の長城プロジェクト) |
2013 |
6月 瓦礫を活かす森の長城プロジェクト植樹祭参加 8月 特定非営利活動法人いわてGINGA-NETプロジェクトに2期参加 募金活動 94,884円(寄付先 森の長城プロジェクト) |
2014 |
9月 ボランティアツアーin南三陸 募金活動 115,694円(寄付先 森の長城プロジェクト) |
2015 |
5月 東日本大震災復興応援講演会『いわきオーガニックコットンプロジェクト』 9月 ボランティアツアーin福島 年間 熊谷キャンパスでオーガニックコットン栽培 |
2016 |
8月 ボランティアツアーin福島 11月 星霜祭で東北の物産品販売 桜の苗木1本寄付(ふくしま浜街道・桜プロジェクトオーナー基金) |
2017 |
3月 春のボランティアツアーin福島 9月 夏のボランティアツアーin福島 桜の苗木1本寄付(ふくしま浜街道・桜プロジェクトオーナー基金) |
2018 |
3月 春のボランティアツアーin福島 桜の苗木1本寄附(ふくしま浜街道・桜プロジェクトオーナー基金) 9月 夏のボランティアツアーin福島 |
2019 |
3月 春のボランティアツアーin南三陸&石巻 9月 夏のボランティアツアーin福島 |
2020 |
3月 春のボランティアツアーin南三陸&石巻 新型コロナウィルスの流行に伴い中止 |
日程 | 活動先 | 参加者数 |
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2011年4月 | 宮城県気仙沼市 | 21名 (品川13名、熊谷8名) |
2011年8月 | 岩手県陸前高田市・宮城県南三陸町 | 99名(品川47、熊谷52名) |
2012年8月 | 岩手県釜石市他 | 32名(品川17名、熊谷22名) |
2013年6月 | 宮城県岩沼市 | 8名(熊谷8名) |
2013年8月 | 岩手県釜石市他 | 48名(品川7名、熊谷41名) |
2014年9月 | 宮城県南三陸町・石巻市 | 31名(品川11名、熊谷20名) |
2015年9月 | 福島県いわき市・広野町・南相馬市 | 32名(品川19名、熊谷13名) |
2016年8月 | 福島県いわき市・広野町・南相馬市 | 28名(品川10名、熊谷18名) |
2017年3月 | 福島県いわき市・広野町・南相馬市 | 27名(品川17名、熊谷20名) |
2017年9月 | 福島県広野町・南相馬市 | 26名(品川4名、熊谷22名) |
2018年3月 | 福島県広野町・南相馬市 | 24名(品川10名、熊谷15名) |
2018年9月 | 福島県広野町・南相馬市 | 31名(品川10名、熊谷21名) |
2019年3月 | 宮城県南三陸町・石巻市 | 29名(品川13名、熊谷16名) |
2019年9月 | 福島県いわき市・広野町・南相馬市 | 37名(品川17名、熊谷20名) |
東日本大震災から1ヶ月半経った2011年4月、宮城県気仙沼市内の小学校で泥出しを行いました。この小学校は気仙沼湾から500m程内陸の川沿いにあり、被害が甚大な地域でした。校舎内には泥と漂流物が堆積し、まさに泥かきが必要とされていました。学生たちは泥かきにのめり込んでいく中でさまざまなことを考えたに違いありません。泥の中から家族の写真や教科書やぬいぐるみが出てきました。津波はたくさんの命を奪い、この街の全てを奪ったのです。この日、小学校の1階部分の殆どの泥をかき出すことができ、校長先生の笑顔もありました。
ニュースで見る被災地の状態を実際に目にして、震災が発生して1ヶ月が経ったものの、変化のない被災地の状況に直面し、津波や地震など自然災害の怖さを知りました。瓦礫撤去中に出てくる写真、鍵、服など、ここで生活していたことがわかるものを発見して切ない気持ちになりました。
また被災された方とお話しすることもできました。その方のお宅は海が目の前に広がる場所にあり、ここで生活をしていたとは全く思えない状況が広がっていました。近くにあった学校にも見学に行きました。時計は地震が起こった時間で止まり、黒板には自分が生きていることを知らせるものがいくつもあり、とても衝撃を受けました。
ボランティアから帰ってきて、自分にできることを考え、震災のことを忘れないためにも街頭に立ち、呼びかけをする募金活動は大切であると思い、今後募金活動に参加していきたいと思います。
震災2年目からは特定非営利活動法人いわてGINGA-NETのプロジェクトに参加しました。2年間で延べ80名の学生が参加し、岩手県釜石市を中心に仮設住宅でのお茶っこサロン、子どもの居場所支援、学習支援等を行いました。このプロジェクトは全国の大学から学生が集まり、1週間寝起きを共にして活動するため、学生同士の意見の交わし合いや繋がりができ、多くのことを学びました。
