幕末維新史(地租改正、地方制度、立憲政体)に関する研究

立正大学大学院文学研究科史学専攻
立正大学文学部史学科
奥田晴樹教授

専門は幕末維新史(地租改正、地方制度、立憲政体)。東京教育大学文学部史学科卒。中央大学大学院文学研究科にて博士(史学)を取得。神奈川県立湘南高等学校教諭、金沢大学教育学部教授、金沢大学附属高等学校長などを経て現職に。著書に『明治国家と近代的土地所有』(同成社)、『立憲政体成立史の研究』(岩田書院)など多数。

研究内容

社会経済史の側面から幕末維新史にアプローチしており、特に地租改正、地方制度、立憲政体に関する研究に取り組んでいます。ただし、史実は1つであり、「○○史」というものは、ある側面から史実を検討しているものに過ぎません。社会経済史、文化史、政治史等は密接に関連しています。したがって、研究を進める上でリンケージしない部分があれば、他分野の研究が必要になる場合も多々あります。
例えば、地租改正の具体的なプロセスを研究する上では、その背景となる地方制度史の研究が欠かせません。

研究の魅力

ミッシングリングを見つけたときの喜びは何物にも代えられません。「ここがわかれば、ここがつながるのにな。でも、史料がないな。」というときにぴったり一致する史料が出てきたとき。自分が想像もしていなかったことが史料から読み取れ、「え!?そういうことだったんだ。そうするとこれとこれはつながるな!」という因果関係を見つけられたとき。この瞬間は歴史を研究する者にしか味わえない醍醐味です。

研究の未来

幕末維新史の研究における現在の課題は「地方制度史」「財政史」「民衆運動」の3つが上げられると思います。

私自身の研究の取り組みとしては、地租改正に関する研究成果はある程度まとめることができ、平成24年にも『地租改正と割付慣行』を刊行することができたので、今後は、地方制度史に関する研究成果をまとめていきたいと考えています。地方制度史については、若手研究者も増えてきており、教え子たちも頑張ってくれているので、今後の幕末維新史の研究を進める上で、私の研究成果が一助になればと思っています。

幕末維新史では、政治史・政局史に研究者が集中してしまい、財政史に関する研究はあまり進んでいません。財政史は史料が少ない上、取り組む研究者も少ないことから、それらの史料もあまり活用されていません。財政と政治は密接な関係があることから、財政史に取り組む若手研究者が増えてくれることを期待しています。

民衆運動については、1970年代前半までは研究者の関心が高かったのですが、現在では取り組む研究者も少なく、過去の研究成果が十分に検証されないまま、現在に至っているものを数多くあります。過去の研究成果について、検証し直す時期であると思っています。

興味を持たれた方へ

歴史を研究することは単なる懐古主義ではありません。日本や諸外国の歴史を研究し、人類の経験に学ぶことは、人類の叡智のとても重要なファクターの1つです。国際社会で日本が生きていくためには、歴史に関する知見は今後益々求められるでしょう。
大学院では学術論文を仕上げる能力を養成します。研究を通して、自らの手で新たなものを発見し、人類の叡智に新たな足跡を残すことができます。
日本近現代史には、まだ明らかになっていないことが数多くあります。眠っている史料に光を照て、古人の声に耳を傾ける作業に多くの方が参加してくれることを望みます。みなさんの水先案内人になれたら嬉しく思います。

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