第四紀環境研究室

第四紀・第四紀学とは?


  「第四紀」とは地球の歴史の中で最も新しい地質時代のことで,新生代(哺乳動物が進化・発展した時代)を時代の古いほうから第三紀と第四紀の2つに分けたときの,新しい時代を指します.今からおよそ170万年前から現在までの時代にあたります.例えば古生代の「石炭紀」(両生類が発展した時代)とか,中生代の「ジュラ紀」(爬虫類が発展した時代)のように,地質時代の区分は生物の進化にもとづいてなされるのが決まりです.第四紀の場合は人類(Homo属)が出現し発展した時代で,第四紀は「人類紀」ともいわれています.なお,第四紀の時代区分にかかわって,最近新しい動きがありました.「第四紀に関するニュース」も参照してください.

  いっぽう,最近,地球の「温暖化」という現象が問題にされていますが,実は第四紀は,それ以前の時代(第三紀)にくらべて寒冷な時代でした.高緯度地方や山岳地域には,大陸氷河や山岳氷河が広がっていました.今では南極大陸や北アメリカ大陸北東のグリーンランドに大陸氷河が分布する程度ですが,過去においては,北アメリカ大陸北部やヨーロッパ北部にも大陸氷河が広がっていたのです.日本列島においても,中部地方の北アルプス・南アルプス山脈の高地や,北海道日高山脈には山岳氷河がありました.関東地方でも年平均気温で現在より6〜8度ほど低く,現在の北海道,札幌や釧路の付近の気候だったと考えられています.このことから,第四紀は「氷河時代」ともいわれているのです.

  第四紀は現在の環境ができあがった歴史を知る上でも重要な時代です.この時代に形成された岩石,地層,土壌など,地表や海底に広く分布しており,高精度の区分や対比・編年が可能です.地層や岩石も低度の変質作用,変成作用で,地殻変動による変形も少なく,地層堆積時の古環境の復元に役立ちます.また断層や隆起した段丘地形など,現在に引き続く地殻変動の証拠を含み,変動の傾向やメカニズムなど実態を知ることができ,災害の予知にもつながります.人間の生活の場は第四紀層の上にあることが多く,建物や道路,鉄道などの建設の基礎を知る上でも第四紀層の研究が必要になっています.さらに人類の遺跡や遺物を多く含み,動・植物の化石による生物進化の過程,気候変動の歴史や原因を明らかにする研究も行われています.私たちが生活している現在の環境が,どのような歴史を経て成り立っているのか,これからどのように変わろうとしているのか,第四紀の研究は解き明かしてくれます.

  このように,第四紀の研究,すなわち第四紀学は総合的・学際的な性格を持っています.第四紀学の研究をする研究者が集まった日本第四紀学会という学会がありますが,地形学・地質学・古生物学・考古学・人類学・動物学・植物学・土壌学・地球化学・地球物理学・土質力学など,多彩な分野の研究者からなるユニークな学会なのです.



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