プラトンにおける『美』と『幸福』の関係

立正大学大学院文学研究科哲学専攻
修士課程

研究内容

古代ギリシアの哲学者プラトンの著作の一つである『饗宴』について研究しています。『饗宴』は悲劇作家アガトン宅で開かれた宴の様子が描かれている対話篇であり、宴の参加者が順番にエロース(愛)についての演説を行うという構成になっています。卒業論文でもこの『饗宴』を扱い、ソクラテスの演説における「美」と「善」の関係性について考察しました。愛は美への欲求であり、最終的に美のイデアを観た者のみが真実の徳を得ることができる、そして徳という善きものを手にした者は幸福になる、と述べられています。修士論文では卒業論文であまり扱うことのできなかった「幸福」について掘り下げたいと考えています。『饗宴』では、善きものを手にした者は幸福になる、というように善と幸福の関係についてははっきりと言われています。では美と幸福との関係はどうなのか?テキストを読み解くことで『饗宴』において最終目的とされている「幸福」について明らかにしたいと思っています。

研究の魅力

古典ギリシア語で書かれた原典を読むことで、プラトンの思想に直に触れられるのがテキスト研究の一番の面白さではないでしょうか。翻訳されたものからだけでは細かなニュアンスや解釈など、読み取れないことがたくさんあります。ときには堅い日本語訳を見るよりも、ギリシア語の原文を見た方が何を言いたいかシンプルで分かりやすいこともあります。辞書や文法書・注釈書などと突き合わせながら一語一語丁寧に原典を読むのは時間がかかり、根気が要りますが、その分得られるものも多いです。
もちろん、一人でテキストに向かい続けているだけでは、良い研究はできません。授業や勉強会で先生や仲間の意見を交わすことも重要です。議論の中で自分一人では分からなかっただろう見落としや思い込みに気付かされることがよくあります。

大学院生のキャンパスライフ

大学院の授業は基本的に少人数で、学部の時の演習のような形で行われています。自分のテーマから離れた内容の授業もありますが、自分の研究に引き付けて考えてみるとまた新しい視点が見えてきたりもします。また、違う研究テーマの人達の考えに触れるのも良い刺激になっています。
修士2年の現在は、勉強会や他大学のゼミに参加するなど授業以外の活動に参加することが多いです。自由になる時間が多いので自分の興味・関心のあることに専念することができます。

興味を持たれた方へ

「幸せってなんだろう?」「美しいってどういうことだろう?」といった疑問は誰にもふと思い浮かぶことがあると思います。しかしその疑問に対して結論を出そうと正面から取り組む、という作業は意外に日常ではできないのではないでしょうか?大学院は自分の関心があることを納得のいくまで追求したいと思う人にはとても良い環境だとおもいます。

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