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先生に聞いてみた(第09回:仏教学部 久保真紀子講師)
2021/08/30
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アジア文化を建造物から読み解く
『仏教』と『美術』の関係性とは?
久保先生はどんな研究をしているの?
カンボジアの世界遺産として有名なアンコール遺跡群について研究しています。東南アジア大陸部に版図を拡げたアンコール朝(9~15世紀)の時代、歴代の王たちは数々の壮麗な寺院建築を築きました。それらは往時の技術や信仰を私たちに伝えてくれる貴重な遺産ですが、実際には後世の増改築や修復で改変された箇所や、内戦や盗掘といった人為的要因により遺失した箇所も多く、必ずしも創建当初の姿を保っているわけではありません。私は、寺院に残る浮彫や碑文等をもとに、創建時の寺院にどのような尊像が祀られていたのか、また、それら諸尊像の配置構成に当時の政治や宗教がどのように関わっていたのか読み解くことを目指しています。
現地で実物を見ることはなぜ大切なの?
例えば、何か美術作品について調べるとき、本やインターネットを使えば容易に情報が得られます。しかし、そこで得られる情報は他の誰かによって収集され選別されたものに過ぎず、自分自身が作品を見たときに得られる情報量とは比べ物になりません。
遺跡調査での体験です。叙事詩『ラーマーヤナ』に登場する猿の戦士ハヌマーンが主人公ラーマの妻シーターを探し出す場面を浮彫した崩落石材を調べていたとき、ふとその石材を真上から見下ろしてみると、ハヌマーンの手のひらに小さな輪状のものが刻まれていることに気づきました。それは、ラーマがシーターに渡すようハヌマーンに預けた指輪でした。これは実物を見て初めて分かったことで、正面から撮影した写真では知り得ない情報でした。とても感動したのを覚えています。
仏教と美術にはどんな関係があるの?
釈迦入滅後、遺骨を納めるための仏塔が建立されましたが、その周囲を荘厳するために表された文様や説話図の浮彫が仏教美術の始まりとされます。それ以降、仏教の広まりに伴い各地で新たな仏教美術が展開します。東南アジアでは、仏教説話の中でも成道後の釈迦を風雨から護った龍王のエピソードが特に好まれ、7~13世紀を中心に多くの彫刻が作られました。中インドでは既に前1世紀から作例が知られていますが、東南アジアでよくみられるような、釈迦が龍王のとぐろの上に坐し、その背後で龍王が鎌首を膨らませて守護する表現は、2~3世紀頃以降、南インドやスリランカに先例がみられ、その後東南アジアに伝わったと考えられています。仏教美術は、各地で仏教が受容される過程や地域間交流を知る手がかりとなるのです。
久保 真紀子 講師
仏教学部 仏教学科
大学時代にアンコール期の彫刻や建築装飾に興味を持ち、それ以降研究を継続。上智大学大学院を経て、2013年に博士号取得。約2年半に渡るカンボジア留学では、現地の研究機関に所属する専門家との交流を深めた。帰国後は多摩美術大学等で教鞭をとり、2019年に本学仏教学部助教に着任、2020年に専任講師に昇任、現在に至る。
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