2014年の活動

① 調査期間
    2014年8月19日(火)~9月29日(月)

② 調査参加者
  隊長  安田治樹(仏教学部教授)
  副隊長 池上 悟(文学部教授)
  隊員  手島一真(仏教学部教授)
  隊員  岩本篤志(文学部講師)
  隊員(発掘監修) 古庄浩明(法華経文化研究所特別所員)
  隊員(顧問)   加藤九祚(法華経文化研究所特別所員)

③ 調査地域
 ウズベキスタン共和国スルハンダリヤ州テルメズ市郊外カラ・テペ遺跡。
 カラ・テペ遺跡はウズベキスタン南部のアフガニスタン国境近くに位置し、南北420m、東西250m規模の丘上に展開した大規模な仏教遺跡であり、その地形によって大きく南丘、西丘、北丘に区分され、それぞれの丘上に遺構が遺存しています。
 2014年度は、カラ・テペ遺跡の北丘に構築された僧院の西側回廊外側の通路部分(東西幅4m、南北長さ7.5mの約30㎡)を発掘調査しました。

④ 調査の成果
 調査区は北丘僧院部西回廊の外側の最北部分に面した僧坊(第6室)とその入口付近にあたります。当該箇所は土層の堆積状況から見て、北側から人為的に土砂が流入されたとみられ、完全に埋没していました。今回、掘り下げていく途中(底面まで180cm残した時点)で、入口床面がコの字形に日干し煉瓦で補強されていたことが確認できました。このことによって西側回廊の外側が土砂によって相当程度、埋没した後にも、第6室は部屋として機能するように手を加えられていたことがわかりました。また、第6室入口南側の壁に沿って、日干し煉瓦を4段積み上げた幅90㎝、高さ60㎝、長さ5m以上の段状施設(長椅子の形状、用途は不明)とその壁面の下部が朱色に塗られていたことが確認されました。以上のこと
は北丘部分の変遷をあきらかにする上で重要な手がかりとなります。

⑤ 出土遺物
 発掘箇所が約30㎡と狭小であったため、多くは確認できませんでしたが、出土した遺物としては、石灰岩製の柱頭部分の装飾片、青銅製品の破片、眼を表したものと思われる壁画片、塑像の指の破片、塑像の葡萄を表した破片、建築部材としての日干し煉瓦片、石材片、そして若干の土器片が確認されています。 

⑥ 調査の課題
 調査初年度の2014年は、発掘箇所が必ずしも合意の場所でなかったこと、綿花収穫時期と重なり現地作業員が十分に確保できなかったこと、遺跡が軍管理区域内にあるため、国境の緊張状態で調査が突然中止させられるなど、予定した作業量に及ばず、今後の課題として残りました。

⑦ 今後の展望
 これまで交流のなかった国外機関と協定を結び、新たな事業に着手し出来たことは、立正大学がこの地域に関わって学術交流を推進していく端緒となるものであり、一定の評価を得られるものと考えています。
 2015年6月には、テルメズ大学およびテルメズ考古学博物館とも学術協定を締結し、今後はこれらの機関が管理する遺跡(ズルマラ仏塔址)も調査対象に加える予定です。

 2015年度は8月24日から10月1日までの日程で、作業日数と作業員の確保に努め、大塔西側祠堂部に発掘区域を広げて調査をおこないます。