基地施設を中心とした都市コミュニティ形成に関する研究

立正大学大学院文学研究科社会学専攻
修士課程

研究内容

私は、横須賀市観光協会が主催する「よこすかスプリングフェスタ2013」への参加以降、横須賀市と横須賀米海軍基地との特異な関係性に興味を持ち、「米軍基地施設と周辺地域社会の関係性」を研究テーマとしました。
日本は、普天間基地問題、厚木海軍飛行場艦載機騒音問題、岩国飛行場埋め立て問題といった米軍基地施設に関わる様々な問題を抱えており、連日マスメディアが反基地運動を大々的に取り上げています。しかし、基地施設周辺地域と基地施設の間には複雑な利害関係が生じており、必ずしも周辺地域が基地施設の存在に全面的に反対しているわけではありません。
卒業論文では、横須賀市政が横須賀米海軍基地を利用した地域活性化を展開し、友好的な関係を築いている事実を明らかにしました。修士論文では、その研究を深化させ市政を含む横須賀市全体と横須賀米海軍基地の共存の可能性を明らかにすることを課題としています。

研究の魅力

私の研究は在日米軍基地施設を中心とした都市空間の社会的諸関係・社会構造に注目するため、都市社会学的視点を用います。基地施設と周辺地域との相互依存関係に注視することで共存の可能性が明らかになると考えたからです。研究方法としては、文献検討を行った後、基地施設関係者、市役所、個人商店主、反基地施設団体など、横須賀市の資源をめぐるさまざまな団体へのインタビューの実施を計画しています。
都市空間にはさまざまな事実が隠されています。それは文献を読むだけでは見えてきません。私の指導教授である小浜教授も、「フィールドワークを行ったら必ず何かしらの発見を持ち帰りなさい」とよく言われます。都市はただ建物が立ち並ぶ空間ではなく、人と人との関係が紡ぎ出す空間なのです。その関係を分析するためには、自身で現場に足を運び、観察して、聞いて、話して、解釈するプロセスが大切です。都市空間の構成の背景にはさまざまな社会・経済的・文化的要因が存在しています。それを自身で発見し、解き明かしていくことこそ、都市社会学最大の魅力だと私は捉えています。
修士論文では神奈川県横須賀市を対象としてフィールドワークを行いますが、将来的には在日米軍基地問題の最前線である沖縄県や、ドイツのスパンダーレム、イギリスのレイクンヒースといった在欧米軍基地を内包する都市の観察を行い、都市比較研究を目指したいと願っております。

大学院生のキャンパスライフ

大学院の授業は少人数制のため、先生方との関係がより一層親密なものとなり、より丁寧な指導を受けることが可能です。もちろん授業では学部時代よりも高度な内容を扱うため、事前学習をしっかりしていくことが必要となります。
休日はシカゴ学派に倣い、可能な限りフィールドワークを行っています。都市は日に日に変化を遂げており、調査対象地を歩き、人々を観察することで文献に記載されていない最新の情報を入手することが可能だからです。事実、調査対象地である横須賀市もここ数年でその様相を大きく変えています。わずか数年の間に、駅前の再開発が急速に進められ、基地施設と市民とが積極的に関係を築こうとしている点が一例として挙げられるでしょう。

授業の事前学習はもちろん、フィールドワークや論文執筆なども含め、大学院生は勉強を中心とした生活が基本となります。自分の研究に没頭できる貴重な時間であるため、与えられた時間を無駄にしないように心がけています。

興味を持たれた方へ

学部時代だけでは研究が足りなかった、もっと研究をしたい・・・そういった研究意欲のある方、是非大学院進学を選択肢の一つとして考えてみてください。大学院は、自身の研究をより質の高い段階へと昇華させることを可能とする場です。
ただし、修士論文執筆は辛く、困難な道のりです。途中で投げ出さないためにも、大学院進学時点で研究テーマを明らかにしておくことは絶対に必要です。

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