土壌中の放射性セシウム量および空間線量の測定結果(熊谷キャンパス)
熊谷キャンパスにおける土壌中の放射性セシウムおよび空間線量(2013年度)
2014年4月3日
土壌中の放射性セシウム
2011年から約3年間測定を続けてきました。2013年1月から7月まで、土壌中セシウムの濃度が低くなった時期がありましたが、9月の値は最近では異常に高い値を示しました。
この時の土壌試料には、地表に生えていた苔が共存していました。苔はセシウムを取り込む性質があり、その効果で9月の土壌の値が高くなったことがわかりました。その裏付け測定を行った結果を別図に示しました。次の図をご覧ください。
2013年8月から2014年2月までは全般に高めに経過しています。これも土壌試料に少量の苔が混入していたことで説明ができます。2014年3月の測定値は、セシウムの濃度が低下しました。3月の土壌採取地点には苔が無かったため、セシウムの濃度が下がったと考えられます。
3年間の測定で放射性セシウム、特にセシウム134の減衰が読み取れます。
2012年2月と2013年9月に大きなピークがあります。このピークをスライド①ではA・B、スライド②ではC・DとするとA/B比とC/D比が同じではありません。Dの減り方に比べBの減り方が大きくなっています。これはセシウム134の半減期は約2年、セシウム137の半減期は約30年でセシウム134は半減期が短いため、セシウム137に比べて減少するのが早いからです。
土壌中の放射性セシウム(ベクレル)
- ベクレルと計数値の違いについてはこちら
熊谷キャンパスの空間線量
空間線量については、2012年4月から2014年3月まで、約2年間測定を続けてきました。
2012年4月と2014年3月の測定値の差を見ると、この2年間でほとんどの測定地点で放射線量が低下しているのが分かります(右端の欄参照)。
ほとんどの測定地点で放射線量が低下したのは、半減期の短いセシウム134が減少したためと考えられます。また、雨などで土壌とともに放射性物質が流れていった効果も考えられ、空間線量は全体としては低下してきていると言えます。(土壌中の放射性セシウムの説明を参照)
これまでの測定で陸上競技場の値が他の地点よりも高めに出ています。この原因は、陸上競技場は人工芝であるため、放射性物質が流れず留まっているという可能性が考えられます。
- 過去の測定データ
- 2011年11月16日 大気中浮遊塵中および土壌中の放射性セシウム(熊谷キャンパス)
- 2012年 1月10日 大気中浮遊塵中および土壌中の放射性セシウム(熊谷キャンパス)
- 2012年 5月29日 大気中浮遊塵中および土壌中の放射性セシウム(熊谷キャンパス)
- 2012年 9月18日 大気中浮遊塵中および土壌中の放射性セシウム(熊谷キャンパス)
- 2012年12月25日 大気中浮遊塵中および土壌中の放射性セシウム(熊谷キャンパス)
- 2013年3月26日 土壌中および大気中浮遊塵中の放射性セシウム(熊谷キャンパス)
- 2013年9月11日 土壌中および大気中浮遊塵中の放射性セシウム(熊谷キャンパス)
- 参考
- 文部科学省放射線量等分布マップ
- 立正大学ケアロジーカレッジvol.10 物質を分析することで人と地球をケア
- 放射性セシウムの測定方法
協力:環境システム学専攻
(測定代表者:教授 川野良信 測定担当者:院生 大久保悠花)