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女性を応援する 立正大学のケアロジーカレッジ 気づくたび、新しい自分になっていく。 vol.3 商店街の活性化で人と社会をケア

学生、商店街、自治体が一体となって、
共に商店街の活性化を目指していく…。
この活動から、それぞれが多くの“気づき”を得ています。

立正大学 経営学部 経営学科

池上和男 教授

早稲田大学第一商学部卒。同大学院商学研究科修士・博士課程修了。専門分野はマーケティング、流通論、広告論。消費を社会の哲学の表出ととらえ、それを起点として経済、社会、ビジネスを読み解くことを研究テーマとしている。ゼミナール活動における学生の人間形成について大きな関心を持つ。

商店街活性化のプロジェクトに学生を参加させる取り組みには、
池上先生のある“思い”が込められています。

各地に次々と大規模店がオープンする近年、
“衰退する商店街”が問題になっています。
マーケティングを専門とする池上先生が、
この問題に向き合い、ゼミの活動として取り組み始めたのが
戸越銀座商店街を「コロッケのまち」にするプロジェクトです。
活動内容やその成果、学生を参加させる先生の“思い”とは?

清水教授にお聞きしました!『福祉についいて考え実施することとは?

Q1. 「戸越銀座商店街活性化」プロジェクトの始まりは?

A. 大学のゼミでは、毎年論文コンクールがあり、グループに分かれて研究・調査結果の発表を行います。もちろん、これも大切なことなのですが、私は常々、それだけでは学生たちの成長が分かりづらいと感じていました。グループの中には、積極的に参加する学生もいれば、人任せにしてしまう学生もいます。すべての学生にもっと興味を持たせたい、実践的にマーケティングを学ばせたい、という思いから、商店街活性化の活動に参加する取り組みを始めました。そんな中、大学近くの街の活性化を図る戸越銀座商店街連合会の方との出会いがあり、池上ゼミ、商店街、品川区のコラボレーションによる活動が始まりました。その具体策として、戸越銀座商店街を「コロッケのまち」にしようということになったのです。

Q2. なぜ「コロッケのまち」にすることになったのですか?

A. 下町情緒あふれる戸越銀座商店街には、もともと惣菜を売るお店が多く、評判のいいコロッケ屋さんもありました。池上ゼミ、商店街、品川区の三者が一丸となって取り組んでいる「戸越銀座商店街活性化」の一環で、戸越銀座ならではの名物を作ろうというアイデアが持ち上がったとき、この商店街の魅力を生かすため、すでに皆さんに親しまれているコロッケを活用しようということになったのです。「戸越銀座に行けば、おいしいコロッケが買える」というイメージを定着させ、世代を超えた人々が集う街にするため、さまざまなPR活動を行っています。

Q3. 主な活動について教えてください。

A. 週末の商店街には、遠方から訪れる人々も多いことから、お土産用のコロッケのパッケージを作ったり、「コロッケのまち」のポスターや、コロッケ店のマップ、お店の目印になるのぼりを作るなど、販促物の作成から始めました。それぞれ基本的なデザインや文章は学生たちが考え、プロの手を借りて完成させました。また、学生たちが品川区の広報課にかけあい、新聞やテレビなど各メディアへの働きかけをした結果、記事や情報番組で取り上げられることになり、学生たちが自ら取材に応じました。このメディア効果から、学外セミナーなどで活動の発表をする機会も得られました。ほかに、コロッケを販売しているお店のプロモーションビデオの制作も手がけました。また、池上ゼミオリジナルの「立正コロッケ」の製作・販売も行っています。

説明画像

お店のマップや紹介記事を掲載して制作した「戸越銀座コロッケGUIDE」

Q4. 「立正コロッケ」はどのようにして生まれたのですか?

A.商店街や区の協力を得ながら、料理の得意な学生が中心になり、オリジナルコロッケの試作をするところからスタートしました。ライスコロッケ、キムチコロッケなど、さまざまな案を出しては関係者に却下されましたが、こういったプレゼンテーションの経験も、学生たちにとっていい機会になると思います。最終的に、戸越銀座商店街の肉屋さんのひき肉、同じく八百屋さんのじゃがいもを使ったベーシックなポテトコロッケに落ち着き、「立正コロッケ」が生まれました。昨年3月、第一回目の販売時に作った100個はすべて完売し、以降、月に一度、商店街のお祭りでコロッケを販売することになり、現在は製作数を300個に増やしています。昨年秋には、山形県の米沢市とご縁ができ、米沢牛を安く分けてもらえることになったので、第二号として「米沢牛コロッケ」を作り、販売しています。

Q5. 「立正コロッケ」の製作・販売は、すべて学生さんたちによるもの?

