19世紀イギリス小説研究

立正大学大学院文学研究科英米文学専攻
立正大学文学部文学科英語・英米文学コース
白井義昭教授

専門はブロンテ姉妹を中心とする19世紀イギリス小説研究。福島大学教育学部卒、東北大学大学院文学研究科修士課程、同博士課程修了。信州大学教養部専任講師、同助教授、横浜市立大学国際文化学部、同大学院国際文化研究科教授を経て、現職。著書に『シャーロット・ブロンテの世界——父権制からの脱却』(彩流社)、『読んで愉しむイギリス文学史入門』(春風社)、訳書に『ブロンテ』(彩流社)、『ブロンテ——家族と作品』(彩流社)など多数。

研究内容

イギリス文学でシェイクスピアに次ぐ名声を誇っているブロンテ姉妹を中心にして、女性の自立を中心にした研究を進めてきました。ブロンテ姉妹の生きた時代は産業革命の影響を強く受けており、女性の生き方もそれまでとは大幅に変化していました。そのようなことを念頭にブロンテ姉妹を中心にして、彼女たちの前後の作家たちを含めながら、研究しています。

研究の魅力

パトリック・ブランウェル・ブロンテ「ブロンテ姉妹」(英国国立肖像画美術館所蔵)

イギリス文学は英語で書かれていますので、英語を母国語としない私たち非ネーティブスピーカーはハンディキャップを負っています。英米の研究者に伍して活躍することはなかなか容易ではありません。しかし、逆説的に聞こえるかもしれませんが、そこにこそネーティブスピーカーではない、私たちの出番があるとも言えるのです。というのも、彼らが読み飛ばしてしまうところに、彼らには見つけられない、あるいは気づかない解釈上のヒントが潜んでいる場合が多いのです。
新たな視点で文献を丁寧に読みこみ、OEDを筆頭する辞書を水先案内人として、そのようにして隠れているヒントを見つけ出し、新鮮な角度から作品を読み直すこと、これはネーティブでないからこそ、私たちだけができることなのです。こうしたことが、非ネーティブスピーカーである私たちの研究の魅力の1つと言えるでしょう。

研究の未来

これからは研究対象を18世紀にも拡大し、ヘスター・チャポーネ(1727-1801)、メアリー・ヘイズ(1759-1843)、エリザベス・ハミルトン(1756-1816)、それにアイルランド系作家メアリー・タイ(1772-1810)などがいかにして女性作家としての地位を獲得しようと努力したか、そしてそのことが彼女たちに続く、その後の女性作家の歩みに貢献したのかを明らかにしていきたいと思っています。と同時に彼女たちの運動に賛同あるいは反発した男性作家をも研究対象とし、男女を問わず女性の権利獲得にいたった過程を明らかにする予定です。

興味を持たれた方へ

文学はまずもって愉しむものです。イギリス文学にはそれこそ「愉しみの素」が無尽蔵にあり、尽きることがありません。愉しめば、なぜそのような愉しみが得られるのか、是非とも知りたくなるでしょう。
文学は日常では得られない疑似体験を与えてくれ、人間がいかに生きるべきかを教えてくれる、まさしく現代社会にとって最も必要とされている学問です。この学問の道を愉しみながら共に歩いて行きましょう。

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