経済学は、高校までの教育課程では体系立てて学ばないので、どのようなことを研究する学問なのか具体的なイメージがわきにくいでしょう。経済学をひとことで言うならば、私たちが日々生活を営んでいる経済がどのような仕組みになっていて、どのように機能するか(あるいは、どのようなときに機能しなくなるのか)を研究する学問です。経済は社会のあり方の根幹に関わるので、経済問題をどう解決していくかによって将来の社会のあり方が左右されます。少し大げさかも知れませんが、このような意味で、経済学というのは「私たちがどこからやって来てどこへ向かおうとしているのか」について考える学問だといえるでしょう。人間は経済との関わりなしに生きていくことはできません。経済がどのような仕組みになっていて自分とどう関わっているのかを知らないのは、海図なしで人生という大海原を航海するようなものです。自分自身をよりよく知って豊かな人生設計を考えるためにこそ、経済学を学ぶ意義があるのです。

ところで、経済というのは実に複雑なシステムです。そこには多種多様な要素が存在し、それらが複雑にからみ合いながら相互作用をしています。システム全体を観察すると、無秩序な雑然とした状態から突然秩序が出現したり、その秩序があるとき突然消滅したりと、きわめて複雑な振る舞いを示します。システムに出現した秩序は、今度は個々の要素の振る舞いに影響を与え、要素どうしの相互作用を通じてシステム全体の振る舞いを変化させます。このように自己進化するシステムを「複雑系」と呼びます。複雑系における要素どうしの相互作用は一般に非線形(1+1が必ずしも2とならないような関係)なので、システム全体の振る舞いは、個々の要素の振る舞いを観察するだけでは決して理解することはできません。
経済学は、複雑系としての経済が示す多層的・多面的な振る舞いがどのようなメカニズムによって生じるかを解き明かそうとする学問である、と言いかえることもできます。したがって、経済学はきわめて間口が広く、同時に奥行きが深い学問です。経済学の勉強を有意義なものにするためには、経営学、政治学、法律学といった周辺諸分野のみならず、哲学、数学、自然科学などさまざまな分野にわたる幅広い教養も必要とされます。狭い問題意識にこり固まっていては、理解が一面的になり視野が狭くなってしまいます。どん欲なまでの知的好奇心を持って、幅広い視点から経済を見る眼を身につけてもらいたいと切に願います。

学部長プロフィール

■略歴
1985年 上海鉄道大学(現同済大学)電信工学部 卒業
1998年 慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程 修了
1997年 慶應義塾大学総合政策学部助手
2001年 慶應義塾大学総合政策学部客員助教授
2002年 立正大学経済学部助教授・慶應義塾大学産業研究所訪問助教授
2007年より 立正大学経済学部教授

■主な研究実績
(1)[単著]「産業連関分析モデルを活用したサンゴ礁-人間共生系の環境経済学的研究」文部科学省新学術領域研究(課題番号:21121504)成果報告書、2011年。
(2)[共著]「日中貿易の拡大が日本経済の生産・雇用・労働生産性に及ぼした影響」『経済学季報』(立正大学経済学会)63巻3号、2013年。
(3)[共著]「上海・中国・日本の国際産業連関構造に関する一考察-2007年日中国産産業連関表による-」『経済学季報』(立正大学経済学会)63巻4号、2014年。
(4)[共著]「中国東部沿海地域と日本との国際産業連関構造—2007年中国地域産業連関表および日中国際産業連関表による実証分析」『中京大学経済学論叢』26号、2015年。
(5)[共著]「中国上海地域と日本との国際産業構造—2007年規模別日本・中国・上海国際地域産業連関表による実証分析」『経済学季報』(立正大学経済学会)64巻4号、2015年(近刊)。

■所属学会
日本地域学会、環太平洋産業連関分析学会(PAPAIOS)等。


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