仏教学科
教員インタビュー

自分のなかにある仏教との関わりについて、
時間をかけて、じっくり学べる環境があります

仏教学科
秋田貴廣 教授

「教育とは、教えたことがすぐに花を咲かせることじゃない。本人がいつか花を咲かせるための種を私たち教員がまくようなもの」と話す秋田貴廣先生は、彫刻家として文化財の修復も手がけながら、仏像制作や仏画模写と文化財についての授業を行っています。日本人の心に無意識のうちに根付いている仏教文化について学ぶ仏教学科について聞きました。

仏教思想や仏教文化から学ぶ
自分のなかの仏教との関わり

ー 立正大学の仏教学科で学べることについて教えてください。

私たちの生活には、無意識・無自覚のうちに使っている言葉や振る舞いなど、仏教がとけ込んでいます。仏教学科では、日本人の日常生活や考え方の奥にある仏教と関わる部分に、たくさんの切り口からアプローチして、仏教の存在意義や現代における仏教の可能性を探っていきます。

また、たくさんの切り口からのアプローチを実現するために、さまざまな専門領域の教員をそろえていますので、複数の学問領域から仏教を掘り下げることができます。
さらに、興味関心のある分野を専門的に学ぶための「思想・歴史コース」と「文化・芸術コース」の二つのコースを設けています。

仏教についての学びをとおして、
現代社会を生きていく底力を身につける

ー 仏教学科では、どのような授業を受けられるのですか。

仏教学科では、特に初年次教育に力を入れています。私たち日本人が意識せずに使っている言葉や振る舞い、そして考え方に根付いている仏教の影響を確認しながら、仏教について学ぶ意義を実感し、モチベーションを高めます。

授業の構成としては、世界中に伝わった仏教を、その思想・歴史・文化・芸術という異なる分野のさまざまな観点から多角的かつ総合的に学修できるように教育課程を組織しています。

また、体験的理解を促すために実習授業が多く設けられています。その内容も仏像・仏画の制作実習に加えて、華道や書道の実習、邦楽の演奏家を招いての授業なども行っています。それぞれの文化に込められた時代の流れやメッセージ、それらを作り出した人間の核心に迫ることを目的としています。

これらの学びをとおして、現代社会を生きていくための底力を身につけます。

制作実習と卒業制作で向き合う
「よく見る」経験の可能性

ー 秋田先生の授業について教えてください。

私の授業のなかに、仏教学科の学生全員が受講可能な「芸術実習基礎」と「芸術実習1」があり、この授業の延長線上には卒業論文に代わる制作物として仏像や仏画を制作するための「秋田ゼミ」があります。

造形についての基礎修練の経験がない学生たちが、重要文化財として評価されている優れた美術作品、仏像・仏画を模刻・模写するのは、挑戦という言葉がふさわしい行為です。
学生たちは制作をはじめてすぐに、通常の見方では作品が造れないことに気づきます。なぜ、造れないのか、という壁にぶつかったときに、彼らは今までの無自覚なものの見方を再確認するわけです。
そして今までの「見ている」世界は現実の一断面に過ぎないこと、「よく見る」ためにはその対象を深く観察し、その内面に入り込まなくてはならないことを知ります。

対象と自分の境界線がなくなって「よく見る」ことの意味が自分なりに理解できたとき、学生たちは作品を造れるようになるんです。
造形の制作実習は、ものの見方の意味と向き合う現場となり、ここで得られた感触は仏教学部のほかの専門教育の理解を深めるきっかけになっています。

制作実習での経験は、学生が社会に出て、積極的に社会生活を送るうえでも、重要な意味を持つ経験になると考えています。

存在しているだけで影響を与え合う、
全体の響き合いを想像することが大切

ー 秋田先生が考える仏教思想について、聞かせてください。

仏教思想の根底には「縁起」、いまの言葉でいう「関係性」に対する究極的な洞察です。私たちは存在しているだけで、他者と影響を与え合っているということです。
自分は社会の構成要素だという感触があれば、社会のなかで自分は無意味な存在だというような虚無感に陥ることはなくなるでしょう。
例えば、自分は世界の70億人分の1人だとしても、構成要素の1人が変化すれば全体に影響が出ます。もし全体が響き合う和音であれば、1音が変わるだけで全体の和音の音色は確実に変わります。世界がよい方向へ向かうかどうかは、自分しだい。自分なりにしっかり生きることで世界は変わっていくと思います。

人間やその文化を理解するセンスと
関係性の実感を身につけてほしい

ー それでは、仏教学部仏教学科の学生に期待すること、身につけてほしいことについて聞かせてください。

文化を理解するということは言葉で言うほど容易ではありません。なぜなら文化は、無意識のうちに形成されて身についているものであり、当たり前という感覚がゆえに見えづらくなっているからです。
大切なのは、自分の「当たり前」を横において、異なる視点で文化を見つめることです。仏教学科が用意するたくさんの領域の学びは、文化を理解するセンスを身につけるためにも役立ちます。

さらにものごとの本質は、言葉に定着させることができないものです。だからこそ言葉にはできない感触のなかにあるものに目を向けてほしいと思います。ただ、大事なことを理解するのはむずかしい。そのわからない気持ちを持ち続けるのは、スッキリしなくて気持ち悪いものです。でも、本当にわかるときまで、借りてきた言葉でその空間を埋めない方がいい。時間がかかっても、いつか理解できるときが来ますから。わからないことは、それだけ深みのあることなんです。

自分のなかにある仏教との関わりについて
知りたい人、学びたい人をお待ちしています

ー 最後に、受験生のみなさんへメッセージをお願いします。

無自覚ながら自分のなかに培われている文化や仏教との関わりについて知りたい人、シンプルに仏教思想や仏像などの仏教文化について学びたい人、日本の歴史について深く学びたい人、世界が調和的な状況になるためには……と考えている人、とにかく豊かな人生を歩みたい人には、ぜひ仏教学部仏教学科で学んでほしいと思います。


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