データサイエンス学科
教員インタビュー

エピソードがエビデンスに変わる瞬間、
データサイエンスの扉が開く

データサイエンス学科
渡辺美智子 教授

2021年4月に新学部として開設した当学部なら、現在はもちろん、これからの社会で必要不可欠なデータサイエンスの知識を4年間かけて、思う存分学ぶことができると話す、渡辺先生。「枯渇しない経済資源」といわれる「データ」と私たちの暮らしの繋がり、当学部生の未来の可能性について聞きました。

社会の課題の「見える化」に必要なアカデミック・スキルを学べます

ー データサイエンスという学問について教えてください。

データサイエンスとは、身のまわりのさまざまな現象をデータで読み解いて、社会や仕事、生活に役立つ知見や知識を生み出していく考え方や方法論を総合的に取り扱う学問です。

ビジネスの世界では、データを活用して社会や身のまわりで起きている現象を客観的に見ることを、問題の「見える化」といい、そこに課題を見出し解決するヒントがあるため、とても重要視されています。
例えば、テニスの錦織圭選手や大坂なおみ選手の試合の映像を観ていると、選手がこれまでに打ったサーブが相手のコートのどこに落ちたか、ボールの着地点が表示されるのを見たことはありませんか。
1球の着地点だけでは「ラインぎりぎりだったな」とか「今の球はスゴイ!」という単純なエピソードで終わってしまいますが、多くのサーブの着地点を集めて密度が見えてくると、選手のサーブの傾向が見えてきます。傾向が見えれば、対策のヒントがたくさん出てきますね。これが、「エピソード」が「エビデンス」に変わる瞬間です。
データサイエンスの学びでは、このような考え方を用いて社会のありとあらゆる出来事を「見える化」し、誰もが意思決定に役立てていくスキル(技術)を身につけることができます。このスキルは、社会の実践フィールドと密接に繋がった新しいアカデミック・スキルと言えます。

現代の経済資源を最適に取り扱う、21世紀型のスキルが身につく学部

ー データサイエンスという学問の現在の状況、社会的な役割、将来性について教えてください。

私たちが暮らす現代は、パーソナルコンピュータやインターネットの普及に始まり、その後のネットショッピングをはじめとする多様なWebサービスの開発・普及で、デジタル化された膨大なデータの取得と共有が、非常に低価格で実現できるようになりました。
とくに最近のセンサー、モバイル、高性能デジタルカメラなど、IOT(Internet of Things)の急速な拡大で、ビッグデータといわれる膨大なデータが社会のあらゆるところに蓄積されています。このビッグというのは、サイズのことだけではなく、重要な価値に結びつくという意味もあります。
これらのことから20世紀の経済資源が「石油」であったことに例えて、21世紀の経済資源は「データ」であると言われています。しかも「データ」は「石油」と違い、枯渇しない資源です。そして、データサイエンスは「データ」を価値に変換する「21世紀型スキル」、すなわち「世界共通の力」として認識されています。
その世界的な需要に比べて、データサイエンスを身につけた人材、データサイエンティストが大きく不足していることが課題になっています。2020年、アメリカで最も増加した職業のトップ3には、データサイエンティストが入っており、今後もデータサイエンティスト関連の職種の需要は日本でも大きく伸びることは間違いありません。

ネットショッピングやコンビニでの買い物、身のまわりにあるデータサイエンス

ー 私たちの社会に活かされているデータサイエンスというと、どんなものがあるのでしょうか。

例えば、インターネットで買い物をすると次からさまざまな商品をオススメしてくれますよね。消費者が購入した商品をデータとして蓄積することで、その消費者が興味をもちそうな商品の分析・情報を表示して購買意欲を刺激するわけです。ここで、「購入」のボタンをクリックしてくれればビジネスとして成功ですが、もしクリックされなかった場合でも失敗にはなりません。「買わなかった」というデータが蓄積されるので、その消費者の行動パターンに繋がる貴重な情報を入手したことになるからです。

このようにデータを蓄積させ、分析して活用してきた企業がそれぞれの市場をリードしている現在、みなさんもそれらのサービスを利用したことがあるのではないでしょうか。その代表的なものが、Google、Apple、Facebook、Amazonの頭文字を集めて「GAFA(ガーファ)」と呼ばれる企業が提供するサービスです。

専門的な言葉を用いて説明すると、コンビニのレジ(POSレジ)のレシートをデータとして分析することで、買い物の傾向から顧客の潜在的な嗜好や生活行動の違いを推測し、いくつかの典型的なパターン(潜在クラス)のグループに分けることができます。
例えば、ダイエットを気にしているグループ、一点豪華主義の買い物行動をするグループなどですね。
その学習モデルをレジシステムに予測モデルとして実装すると、買い物行動が発生した時点(レジを通った時点)でレシートの裏に、その顧客の心に響くクーポンサービスが発行でき、顧客の再来店率の向上に繋がることなどが考えられるというわけです。

このようなビジネスのシーンだけではなく、観光、スポーツ、医療・福祉、保健、行政、教育などあらゆる領域で、データサイエンスのスキルを活かすことで、政府が掲げるSociety5.0が実現し、データ駆動型の超スマート社会が現実のものとなるのです。

文理融合型のカリキュラムで、文系の学生でも新しい学びに挑戦できます

ー 立正大学のデータサイエンス学部の学びの特徴について教えてください。

身のまわりにある社会課題を解決するため、統計学や情報科学、人工知能(AI)、プログラミングなどの最先端技術を基礎から学び、インターンシップなどの現場で大学生ならではの自由な発想力を用いて新たな価値観を見つけ出し、データサイエンスと社会を繋げるスキルを学ぶことができます。これにより理系科目に苦手意識がある学生でも、この新しい学部での学びに挑戦できることが特色です。

