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先生に聞いてみた(第04回:経済学部 王在喆教授)

2020/10/29

  • # 立正大学
  • # 経済学部

日本と中国の関わりをデータで明らかに

近年、先生はどのような研究をしていますか?
 日本と中国の経済上の関わりや、日中間の国際貿易について研究をしています。原材料やエネルギーなどを使って「商品」が作られ、それらが中間財の製造や最終財として消費されるまでの一連の経済活動について、いくら取引されたか金額ベースで捉える「産業連関表」という経済統計資料を使い、現実の経済活動の善し悪しを評価する実証研究、いわゆるデータサイエンス的な分析をしています。
 産業連関表の面白い点は、商品ごとの生産技術の現状を分析することができ、また国の産業構造も明らかになります。また日本と中国の産業連関表を繋げた、日中国際産業連関表を用いることで、日中間の「商品」の流れが正確に把握でき、両国の違いを比較することもできます。

どのような経緯で始めた研究ですか?

 2009年に日本の国際協力機構(JICA)北京事務所が事務局として経済産業省と中国国家統計局とのプロジェクトで「2007日本・中国国際産業連関表」が作成され、2012年に完成した表は両国で公表されました。私はこの表作成のため、日本側技術委員会に、メンバーとして入りました。
 その後、日中国際産業連関表の
2012年表作成の流れがありましたが、日中間政治関係が一時悪化したことにより、これまでの政府機関の交流が制約され、両国の学者や実務者レベルの交流にかわりました。2007年表の作成時よりも困難が伴いましたが、「2012年日中国際産業連関表」は2019年に完成しました。


今後はどのような研究を予定していますか?

 日中国際産業連関表の大切さは今も感じています。例えば昨今のコロナ禍では、多くの中国の工場が操業不能に陥りました。日中表を使えば、中国から日本への部品や消費財としての「商品」の流入量が分かりますので、日本経済に与える影響をハッキリと数字で示すことができ、日本政府が自国のどの産業部門にどのような支援をすればよいか分かります。つまり、その分析結果は日本政府の政策立案に資するものになります。
 この日中表作成はとても重要な仕事ですが、表作成だけでは新しい理論的な突破がなく、私が理解している「研究」ということと少し違うと思います。大学教員として、大学で学ぶ学生にどの本にも書かれていない、いわゆる一研究者として生み出した斬新な知見を伝授することは大変重要です。その知見は、数年後否定されるかもしれないとしても、大学生には伝えます。それは大学での学修が、高校までの学習と違うところでしょう。そのためにも、とりわけ理論的な突破を目指す基礎研究にあたるような「研究」を行わなければなりません。


王 在喆 教授
経済学部 経済学科

立正大学大学院経済学研究科修士課程修了後、慶應義塾大学大学院経済学研究科後期博士課程を修了し、1997年より慶應義塾大学総合政策学部にて教鞭をとる。2002年に本学経済学部助教授に着任、2007年に教授昇任、2018年より経済学部長を務め、現在に至る。『中国とは?』を生涯の研究テーマとし、経済学だけではなく、史学、政治学の観点からも取り組んでいる。

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