A. じゃがいもをゆでてつぶす作業から、揚げて販売するところまで、すべて役割分担し、学生たちの手で進められています。また、コロッケを作るだけではなく、物を作って売るためには、調理器具や食材、包装紙の調達、それらの保管場所、価格設定、販売個数の見込み、コスト管理、販売が中止になった場合の処理、帳簿付けなど、準備しなければならないことや決めておかなければならないことがたくさんあります。こういったことも、基本的にはすべて学生たちが中心となり、問題が出ればそのつど話し合い、解決しながら進行しています。

  • 説明画像 商店街の一角を借りて、朝から仕込み作業
  • 説明画像 戸越銀座のマスコット「銀ちゃん」と完売の記念撮影
Q6.活動を通して学生たちに学んでほしいことは?

A.机の上で理論を学んでいるだけでは得られない、実践のビジネス感覚、マーケティングを学んでもらうことはもちろんですが、一番の目的は、人間的に成長してほしいということなんです。商店街や役所の関係者、業者、地域の住民や商店街を訪れるお客様、そのほかメディア関係者など、実社会のさまざまな人たちとふれあい、得難い経験をしていく過程で、教科書には書いていない多くのことを学びます。その中で自然に身につく、ひとつのことに一生懸命取り組む力、人と協力し合える協調性、自分の役割をまっとうする責任感、他者を思いやる心といった“人間力”は、社会に出てから非常に役立つはずです。これは、人と社会をケアするケアロジー(ケア学)にも直結してくることなんですね。

Q7. 学生たちの反応は?

A.ほとんどの学生は、おそらく最初は文化祭気分だと思います。ですが、活動を進める中で、この活動の目的は何か? ターゲットは誰か? 商店街にはどういう人が集まるか? 商品のネーミングはどうするか? 商品の適正価格とは? といったことを必要に迫られて考えることになります。そこから理論に立ちかえって勉強する…ということを繰り返して学ぶうち、この活動は文化祭ではなく、実践でマーケティングを学んでいるんだ、ということが分かってくるのではないかと思います。毎年、多くの経験をした3年生から、ゼミに入ってきたばかりの2年生に活動のバトンタッチが行われますが、このときに、学生たちの成長の様子がよく分かります。

Q8. 「コロッケのまち」の活動に参加しているお店の反応は?

A.「これまでは年配の方が多かったけれど、若いカップルが散策するようになったり、コロッケを食べ歩きする人たちも増えてきた」「インターネットで見て、遠方から電車を乗り継いできてくれるお客様もいるので、期待を裏切らないようにしなければ」といった声を聞きます。コロッケを通じて商店街が活性化していくことに、手応えを感じてくださっていると思います。

Q9. 先生が考える、商店街活性化の重要なポイントは?

A.「自分たちの商店街」「自分たちの町」という意識をしっかり持って、そこで商売をする人たち、そこに住む人たちが自ら考え動く、ということなのだと思います。国の補助金だけに頼ったり、衰退していくことを“何か”や“誰か”のせいにしていては、活性化は難しい。個々の商店が、それぞれ魅力ある商品を作ることにエネルギーを注ぎ、商店街全体で協力し合って盛り上げようと試みている街には人が集まります。そのいい循環は、近隣の町をも活性化し、元気な社会を取り戻すことにつながるのではないでしょうか。

Q10. 今後の活動予定などを教えてください。

A.戸越銀座商店街を「コロッケのまち」としてより定着させるため、引き続きPR活動を行います。学生たちによる、各コロッケ店を紹介する第2弾のプロモーションビデオの制作も進行中です。また、ゼミオリジナルコロッケについては、多品種展開を考えているので、第三号のコロッケを企画したいと考えています。将来的には、戸越銀座商店街を“都市観光型商店街”のモデルケースにできたらいいですね。

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