2012/10/23
舩後靖彦氏は人工呼吸器を装着し、全身麻痺であるにもかかわらず、自作詩の発表コンサートやパソコン音声による講演、メールによる難病者へのサポート、音楽活動、生命倫理やものづくりに関する学生への教育活動を展開している。
こうした中、立正大学は平成20年から毎年同氏を招き、ネットワークを介した公開講演会を行っている。近年は、同氏がALSより酷であると考える病の中で、特定疾患(難病)認定が受けられないために治療法の研究が進まない病と闘う人々の生をテーマとしている。同氏は講演を通して多くの人に知ってもらうことで、難病認定へとつながることを祈念している。
昨年開催した難病MLD(異染性白質ジストロフィー)患者支援のための読み聞かせコンサートの内容を『三つ子になった雲—難病とたたかった子どもの物語』(日本地域社会研究所)として、今年出版された。
今回の講演会で、舩後氏は、四六時中耐え難い痛みが走る線維筋痛症の画家に焦点をあて、ロラン・バルトの概念エクリチュールに基づき、痛みに耐えながら筆を走らせる創作活動を見つめその生を語る。自ら過酷な難病ALSと闘い、わずかに動く口の中の筋肉を駆使してパソコンを操り、他の難病に苦しむ人々を支える言葉をパソコンの音声機能を用いて講演する。講演それに先立ち、同氏の友人による難病支援活動・音楽活動・教育活動の紹介、および講演に使用する意思伝達装置について開発者が解説なども行う予定。
※ALS:Amyotrophic Lateral Sclerosis(筋萎縮性側索硬化症)、通称ALS。筋肉が急激に萎縮する神経系の疾患。有効な治療法は見つかっていない。
※エクリチュール(仏語)【ecriture】:語の原義は文字、書き方を意味する。