今回の夏銀河ではとても多くのことを学ばせてもらいました。ブラウン管越しに見る被災地の様子と実際に訪れて見る被災地の様子はまるで異なりました。震災で多くのかけがえのないものが失われましたが、ゼロから生まれた新しい繋がりや絆もあるのだと様々な経験を通して知ることが出来ました。岩手県で出会った人たちとの思い出、「本当にきてくれてありがとう」という言葉が不安や迷いを吹き飛ばしてくれ、元気をもらえたことは忘れられません。ここで学んだことを周りに伝えていくことが僕達にできる復興のサポートだと信じているので、これからもどんどん積極的に活動していきたいと思います。
2015年からは福島県の沿岸部に活動を移し、いわき市のおてんとSUN企業組合の取り組んでいる『ふくしまオーガニックコットンプロジェクト』の畑で除草作業を行いました。このプロジェクトは震災後、風評被害で増えてしまった耕作放棄地でオーガニックコットンを育て、製品化し販売し地域に活気と仕事を生み出す取り組みです。このプロジェクトが隣町の広野町にも広がり、2016年からは広野町で活動する非営利活動法人広野わいわいプロジェクトのコットン畑でもお手伝いをしています。
オーガニックコットン栽培のお手伝いを通して、福島の農家が抱える問題が見えてきました。今回の震災は住民の職にも大きく影響があるのだと思いました。しかし、オーガニックコットンを栽培することで前に進もうとする姿勢が素晴らしいと思いました。
特定非営利活動法人ハッピーロードネットの『ふくしま浜街道・さくらプロジェクト』の桜並木の除草作業をお手伝いしました。また、ボランティアツアー参加者からの寄付により桜の苗木3本のオーナーにもなり、植樹もさせて頂きました。30年後の桜並木が楽しみです。
桜プロジェクトに至った当時の経緯を知りとても感動しました。2020年の東京オリンピックで聖火ランナーをこの地でも走らせたいという夢を実現するために一生懸命活動する方々に感動すると共に自分もこの夢の実現に携わりたいと強く思いました。桜が満開の時にはメンバー全員で見に来たいです。
2015年に福島県広野町に訪れたときにはまだ放射線量が高くて入れなかった二ツ沼総合公園も閉鎖が解除され、広野町主催のイベントが開催されるようになりました。2019年にはボランティアツアーの企画メンバーが中心となり防災スタンプラリーのブースを出展しました。バケツリレーや紙食器作り、毛布で担架リレーなど楽しく防災を学べるよう工夫をこらしました。当日は親子連れなど沢山の方々にご参加頂きました。
広野町はあまり人がいないイメージでしたが、今回のイベントには沢山の人達が参加していて少し安心しました。ゲームを取り入れながら楽しく防災を伝えるコーナーを担当しましたが、このスタンプラリーを通して、広野町の人達と繋がれた気がしました。被災した地域を少しでも元気づけられたらと思っていたので、そのようなことができてとても嬉しく、やりがいがありました。
2015年から原発事故の影響を大きく受けた富岡町の視察を毎年行っています。ガイドをしてくださるのは当時富岡町に住んでおり、ホテル観陽亭の支配人であった遠藤義之氏。震災後4年半経っても3.11のままだった富岡町の復興していく様子を見る事ができた一方、人が戻らない、戻れない現実を目の当たりにした学生は、原発事故の大きさと本当の復興とは何かを考えたのではないでしょうか。
4度目となる富岡町の視察は過去の視察から大きな変化が感じられました。初めて富岡町を訪れた時はまだ解体作業が行われていましたが、今では駅も整備され、家も沢山建っていて驚きました。また双葉郡では戻らないと決めている住民の割合がどの町村でも半数を占めている一方、政府は復旧をどんどん進めているという話を聞いて、政府は住民の思いに寄り添えているのか疑問に感じました。
ボランティアツアーに参加した学生が関東でも何か出来ないかと行ったのが星霜祭での特産品の販売会。「希望の環」の協力を得て、くじらの大和煮や牡蠣辛味噌、煎餅等を販売した他、ボランティアツアーでお世話になっているいわき市にある「観陽亭」のお弁当も販売しました。どれもすぐに完売してしまう程、大盛況でした。
福島に行った際、被災された方々の「忘れないで欲しい」という思いに触れ、私たちにできることはないかと考え、福島を知り、忘れないことだと思い、「ふくしまCafe」を開催しました。郷土料理を盛り込んだお弁当、福島名産のお菓子を販売しました。来場してくれた方々に福島を知ってもらえる機会となり、私自身も福島を知り、身近に感じることができました。
東日本大震災以降、2011年は年間35日間、その後は毎月、月命日の11日に熊谷駅で4年間募金活動を行いました。寄付頂いた義援金は日本赤十字社の他、学生スタッフが話し合いで決めた森の長城プロジェクト(現 鎮守の森プロジェクト)に寄付しました。
熊谷駅で募金活動をしていると、こちらを見ずに立ち去っていく人が多くいる中、わざわざ銀行に行ってお金をおろして募金してくれた方、ちいさい子どもや学生も募金をしてくれ、東北のために皆が力を合わせているような感じがしてとても感動しました。募金活動の大変さもわかりましたし、募金してくれた時の嬉しさも味わえたので、これから生涯自分も募金活動をしている人がいたら積極的に募金しようと思いました。