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墨田区の町工場見学Part1

2016年5月13日 15:37

墨田区の町工場訪問

 

 産学官連携をするにあたり、墨田区の町工場を見学させていただきました。私たちは経営学部で文系のためアイデアやコンセプトは提示できますが、実際に形ある製品をつくる能力はほとんどありません。そのため、「ものづくり」への理解度はイマイチです。そこで、実際にものづくりが行なわれている町工場を見学して、私たちが進めている商品開発に関して、ものづくりの凄さ、厳しさ、難しさを体験してもらおうと企画しました。

五十畑工業

 五十畑工業は、創業80年を超える墨田区の町工場です。スカイツリーから徒歩1分の好立地です(昔は、「業平橋」という駅で何もなかったんですが・・・)。

 五十畑工業が製造しているのは、ベビーカーと介護用車椅子といった製品です。皇太子が幼い頃、美智子様が買い、使用していたのが、五十畑工業製のベビーカーだったそうです。「ベービーカー界のベンツ」とも呼ばれているとか。昨年の11月には、某有名テーマパークのベビーカーを2000台生産して納品したそうで、知る人ぞ知るベビーカーメーカーです。

 ベビーカーといっても最近では、一般消費者向けよりも、保育園や幼稚園で使われる4人や8人乗りで散歩に使う、大型のベビーカーを主に製造しており、売上の8割を占めるそうです。

 私が幼稚園の頃はなかった気がしますが、最近では保育園の小さなお子さんを散歩させるのによく見かけるようになったのではないでしょうか。五十畑工業製の大型ベビーカーは気配りが込められています。道路で斜めに走らず真っ直ぐ進むように、真ん中に車輪がつけられていたり、下り坂でも安全なようにブレーキがつけられたりと、女性の保育士さんでも動かし止めやすい操作性や安全性に気が配られています。

 実は大型ベビーカーをお散歩用に使うのはおまけで、災害時の「避難車」として準備しておくことが必要とされている商品なのだそうです。

 

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ビジネスの仕組み

 五十畑工業では、ベビーカーをつくるための部品のほとんどを自社で内製化しており、金属の加工、組み立て、生地の縫製まで行い、ベビーカーを一貫して生産しています。

 コスト面では外注した方が安くなる場合もあるそうですが、技術のノウハウを蓄積することができるため内製化をしているそうです。そのおかげで、メンテナンスや修理などの依頼にもすぐに対応でき、顧客からの信頼を獲得できているとのことでした。

 そうした信頼の積み重ねがあるおかげで、自社で営業をかけなくても、口コミなどで、製品生産の依頼が来るそうです。今は、受注生産の仕事で手一杯で、人がフル回転の状態のようです。ハローワークなどで募集をかけても人が集まらないらしく、常に人材不足で困っていると言っていました。

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良い製品をつくれば売れる?

 良い製品をつくれば売れる、とは思います。しかし、良い製品をつくれば「売れ続けるか」といえば、それは難しいと思います。

 五十畑工業のベビーカーが売れ続けている理由は、もちろん良い製品をつくっていることもありますが、メンテナンスや修理によって絶えず顧客とのコミュニケーションを欠かさずにいることによって、80年以上も売れ続けていると感じます。

 

 最近ではやはり中国製が多くなっており、生産量が1000個を超えると中国の工場に発注されてしまうそうです。そのため町工場は、500個程度の生産量の仕事を受注し続ける必要があるとおっしゃっていました。高付加価値の製品を多品種少量生産でつくり続ける必要性を認識させてもらいました。

 

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