立正人（第１０回：吉松　幸芳さん）

大手文具メーカーの代表取締役社長に就任の立正人
アイデア文具やキャラクター商品で市場拡大

みなさんは、サンスター文具の商品を使ったことがありますか？
　サンスター文具株式会社は、およそ70年の歴史を誇り、1965年に発売した『象がふんでもこわれない』というキャッチコピーで有名なアーム筆入をはじめ、これまで様々なアイデア文具を発売してきた会社です。
　今回紹介する立正人は、そんなサンスター文具株式会社の代表取締役社長を務める吉松幸芳さんです。

　吉松さんは、1990年に本学法学部を卒業後、キャラクター商品で有名な株式会社バンダイに入社。その後、複数の事業部でゼネラルマネージャーを務め、2019年に子会社であるサンスター文具株式会社の取締役に就任。2022年4月から同社の代表取締役社長となりました。

　現在の会社で力を入れている点について伺うと、

　吉松さん「他の文具メーカーと同じことをしても仕方がないので、市場の隙間を狙ったり、目線を変えてみたり、いわゆるアイデア文具に力を入れています。アイデア文具と言えばサンスター文具といった代名詞で勝負したいと思っています。また、主力のキャラクター文具についても、商品にコレクションアイテムとしての付加価値もつけることで、子どもだけではなく大人もターゲットにしてマーケットを拡大したいと思っています。」
　現代において、文房具としての機能のみを求めるのであれば、100均などで販売されている商品で十分に消費者のニーズに対応できるため、サンスター文具ならではの価値創造を大切にしている吉松さんの姿勢が伺えます。

　そんな吉松さんですが、本学在学中の時代背景を考えると就職活動を行っていた時はまさにバブル時代。学友の多くが金融業界への就職を希望する中、吉松さんは金融業界への就職は全く考えていなかったそうです。

　吉松さん「大学3年になってから就職について考えるようになりましたが、金融業界は会社でどのように利益を出していくのか、イメージが湧きませんでした。それに、仕事は楽しい事でないと続かないと思っていたので、その点でメーカーは良い商品を売って、それをお客さんが良いと思って買ってくれれば会社の利益になるという、非常に分かりやすい仕組みだと思いました。その中でも私は、玩具以外でもキャラクター商品を展開していたバンダイに興味を持ち、ここに就職したいと思うようになりました。無事に内定を頂けましたが、当時のバンダイは一部上場直後で、会社規模を大きくしようとしていた時期だったので、入社するには良いタイミングだったと思います。」



入社時の吉松さん（写真左）

　入社後の吉松さんは、お菓子関連の商品を扱うキャンディ事業部や、アパレル事業部を経験。幅広い商品を扱うバンダイでは、事業部が変わることにより、取引先や商習慣も大きく異なるようで、異動というよりは転職に近い感覚との事。しかし、そんな中でも吉松さんは前向きに捉え、どの事業部でも共通の原則を知ったといいます。

　吉松さん「全く異なる２つの業界でしたが、知らない事を知れる事は楽しかったし、様々なチャレンジもできました。そこで分かったことは、『どのような環境でも、一緒に働く人に対する敬意を忘れてはいけない』ということです。毎年、学年が上がる学生時代とは異なり、社会人になると自分の価値が上がらないと立場も上がりません。そしてその価値は、自己申告ではなく周囲の人が評価するものなので、逆に『自分が周囲の人の価値を上げていきたい』と思うようになりましたし、仕事仲間がお互いにそういう意識で仕事をすれば、良いものが出来ると思います。」
　こういったチーム全体を考える吉松さんの姿勢が、バンダイだけでなく、サンスター文具でも生かされ、今に至っているのだと感じます。

　最後にこれからの社会を担う若い世代の読者へ向けて、

吉松さん「若いころは物事の方向を決めつけがちで、それが実現できず落胆することもあると思いますが、１つ１つの結果に対して、腐らずに目の前のことを一生懸命頑張る事が大切です。先を見すぎると、近道を考えてしまったり、やるべきことが分からなくなってしまうので、目の前の１歩をどう進むかを考えることが、結果的に前進することに繋がります。若い人たちにもぜひ意識してもらいたいです。」
とメッセージを送り、インタビューを締めくくりました。
みなさんが今後、サンスター文具の商品を見かけたら、ぜひこの記事を思い出してください。吉松さんの活躍にも期待です。


サンスター文具株式会社　代表取締役社長
吉松　幸芳　さん　1990年　法学部法学科卒業