オリエンタリズム絵画に関する研究

立正大学大学院文学研究科史学専攻
修士課程

研究内容

19世紀のヨーロッパで流行したオリエンタリズムについて研究しています。オリエンタリズムとは西洋人による東洋の表象であり、狭義には中近東地域の風俗や風景から刺激を受け、それらを諸芸術の主題とする現象です。学部生の頃『グランド・オダリスク』という作品を見て、ヨーロッパの東洋に対する眼差しに関心を持ち卒業論文の研究テーマとしました。修士論文では絵画に焦点を当て、ラファエル前派のホルマン・ハントが描いたオリエンタリズム絵画や文献などを手がかりに、当時のヨーロッパが中近東地域をどう捉えていたのかを考察しています。
※ラファエル前派:19世紀イギリスを代表する画家集団の1つ。象徴主義美術の先駆け。

研究の魅力

絵画作品を扱うことには独特の難しさがあり、特に宗教画を扱う場合、聖書についての知識が求められ、聖書を片手に作品を眺めています。しかし、1つの絵画作品を細かく分析し、描かれた1つ1つが何を意味するのか、それが当時の社会動向の何を反映したものなのか、そこから何が言えるのかを考えることはとても楽しく、やりがいを感じます。
また、絵画をより深く理解するためには、文献等の史料の分析も必要になります。ハントが中東を旅行した際の日記が残されているのですが、ハントが中東に対してどんな感情を抱いたかを読み取ることができます。また、誤字や書き方の癖を見つけるとハントの人柄を感じることができ、親しみを感じるときもあります。
研究は細かい作業の積み重ねですが、チリも積もれば、と言うように、達成したときの満足感は最高です。

大学院生のキャンパスライフ

大学院生になると、ティーチングアシスタントとして指導教授のお手伝いをすることがあります。西洋史コースの大学院生は、学部4年生のゼミに参加し、卒業論文の題目決定や執筆について相談に乗ります。悩んでいる学生には「何に一番興味があるのか」「何を明らかにしたいのか」を自分の経験を踏まえてアドバイスしました。無事に卒業論文を提出した学部生からお礼の言葉をもらったときは、とても嬉しく思い、学生を支援する職を目指したいと考えるようになりました。
夏休み前には、西洋史ゼミの合同卒業論文中間報告会の準備や進行を務めます。進行役は、報告会を円滑に進めるために気を張り続けますが、普段の生活の中では経験できないことなので、とても良い経験だと思います。
大学院では研究以外にも多くの経験を積み学ぶことができ、より一層成長ができると思います。

興味を持たれた方へ

私は学芸員としてより一層深い知識を求め大学院に進学しましたが、ティーチングアシスタントの経験から、学生と接し様々な面で学生を支えたいという思いが募り、学生と接する機会が多い職へ進みたいと考えるようになりました。将来を考えて大学院への進学を躊躇する方は多いかと思います。しかし、大学院は将来の選択肢を狭める場所ではなく、広げる場所だと思います。大変なことも多いかもしれませんが、乗り越えた先には多くの選択肢が見えてくると思います。

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