1年生は、データサイエンスや人工知能(AI)などの基礎知識、プログラミング入門の授業をとおして、専門的な学習の土台づくりを行ないます。特に数学は習熟度別クラスで学ぶため、数学が得意ではない学生でも確実に修得できる体制をとっています。
そのほかに一般教養や外国語、スポーツや保健、キャリアなど幅広い科目で、データサイエンスと社会を繋げるために必要な教養の基礎を身につけます。

2年生からは、ネットワーク理論や機械学習などデータサイエンスの基礎的な能力を身につけ、データサイエンスが実践的に活用されているビジネスや観光、社会やスポーツなどの分野の基礎知識と、それぞれの分野での利活用のされ方を学びます。
それらの知識や技能に加えて、テキストマイニング(大量の文章データから有益な情報を取り出すこと)や社会調査実習で最先端の研究に触れながら応用力を伸ばし、多様な研究分野での実績をもつ教員のもと、社会の現場でのフィールドワークやインターンシップなどもとおして、価値創造について深く学び、現代社会に貢献できる力を養っていきます。

現状の日本のデータサイエンティストには、情報科学や数学を専門とする「理系」寄りの人材が多く、実際にスポーツやビジネス等にデータサイエンスを活用できる、文理融合した考え方ができる人材の不足が課題とされています。
そのため本学部では、「キャリアにつながるデータサイエンス」スキルの修得を目指し、データ収集・分析だけでなく、広く社会やビジネスについて学び、インターンシップなどの現場でデータサイエンスを活用するための力を身につけた人材の育成を目指しています。

自ら課題を発見し、解決する能力。共感力と発想力を身につけよう

ー 4年間の学生生活で身につけてほしいことを教えてください。

データサイエンスというと理系の印象があるかもしれませんが、数学が得意だからといってデータサイエンスのセンスがあるとは限りません。統計や分析のスキルはあっても、それを社会の中に組み込んでいくために、何をどうすれば……というような物事を深く掘り下げる文系的な発想がなければ、データはただのデータのままになってしまうからです。
学術的な研究の中にあるものを、社会の中のサービスとしてどう広めていくか、データサイエンティストには、社会がもつ課題に共感する力が必要です。この力は社会のために何かをやりたいという意識をもっている人たちに備わっていると思います。
ぜひ身のまわりの出来事への共感力を身につけて、その力を高めてほしいと思います。
そして、ビジネスだけでなく社会支援や人道支援など、Data for Goodの考え方でデータサイエンスを活かせる方法を探る発想力を育てていただきたいです。

データサイエンティストを待つ、あらゆる領域とさまざまなキャリア

ー 卒業後の進路について教えてください。

私たちは、社会生活のすべてのシーンでデータを使っています。この先も人工知能(AI)の助けを借りながら、天気や地震などの自然環境の変化の計測をはじめ交通量や電力の消費量、企業の在庫管理、個人の健康状態などのすべてがデータとして蓄積され、瞬時に解析され、問題があればそれを発見し、対処していくことになるでしょう。
そのような社会では、データサイエンスの知識とスキルが必要不可欠になります。データサイエンスを学ぶことで就ける職業は、ほぼすべての分野のほぼすべての職種に広がっていきます。
本学部では、高校教員免許(情報)や社会調査士などの資格が取得でき、そのほか統計調査士、アクチュアリー(保険数理士)、データサイエンス関連のさまざまな資格試験に挑戦するための知識を得ることができます。
データサイエンスの分野は、現代社会では日々拡大しているため、将来的には新たな資格ができる可能性もありますし、これまでにない分野で活躍する人も増えるでしょう。私たちは資格に関わらず、立正大学データサイエンス学部で、データサイエンスの新しい応用分野の最先端の知識とスキルをもった人材を育て、企業や社会がその人材を求めて立正大学を訪れる状況を作ります。
これからの社会でよりニーズが高まるデータサイエンスのスキルを身につけることで、さまざまなキャリアへの道を切り拓くことができます。

産業革命の境目の今がチャンス。新しい時代を生きるスキルを手に入れよう

ー 立正大学を受験する学生に向けてメッセージをお願いします。

例えるなら、世界は今、ランプから電球(電気)に変わるような、まさに産業革命の境目です。変わるということはみんな分かっているけれど、ランプの世界にいる人は変わらずランプでビジネスをして、もっと良いランプの芯を作ろうと考えている。そして、新しい世界にいる人は、ここも、そこも、あそこも新しい技術(電球)に変えたら何が起こるかということを考えている。
データサイエンスを学ぶことで、人工知能(AI)が人を助け、私たちのビジネス転換を支えてくれることを知り、これからの社会に必要なスキルと考え方を身につければ、この第4次産業革命という移り変わりの最中、どのような領域でも活躍できる人材になれます。
これからの新しい時代は、「何のスキルを身につけることができるのか」で大学や学部を選ぶ時代です。昔の価値観に振り回されていると、時代が変わっていく瞬間に乗り遅れてしまいます。その変化する世界の中でどれだけ状況を見据えて、必要なスキルの学びを選べるかが必要です。
ランプから電球に変っていく技術や社会の変化に気づき、今までの価値観を取り払って新しい時代の考え方やスキルを身につければ、将来が変わります。
「興味ある専門分野×データサイエンス」のスキルをもって社会に出て、これからのスマート社会を支える人材を目指しませんか?


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