立正大学経営学部

畢滔滔教授プロログ

2016年6月10日 17:45

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良書をすすめる

2016年2月17日 15:12

古本屋でたった数百円でとても良い本を入手しましたので、皆さんにもおすすめします。林周二(2004)『研究者という職業』(東京図書)。この本は、著者の林周二先生は自ら六十年の研究者生活を元に、「研究者人生をどう設計すべきか」について語った本です。一気読みしましたが、内容を忘れないうちに、自分にとってとても勉強になった点を書きとめます。

「よい問」あっての「よい答」

「人はその道で良い問題を見つけることができさえすれば、その問題はもう半分以上は解けたも同然だと考えてよいことが多い」(本書203頁)。その通りです。かつてアメリカ都市計画学会の年次大会に参加した時に、ベストペーパー賞を受賞したUCLAの院生の発表を聞いたことがあります。彼女のリサーチクエスチョンを聞いたとたん、「巧い!」と心から感服した記憶があります。

ただし、林先生が指摘しましたように、「よい問」を見つける能力と、「よい答」を見つける能力とは全く別個なものです。では、どうすれば、「よい問」を見つける能力を高めることができるのでしょうか。これについて、林先生は本の中で詳細に説明していますが、まとめると4つのことが重要かと思います。(1)知的好奇心が旺盛なこと、(2)現場に触れること、(3)いつも考え詰めていること(そうでなければ、閃きがおとずれない)、(4)古典を含めて、たくさん読書をすること。

「良書にめぐり会うことは、しばしばいわれるように、良師や良友にめぐり会うことと全く同じで、研究者の人生行路にとり極めて重い意味をもっている。」(本書249頁)

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2016年1月26日 18:02

論文「デュアルシティ・ポートランドークオリティ・オブ・ライフの表と裏ー」は、日本マーケティング学会ワーキングペーパーに公開されました。興味のある方はぜひダウンロードしてご覧ください。⇒ https://www.j-mac.or.jp/wp/dtl.php?wp_id=11

 アメリカ・オレゴン州ポートランド市はなぞ深き街です。なぜならば、同市は、クオリティ・オブ・ライフが高い米国都市として頻繁にマスメディアに報道されている一方、連邦貧困水準以下の住民の比率が全米平均よりむしろ高いことが国勢調査の結果によって示されているからです。本論文では、その原因について、ポートランド大都市圏の産業構造と産業別・職業別の給与水準を分析することで検討しました。

 1980年代からアメリカの製造業の空洞化が進んだ中、ポートランド大都市圏はむしろ製造業の中心地として成長してきました(Intelの工場、Boeingの部品メーカー、Nike)。著名な都市計画学者Mollenkopfらは、製造業が衰退した一方、世界の金融・情報中心へと変貌を遂げたグローバルシティ(例えばニューヨーク)において、新しい社会階層が形成されるとともに階層間の格差が著しく拡大し、デュアルシティの社会構造が形作られたことを明らかにしまし...た。本論文は、製造業が主要産業であり続けている地方都市においてもまた、社会階層間の格差が広がり、飲食店・小売店・宿泊施設など一般サービス業で働く人々がワーキングプアの状況に陥っている、という意味でデュアルシティの特徴が見られることを明らかにしました。マスメディアに大きく取り上げられているポートランドのクオリティ・オブ・ライフ(アメニティ)の裏には、他の多くの米国都市と同じように、優れたアメニティを提供するために低賃金で働くワーキングプアが潜んでいます。

 論文では、ポートランドの人口・産業・フードカート・人気のテレビ番組Portlandiaはもちろんのこと、アメリカの食材や食事供給を語ったニューヨークタイムズ・ベストセラーの内容なども紹介しています。興味のある方はぜひダウンロードしてください。