2016年ウズベキスタン学術調査隊の活動を公開しました

2016/12/12

立正大学ウズベキスタン学術調査隊は、昨年度の第二次に引き続き、2016年度の第三次調査隊による調査を9月2日からウズベキスタン共和国のスルハンダリヤ州テルメズ近郊のカラ・テペ遺跡に於いて行いました。 本ホームページでも既報の通り、本学のウズベキスタン学術調査隊顧問を務めていた加藤九祚先生が、9月12日午前3時半(現地時間9月11日午後11時半)に、ウズベキスタン共和国テルメズ市内の病院にて94歳で亡くなりました。先生には生前より深い知見と大勢の友人知己による多大なるサポートをいただきました。改めて加藤先生へこの場をお借りして哀悼の意を表します。

今年度の調査は9月2日にイスラム・カリモフ初代大統領が死去、また前述の通り加藤九祚先生もお亡くなりになり少なからず調査の進捗に影響が出るものと思われましたが、昨年度未完だったカラ・テペ遺跡北丘伽藍僧院区の西側回廊部分の継続発掘、大塔西側祠堂部の発掘を行うことができました。以下、今回の調査についてまとめています。

第三次学術調査隊

① 調査期間
    2016年9月2日(金)~10月1日(土)

② 調査参加者
  副隊長 池上 悟(文学部教授)
  隊員  手島一真(仏教学部教授)
  隊員  岩本篤志(文学部准教授)
  隊員  島津 弘(地球環境科学部教授)
  隊員  大石雅之(地球環境科学部助教)
  委嘱隊員  松井敏也(筑波大学大学院人間総合科学研究科世界遺産専攻・准教授)
  委嘱隊員  玉城雄一(立正大学考古学研究室)
  委嘱隊員  本間岳人(立正大学文学部非常勤講師)
  委嘱隊員  本間奈緒子(立正大学博物館非常勤学芸員)
  委嘱隊員  紺野英二(八王子市郷土資料館)
  隊員(顧問)  加藤九祚(法華経文化研究所特別所員) ※9月12日に逝去

③ 調査地域
 昨年に引き続き、ウズベキスタン共和国スルハンダリヤ州テルメズ市郊外カラ・テペ遺跡。
2016年度は、カラ・テペ遺跡の北丘に構築された僧院区の西側回廊部分と北側祠堂部を発掘調査しました。

④ 調査の成果
 西側回廊部分は3年間の調査の結果、回廊幅が4.7mと大規模である点が確認され、回廊の北端は同幅にて西側に直角に屈曲している点が明確になりました。屈曲する回廊が一定規模で囲繞するものであれば、別の僧院の存在の可能性が高まったものといえます。
北側仏塔は、仏塔の階段が付設された東側以外の3方には祀堂ないしは僧房が配置されて塔院を形成しています。仏塔の西側部分は、従来の調査が十分には及んでいなかった部分であり、この部分の明確化のために調査を進めました。西側のうちの南側に位置するNo.52室からは壁面から剥離した壁画の一部が確認できました。またNo.54室の壁面には内側に屈曲する変換部分の遺存を確認できました。No.55室の床面からは2層にわたってコインを伴う人骨の埋葬が認められました。

⑤ 出土遺物
 調査面積の狭隘さに比例して、多くはなかった。各部分の堆積土中から出土した遺物は土器片が主体をなしており、若干の塑像片、金属製品と石灰岩製品が認められました。 

⑥ 今後の展望
 2017年3月にズルマラとその周辺遺構の更なる調査及び既に学術協定を締結しているテルメズ大学およびテルメズ考古学博物館を訪問し、今後の学術調査に関する打合せを行う予定です。
 また来年度の発掘調査は、今回の発掘区域よりさらに西側における建造物存在の可能性を調査をし、カラ・テペ遺跡の北丘における仏教伽藍調査終了に向けた作業を行う予定です。


第三次調査隊の詳しい報告書は、後日刊行される予定です。

故加藤九祚先生、腹心の間柄であるウズベキスタン芸術学研究所所長ピダエフ氏と