臨床心理学科
教員インタビュー

人の心を理解して、援助したい。
真の優しさを、ともに学ぶ仲間が待っています

臨床心理学科
田中輝美 教授

「まわりの人に手を差し伸べられる人間になるために、自分の心と身体の状態を理解できることも大切なこと」と話す田中輝美先生。心理に関わる専門職としてだけではなく、仕事や日常のなかで人を援助したり、社会全体の精神的健康に貢献するための知識を身につけられる臨床心理学科の学びについて聞きました。

資格取得のための学びだけでなく
具体的な経験として心理学を学ぶ

ー 立正大学の臨床心理学科で学べることについて教えてください。

立正大学心理学部臨床心理学科は、資格取得をめざす講義だけでなく、カウンセリングを疑似体験するグループ指導の演習、現場にふれる実習などをとおして、心理学の知識を具体的な経験として学ぶことができます。

例えば、私のゼミナールでは、カウンセラー役と相談者の役、ふたりのようすを観察して感想を言う役の三人組を作り、「学校へ行く気力が出ない」といった相談者の心の問題に対してカウンセラー役としてどう対処するかという練習を行っています。 これは、もし自分がカウンセラーだったらどうするか、もし自分が相談者だったらどういう気持ちになるかという疑似体験をみんなでシェアしていく3年次の演習です。

1年次の「適応の心理」という授業で抑鬱(気分が落ち込んでいる状態)や統合失調症の人たちの症状、診断に必要な基準を勉強しているので、相談者役の学生も相談者としての知識をもって演習を進められます。

2018年度より
国家資格 公認心理師に向けて、実習スタート

ー 臨床心理学科での実習について教えてください。

いま、臨床心理学科では、2018年度に実施される新しい国家資格、公認心理師カリキュラムに向けて、来年度の4年生が行う実習のために準備を整えています。

まずは、1〜2年次で心理学の基礎的な知識を身につけて、3年次では学生どうしがカウンセリング場面を演じたり、心理検査を実際に実施して集計などを行いレポートにまとめる演習を行います。これをベースにして、4年次での実習では、施設を見学したり、施設で働いているスタッフのみなさんに質問したりして、その結果をレポートとしてまとめる内容の実習を予定しています。

卒業論文を書く学年でもありますので、かなりハードな日程になるのですが、それくらいこなさないと国家資格の受験条件は取得できません。チャレンジできる意思の強さをもっている方をお待ちしています。

※必要な科目を修得し卒業後に実務経験を積めば、公認心理師の受験資格が得られます。大学院で臨床心理学専攻へ進学すればさらに臨床心理士の受験資格が得られます。

だれかのために何ができるのかを
学んで、選んで、広がる未来

ー 臨床心理学科の学生の印象を教えてください。

人の心を深く理解したい、そして人を援助できる人になりたい。そういう思いをもった思慮深くて優しい学生が多いと感じます。
オープンキャンパスでも、高校生や保護者の方から心理学部の対人・社会心理学科と臨床心理学科の違いについて質問されるのですが、「人について知りたい人は対人・社会心理学科へ、だれかを援助できる人間になりたい人は臨床心理学科へ来てください」と話しています。

ー 臨床心理学科の卒業生は、いろいろな形で社会に貢献しているそうですね。

だれかを援助できる人間というと、カウンセラーにならなくてはいけないと思うかもしれませんが、人の援助をする仕事は世の中にあふれているんです。

私のゼミ生のなかに、ホテルのコンシェルジュになった卒業生がいるのですが、特に不安やとまどいの多い外国からの旅行者に快く過ごしていただけるようにサービスするのがすごく楽しいと話してくれます。 その学生は、人事面接でアピールしたいからといって認定心理士の資格を取得して、今後は新人教育の部門に回るためにもその資格を活用したいと話しています。

また、ゼミ生のなかで、ブライダル関係の会社をめざしてがんばっていたけれど、なかなか内定が取れず落ち込んでいた学生がいたんです。そこで、その学生は「自分はどうしたいのか」と考えたそうなんです。自分は心理学を学ぶくらい人が好きだから、人の相手をする仕事がしたい。もともと自分でアクセサリーを作って、まわりの人にプレゼントして喜んでもらうのが好きだから、何かものを作る会社で人の役に立ちたい……というところから、医師ではない家族が自宅で医療行為を行うための医療機器を開発・販売する会社を見つけて、一生懸命アタックして内定をもらいました。

臨床心理学科の学びでは、自分にとって、何が大切なのかを突き詰めて考え、そのなかで人とどう接していくか、どう貢献していくかということを考えることが外せないテーマになっています。臨床心理学科だからこその進路だと思います。

人それぞれがもつ価値観と考え方を
講義と演習、さまざまな経験で学んでほしい

ー それでは、臨床心理学科の学生のみなさんに4年間で身につけてほしいことを教えてください。

人によってさまざまな価値観があるということを、臨床心理学科の講義や演習、日常のいろいろな経験をとおして学んでほしいと思います。知識や理論も基礎として大切ですが、ボランティアなどの多くの人にふれる経験をとおして、人にはさまざまな考え方があることを実感として理解してほしいと考えています。そして、自分自身を多くの人のなかの1人として客観的に見る姿勢を身につけてほしいです。

人に対する疑問をきっかけに、
だれかのための幸せを想像できる人をめざしませんか

ー 最後に、受験生のみなさんへメッセージをお願いします

身のまわりのことや人に対する「?(クエスチョン)」をもってほしいです。「そんなの当たり前」と片づけずに、「何か、おかしくない?」という疑問をもち、「私なら、何ができるかな?」と想像してほしいと思います。そして、温かなまなざしで手を差し伸べることのできる真に優しい人に、臨床心理学を学び、社会で活躍してもらうことを願っています。そんな人になりたいとあこがれる学生さんをお待ちしています。


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