海外における日本仏教の動向

立正大学大学院文学研究科仏教学専攻
立正大学仏教学部宗学科
安中尚史教授

専門は日本仏教史、日蓮教団史。立正大学仏教学部卒業、同大学院文学研究科で博士(文学)を取得。立正大学仏教学部助手、専任講師、助教授、准教授を経て現職に。論文に『日蓮宗における移民布教と植民地布教』(日本宗教学会)、『明治期における日蓮教団機構について』(日本印度学仏教学会)など多数。『ハワイにおける日蓮宗の開教活動について』にて第45回日本印度学仏教学会学会賞を受賞。

研究内容

近代における日本仏教の展開をテーマに、特に近年は海外における日本仏教の動向について研究をしています。
日本仏教による海外開教の特徴を大別すると、ふたつの形をみることができます。ひとつは、明治中期からはじまる植民地政策に通じた海外進出に対し、それに追随するような形で展開したものでした。東アジアからはじまり、北アジア・東南アジアなどの諸地域にまで広まりを見せ、現地に赴いて活動する僧侶、その僧侶を送り出す組織、またそこに関係する檀信徒、さらには活動の場であった地域の人々や政府などが連関して繰り広げられました。
さらにもうひとつには、海外移民に追随する形で展開したもので、ハワイ・北米西海岸を中心に、移民社会の拡大にともない日本仏教の積極的な活動がみられました。彼の地において苦しい生活を強いられた移民たちは、自然に心のよりどころとして宗教を求め、慣れ親しんでいた日本の仏教を必要とし、これに対して僧侶たちも移民の声に応えるべく海を渡って開教活動を行ない、さらに宗派が教線拡大を目的として積極的に関わる場合もありました。

研究の魅力

日本仏教研究の中でも、海外開教については、非常に限られた研究分野として捉われがちですが、その背景には、近代化と相俟って展開した、日本の強硬な海外進出と密接な関係がみられる場合もあります。仏教宗派や僧侶の布教活動の延長線上に、国家的な規模で展開した対外政策に対し、重要な役割を担っていたことが解明できた時などは、小さな事柄の研究を積みかさねることの重要性を痛感させられます。

研究の未来

昨今の近代仏教に対する関心の高まりに応じ、日本仏教の海外開教に関する成果は着実にあがっています。このテーマで研究がはじまった頃は特に国際関係史研究の中で考察が進められ、その後、近代仏教史研究の中で検討されるようになり、徐々にではありますがその成果が発表されました。近年では地域・時代・組織・人物など様々な側面から海外開教を捉える研究が行なわれ、学際的な研究分野として位置づけられてきました。
海外開教の研究を行なう上で、戦争との関係について無視することはできません。これまで、海外開教は侵略戦争へ加担したとされ、批判・非難の対象となっていたことは明らかです。しかし、そのことが強調される時期ではなくなったことは確かです。地域・宗派・時代によって、その動向がほぼ解明されている場合も僅かにありますが、全容を解明するための研究の進展が期待されます。
さらに開教が展開した地域に住む人々の側に立った研究は、現地の人たちによって少しずつ着手されてもいますが、今後は進出した側と進出された側の相互的な研究が進むことが必要であり、また、複数地域間の比較研究が進展することを期待します。

興味を持たれた方へ

近代仏教の研究は、はじまったばかりと言っても過言ではありません。いまだ研究途上の分野であることは間違いのないことです。今、この分野の研究に着手すれば、多くの事柄で真実を解明することが可能となることは確かです。しかしながら、先行する研究も少なく、史料の集成がなされることもないため、試行錯誤しながら取り組む必要があります。歴史研究であれば当然のことですが、新たな史料を発掘するための調査は必至で、限られた文献を用いて机上で考察することだけでは通用しない分野であります。そのためには史料調査の習得も重要なことであり、大学院の講義では史料の取り扱いや、調査手法についても学修します。

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