キャリアレポート（第０３回：コロナ禍での昨年度の就活を振り返る）

コロナ禍での昨年度の就活を振り返る

　コロナ禍に見舞われた2020年度。新卒採用市場では昨年４月の緊急事態宣言の発出以降、対面による大規模な合同説明会や企業・団体の個別説明会が軒並み中止や延期となりました。代わりにオンライン方式による説明会や選考が急速に進みましたが、経済活動の停滞から業種によっては不透明な業績の見通しにより採用計画自体が見直されるなど、大きな影響が出たことは報道等でご存知のことでしょう。

　本学においては他大学と同様に、入構制限、授業日程の後ろ倒し、授業のオンライン化等の措置が取られました。それに伴いキャリアサポートセンターでは、学生支援に空白期間を作らない様、ガイダンスやキャリアアワー（セミナー・ワークショップ）、学内合同説明会等の各種イベント、資格取得支援講座をこれまでの対面形式からWeb会議ツールによるライブ配信やオンデマンド配信などのオンライン形式へ切り替えて対応してきました。

　加えて、学生一人ひとりと個別に行うキャリア相談では電話やオンラインの選択肢も増やしましたが、オンラインでは掴みづらい細かな所作や感情を拾えるよう、感染対策を十分施した上で対面方式も早期に再開し、学生に寄り添う支援を続けてきました。

　また、新卒採用市場の動向を見てみると、2019年度に1・88倍から1・83倍と下落に転じた大卒の有効求人倍率が2020年度においては1・53倍と減少幅が広がったものの、リーマン・ショック時ほどの落ち込みとはなりませんでした。（2008年度2・14倍、2009年度1・62倍）内定率は４月１日時点では前年度を上回って推移していましたが、緊急事態宣言以降は前年を下回り、選考解禁となる６月１日時点では対前年度13・4ポイントマイナスの56・9％でした。しかし３月卒業の時点では96・1％(対前年度0・7ポイントプラス) と例年並みとなりました。これは例年では採用活動を終了している秋以降も継続した企業が多く、学生も就職活動を継続し、内定を獲得したものと考えられます。(※数値は、就職みらい研究所「就職白書2021」より)

表１　本学の2020年度卒業生就職率（学部別）


　このような学内や社会の情勢の中、本学の2020年度卒業生の就職状況においては、全体の就職率では表１のように前年度を若干下回りましたが全学部とも90％超を達成することができました。

　これはコロナ禍にあっても学生の粘り強い就職活動の成果によるものと言えるでしょう。実際、影響の大きかった航空業界を志望していた学生のケースでは、大手をはじめとして各社採用を中止する中、採用を継続していた地方空港のオペレーション業務を行う企業数社を自ら見出し、キャリアサポートセンターを活用しながら選考を受け続けた結果、複数の内定を獲得することができました。このように、たとえ採用を絞った業種においても諦めず、大手だけでなく中小企業や地方にも目を向け幅広く就職活動を続けたことが内定獲得のポイントとなったと思われます。

図１　本学卒業生の2019年度業種別就職状況


図２　本学卒業生の2020年度業種別就職状況


　次に業種別の就職状況ですが、2020年度卒業生を図１に、2019年度卒業生を図２に示しています。比較すると、全体の傾向は概ね同様ですがこれまで数年間最上位となっていたＩＴ(情報通信)に代わり、小売業が最も多くなりました。これは小売業の中でも食品スーパー、ホームセンター、家電量販店、ドラッグストアなど家庭に身近なものを扱う業種がコロナ禍でも影響をあまり受けず採用予定数を維持または増やしたため本学学生も多く内定を得たものと考えられます。また、公務員も0・8ポイント増えており、学生の努力と共にコロナ禍にお

ける安定志向の傾向が見られます。

図３　本学の内定取得先企業種




　2020年度は全体として就職率は若干低下しましたが、業種によっては割合的に増えているものもあります。また現在就活をしている全国の2022年卒生（現４年生）においても、図３のように小売業、卸売業などは相対的に昨年度以上に内定を得ている状況です。

　このようにコロナ禍にあっても、業界や企業研究を進めて対策し、粘り強く活動することにより内定獲得につながっていくことでしょう。

　キャリアサポートセンターでは、今後も民間・公務・教員など進路に関する情報収集に努めるとともに、学生との接点をできる限り増やして情報提供し、支援を続けて参ります。